仕事が得られないと、再犯率は約5倍に──。刑務所などを出て「保護観察」となった後に再び犯罪をした率を調べたところ、仕事の有無が立ち直りに大きな影響を与えている実態が浮かび上がった。法務省の研究機関「法務総合研究所」が11月16日に公表した今年の犯罪白書で明らかにした。
刑務所や少年院を出たり、執行猶予付きの判決を受けたりして、2002~11年に保護観察を終えた計約43万8000人を対象に、新たな犯罪で逮捕されるなどして保護観察が取り消された人の割合を調べた。有職者約34万人の再犯率が7・4%だったのに対し、無職者約10万人は36・3%と大幅に上回った。
保護観察が終わった時点で仕事がない人はこの10年間、2割前後で推移。11年は24・1%にあたる約9000人が無職で、出所者らが仕事を見つけることが依然、厳しい状況にある。
白書ではこのほか、過失による交通事故を除いた刑法犯に占める再犯者の割合が2011年は過去最高の43・8%に達したこともわかった。政府は再犯防止を最優先課題の1つと位置づけているが、1997年から再犯者率は上がり続けている。
また、出所を控えた受刑者と更生を支える保護司を対象に、アンケートも3月に実施した。
受刑者は約1700人が回答し、約9割が「2度と罪はしない」と誓っていた。必要な支援策として、保護観察終了後も相談できる場所、▽就職活動に必要な資金の貸し付け、▽住居を借りるための保証人の紹介や資金の貸し付け、▽一時的な住居の提供、などを求める声が多かった。
一方、保護司は約2400人が回答し、大半が「家族や雇い主、同僚の理解が必要」と指摘。「職業観やマナーに問題がある」と受刑者側の姿勢に注文を付ける意見もあった。
法務省は厚生労働省と連携し、公共職業安定所などを通した就職支援のほか、更生保護施設などを整備して出所者の受け入れを進めているが、白書はさらに支援の強化が必要だとしている。
(朝日、2012年11月16日。田村剛)
感想
こんな事くらい調べなくても分かり切った事でしょうに。「恒産なくして恒心なし」ですから、何よりも仕事を提供する事です。農業、林業、畜産などをやっている所を、公的なものでもいいから作って、そこでまず安定した生活をしてから、自立できる人は自立して行く、というのはどうでしょうか。