オルグ
1、社会運動で個人の採る態度を分けますと3種あります。
A・相手と直接戦う。
B・自分のことを反省し、自分の向上を目指す。
C・第3者に働きかける、
こう整理しますと、オルグとはAでもBでもなくCをすることだと分かります。
2、これをオルグと言う習慣は、多分、オルガナイザー(組織者)の略語として、主として左翼運動の中で定着したのだろうと思います。ロシア語から来たというなら元はオルガニザーチアだったかもしれません。いずれにせよ、そういう活動をする人のことを意味する場合もありますが、そういう活動自体を指すことも多いと思います。
3、オルグはセールスあるいは営業活動に似ています。事業に営業(広義)が必要不可欠であるように、思想運動や社会運動にはオルグが必要です。仲間を増やすことは目的達成に必要だからです。
4、問題はどういうオルグをするかだと思います。事業にとってどういう営業をするかにその事業主(会社)の考えと性格が良く出るように、オルグの仕方にはその思想運動の性格が良く出ると思います。
行き過ぎる傾向のある点でも両者は良く似ています。最悪のセールスがねずみ講であるように、最悪のオルグは「友人や家族をオルグしてくれ」という「オルグのオルグ」でしょう。
思想運動には自分たちの質的向上をはかる面と人数(仲間)を増やす面がありますが、前者も実質的には(自分のオルグですから)オルグであることを理解して、自己向上を中心にしてやっていくのが正しいのではないかと思います。
しかし、現実には、何か社会的活動に目覚めた人がすぐにも考えることは、どうやって他の人に知らせ、理解してもらい、仲間になってもらうかということです。
5、左翼運動のオルグが嫌われるようになってから、「(やるなら)一人でもやる、(悪い事は)一人でも止める」という考えないしスローガンが出てきました。小田実さんや宇井純さんの名が知られています。
これは立派な態度であり、それなりの成果を挙げていると思いますが、歴史的に見ると、やはり、オルグをうまく組織的に行った有能なリーダーの率いた運動の方が大きな成果を挙げているのも、残念ながら事実だろうと思います。
キリスト教でもイスラム教でもそうですし、創価学会もそうです。もちろんいわゆる社会主義革命でもそうでした。