1、語の由来
動詞「有り」の未然形に上代の助動詞「ゆ」の連体形がつながった出来た語。
2、意味
有る限りの、すべての。
「ありとあらゆる」は「あらゆる」を強めた表現。
「あらゆる場合を考えた」「ありとあらゆる場合を考えた」等。
3、否定的な語との結びつき。
「彼といえどもあらゆる言語に通じているわけではない」といったように、全称命題を否定して少数の例外を言う場合に使うのだと思います。
用例
(1) フライシャー大統領報道官は、今後の軍事行動について「大統領はあらゆる選択肢を排除しない」と語り、地上軍の投入もあり得ることを示唆した。
(2001,9,17, 朝日。
これは16日にもTVで繰り返し報道された言葉です)
考察・文脈から判断すると、この「あらゆる選択肢を排除しない」とは、「味方の犠牲の少ない空爆とか巡行ミサイルによる攻撃以外にも他の全ての手段を検討する」「初めから使わないと決めてしまう手段はない」という意味です。
つまり全称命題そのものです。しかし、この言葉は言葉としてはそういう意味にはならないと思います。「あらゆる選択肢を排除はしない」「いくつかの選択肢を使う」という意味になると思います。
従って、正しくは、「どのような選択肢も排除しない」と言うべきだったと思います。元の英語でどう言ったのか分かりませんが、訳した人が間違えたのかもしれません。
(2) 大統領は「悪の枢軸」と名指ししたイラクなどへの対応について「すべての選択肢を排除しないが、平和的に解決したい」と述べた。
(2002,2,19,朝日)
考察・船橋洋一氏はこれを(3)のように訳しています。
(3) 大統領は「彼らの行動パターンを変えるように国際社会が協力する必要がある。どのような選択肢も排除しないが、平和的に解決したいと考えており、外向的努力を続ける」と言った。
(2002,2,21,朝日)
(4) イラクへの軍事行動の可能性については、大統領は記者会見で「すべての選択肢はある。テーブルの上にそのまま載せておきたい。何一つ排除したくない」と強い調子で語り
(2002,2,19,朝日)
(5) 現在、国立大学すべてに文部科学大臣の任命を受けた運営諮問会議が置かれ、大学運営に参与している。
(2002,2,25,朝日)
(6) 国立大学のすべてが同じ状況であるわけではない。
(2002,2,25,朝日)
(7) 全少年の関与否定
(2002,3,21,朝日)