1、「立ち上げる」という言葉がよく使われるようになったと感じます。私の印象として、それはインターネットが普及してきて「HP(ホームページ)を立ち上げる」という風に使われるようになり、それが他の事柄にも使われるようになったのだと思っていました。
この事を自分のHPに書いたら、いくつかの投書をいただきました。その結果分かったことは一部の業界では以前から使われていたらしいということです。しかし、一般化してきたのはやはりインターネットの普及以来だという仮説は否定されていません。
2、或る言葉がなんとなく流行ってこれまでの言葉を押し退けてやたらに使われるということはよくあることです。最近といってもかなり前からですが、私の気になっているのは一つは「示す」であります。特に政治報道で使われるという印象を持っています。
例えば、「認識を示しました」「見解を示しました」「懸念を示しました」「判断を示しました」といった具合です。
そのほかには「対応」も最近はよく使われます。対処とか反応とか、ほかにも適当な単語があるのではないかと思われる場合にも「対応」で済ませる人が多くなっていると思います。
用例
(1) 「~のもとで事業を立ち上げた女性はすでに7百人を超える」
(1999,01,04、朝日新聞)
(事業を始めた、事業を起こした)
(2) 「新たな反対組織『PROTEST』をすぐに立ち上げた」
(1999,01,27,朝日新聞)
(反対組織を組織した、作った、まとめあげた)
(3) 「午前三時。隣で寝ている長男を起こさないよう、そっと布団からはい出る。寝室から居間を隔てた六畳間の『オフィス』で、パソコンを立ち上げる」
(1999,01,30,朝日新聞夕刊)
(パソコンを買ってきて初めてセットするのではないから、「パソコンのスイッチを入れる」で十分)
(4) 旧三菱油化時代にコンビナートの立ち上げに腕を振るい、今度は設備を壊す皮肉な巡り合わせとなった
(1999,02,25,朝日)
(コンビナートの建設に腕を振るい)
(5) 〔音声認識ソフトでは〕漢字の変換も画面を見ながら声で確定でき、電子メールなどの画面を声の入力で立ち上げることもできる。
(1999,03,04, 朝日)
(画面を声の入力で出すこともできる、画面を起こす)
(6) 東京通信ネットワークなど電力系の新電電十社も新しい連合組織「パワー・ネッツ・ジャパン」を立ち上げ、共同で新通信網を構築することを明らかにしている。
(1999,3,10,朝日)
(新しい連合組織を作り)
(7) 応援するインターネットのホームページも立ち上げた。
(1999,04,20, 朝日)
(ホームページも公開した)