植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

篆刻も 一から出直し

2021年10月27日 | 篆刻
 毎日のように雑事・予定・イベントがあって、この1.2週間落ち着きません。外出する用事や人と会うことが今月になってから急に増えてきたのです。やはりコロナの第5波が沈静化したことによるものでしょう。それまで、この1年半で電車に乗ることなどは半年に1回以下でした。ゴルフ以外で市外に出かけることなど皆無だったのです。それが、今月は先輩に、ちょっと会いたいからと呼びだされ、倅の結婚相手の親御さんに顔合わせで横浜中華街に出かけました。ゴルフコンペが3回、それに自治会のことで何人もの方と会っていますし、戦没者慰霊祭までありました。先日は書道の師の展示会で熱海まで参りました。10月は、ひと月足らずで過去1年分以上の行事・約束事がおきたのです。

 これが「緊急事態宣言」解除の効果なのでしょう。個々人は警戒を怠らずとも、確実に人流が増え、コロナの火種が見えない間に広がっているのではと思うのが杞憂に終わればいいのですが。


 更に、増えすぎた書道具・印材の整理に精力を注いだのもワタシにとっては大変な負担であったのです。そんなこともあって、書道と篆刻の時間が圧倒的に減りました。何もなければ早朝から印を彫り、昼前に習字臨書を行い、また午後には2本ほど篆刻印を作るという日常だったのです。それがこの1週間で筆をとったのが二日、印も数本しか彫れませんでした。

 最も問題なのは「篆刻」がスランプに陥ったということです。彫っていても失敗(刀が飛んで彫るべきでないものを削る)が頻発し、印磨きからやり直しすることが増えました。失敗したら一度サンドペーパーで磨り直しし、印稿を転記して彫ると言う作業が繰り返しになるのは無駄といえます。ある程度出来上がったのに出来栄えが格段に落ちました。

 ふた月以上名刻・古印の摸刻に取り組み、自分の技術の向上に手ごたえを感じていたのです。ところが、あれこれ雑事に邪魔されてじっくり印を彫れない状態に陥りました。割に簡単に彫れていた白文(文字の線を彫って文字が白くなる彫り、陰刻)が明らかに下手になりました。

 先が丸くとがった「目打ち」で下書きのように荒彫りしたのち印刀で、細部を広げたり「補刻」して徐々に思い通りに印の文字を作るというワタシ方式は、篆刻家の先生に「一刀のもとにガリガリと彫っていくのが大事、何度も補刻した線は死んでしまう」と指摘されました。何度も何度もチマチマ修正し削っていくと、迫力があるのびやかな印字が出せないというのは薄々感じてはいました。先生によれば、やってるうちに自然と印刀が一番彫りやすくなるとのことなんです。しかし、大胆に一気に印刀を使えば、刃が行き過ぎて余計な傷をつけ、線が真っすぐに彫れない(失敗する)、自分の指を深く傷つけるということを恐れていたのです。

 そこで、最近は目打ちを極力使わず、印刀一本で力を込めて彫り進めるように変えてみたのです。つまり、本来の篆刻の技法に近い作業に変えたのですが、せっかく上達した自己流の技術を捨てて、一番最初からやり直したに等しいのです。これでは、慣れない印刀なのでうまく彫れないのも当たり前です。一本彫るのに、印材を変え印面を潰しで何度もやり直すので一日にやっと1本出来る程度になりました。しかもコンマ何ミリという細い線の細工の精度が落ちたので、文字の線が太くなり過ぎたり曲がったり水平にならないなど、とうてい納得がいかないのです。

 半年以上印を学び、摸刻を繰り返すうちに、自分の目が肥えて良い悪いの尺度・基準が高くなったせいもあるかもしれません。実際、この1月から彫った初期の印を見返すと、稚拙で雑な印であることに愕然とします。こんなものを彫って得意になっていたのかと、情けないやらびっくりするやらです。

 今日も、数件の用事があってゆっくり書道・篆刻に没頭する時間がとれそうもありません。いっそのこと、またコロナが増加して緊急事態宣言が発令され「巣ごもり生活」を余儀なくされたら、と不謹慎な世迷い事を妄想しております。
 
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