植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

書は人を表わす 国会議員さんもう少し練習したら?

2021年10月04日 | 時事
 落語の「井戸の茶碗」という噺があります。話しやすい人情噺(武家噺) と見えて、多くの噺家さんがこれを高座で話します。ご存じ「芝浜、竹の水仙、幾代餅、らくだ」なども好んで使われる演目であります。「井戸の茶碗」では、正直者のくず屋の清兵衛 さんが落ちぶれたお武家さん千代田卜斎 から仏像を買い取ります。これを、偶然細川邸という武家屋敷で家来の高木さんが買い入れ、これを洗ったら台座が取れ中から小判が出てきて、返金しようと思ったら、その金子は受け取れないと武士から断られる。
 
 それではと、受け取る代わりに貰った汚い茶碗が、今度は名器の高麗茶碗で300両という破格の値段で殿様がお買い上げ、またお金を届けに行くと断られる。というあらすじであります。代わりのものを欲しいと言ったら、その武家の娘がいるので、細川様の家来の高木さんに嫁がせるなら支度金代わりに受け取ると言う展開になります。その時、千代田さんのセリフが「自分は男手一つで娘を育てたが、落ちぶれているとはいえ武家の娘として一通りの読み書き手習いは仕込んである」というようなことを言います。仏像も茶碗もなにも自慢めいた説明はしなかった千代田さんは、娘のことだけは、謙遜せず恥ずかしい思いをさせまいと言う親心であります。

 元から器量よし、立派なお武家さんの子女なので、高木さんもすぐに受け入れると、清兵衛さんが「今は長屋暮らしで、身なりも粗末だが、磨いてごらんなさい。たいした美人になります」というと、高木さんが「いや磨くのは良そう、また小判が出るといけない」がオチであります。

 ワタシは、この噺が好きです。登場人物は、ほら吹きで通るクズ屋仲間を除いて、みんなが善人で正直、筋が通っていてお金にキレイ、すっと心に入っていく筋立てなのです。 このほら吹きはさしずめ評論家の田崎さんみたいなものか(笑)。
 手習いと言えば、まず読み書き、武家に限らず、一昔前はきちんとしたお稽古事をさせると言うのが良家の嗜み、子女に裁縫料理を仕込むのはお母さんの大事な役割でもあったのです。

 かく言うワタシは、貧乏教師の小せがれで、子供の頃、なんの稽古事もせず親がうるさく言わないので躾もなっておりませんでした。本だけは夢中で読みましたが、これは学校の図書館の本は無料だったせいです。習字も3,4か月通ったきり、きれいな字を書かなければと思って、心を入れ替えたのは通信簿に「字が粗雑である」と何回か書かれたからであります。

 たしか一年ほど前に、当時総裁選を争った岸田・石破・菅、お三方の揮毫の話をこのブログに載せました。申し訳ないですが、どちらさんもお世辞にもうまい字とは言えません。下手でもそれなりに味わいのある字を書かれる人もいますが、座右の銘として書かれたにしては、あまりにお粗末としか思えないのです。ワタシら下々のものならばどんな字を書こうが構いませんが、かりそめにも総理総裁になろうかという頭抜けた有力政治家の人たちが、この程度しか書けないと言うことに衝撃を覚えました。
 石破さん「鷙鳥など猛禽類は群れない」、そうそう、自民党で孤立し仲間外れになりました。菅さん「(嘘だろうが邪だろうが)意志があればそれが何であれ道になる」と嘯いているように見えます。 言っちゃ悪いですが、自分の名前すら気取って書いているだけ余計に粗末な字に見えますね。当然現代社会では、書筆を手にすることは滅多にありません、毛筆で書きなれていないと大体はこんなものですし、そもそも一般に売られている色紙は、よほど書きなれていないと毛筆では上手にかけません。せいぜい、野球選手のサインや力士の手形程度の用途が相当だろうと思います。

 それにしても岸田さんが総裁になって、このままでいけば間もなく次期総理であります。但し解散総選挙があればもう一度首班指名があるので、もし自民党が選挙で大敗して政権与党から滑り落ちることがあれば、極めて短期の総理となります。あの菅さんが、岸田さんには勝てる(あんな奴には総理をやらせない)と考えて一時は総裁選に出ようとしました。昨年は、岸田さんでは選挙の顔にはなれないと党内で酷評されました。優柔不断で、コロコロ態度や言うことを変えるとうのがその根本にあるのだそうです。ばりばりの世襲議員で岸田派のトップですが、口は達者でもボンボン体質は変わらない様であります。

 井戸の茶碗と違って、一国の総理さんたちはお金の亡者と嘘つき、不誠実で情理や正義には無縁の人ばかりで落語のお題には向いていません。平気でうそをつき、自分の気に入らない勢力を徹底的にたたき、更迭した安倍さん。総理の資質など微塵も備わってないのに、独りよがりで頑固、人を脅かして動かそうとした菅さんに対して「春風のように人と接し人の話を聞くのが長所」を自認する岸田さん・・・・、残念ながら信頼に値するリーダーに恵まれない我が国の国民の不運は当分続きそうであります。 


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