植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

病膏肓に入る やみくもに彫るしかない

2021年10月03日 | 篆刻
 日々印を彫り9か月経過しました。彫った総数は500本くらいになろうかと思います。最近は用が無ければ一日3本は彫ります。篆刻家を目指す若い人や何年も修練している人たちに伍していくためには何倍も時間をかけ何倍も数をこなさねばと思うのであります。
 ヤフオクでは目についた印材は、未刻だろうが刻字ありだろうがお構いなしで落札し、いまや仕事場には数千本あるようです。

 篆刻の練習方法を変えて摸刻を始めたのが6月末からでした。3か月になります。篆刻入門書などを読むと、これが一番の練習法と見え、どの本にも摸刻を勧め、解説しています。

 最初は、「墨スペシャル」篆刻入門の中に押された印影であります。中国の古印、日本人の篆刻家さんの名刻、書道店の広告、学生さんの習作まで片っ端から真似て彫りました。次にヤフオクで篆刻本(中国発刊の単行本)をいくつか落札して参考にしました。良し悪しや由来は分かりません。中国語で書かれているので作者の名前や印字すら読めません。でもいいなぁ、と思う印を好きに彫ってました。
摸刻は、作品展や公募展に出品する場合には制限があります。当然、現在活躍中の篆刻家さんの印を真似るのはタブーです。没後数十年経過していれば、その制約が解かれるようです。ワタシが摸刻しているのは千年以上も前に彫られたものから、新しくても100年前後昔の名人のものですからなんの遠慮も要りません。そもそもただ練習しているだけのことですから何も問題はありませんね。

 次に取り組んだのがやはりヤフオクで見つけたのが「呉熙載(ご きさい)」さんの印譜摸刻であります。 呉譲之ともいいます。1800年中期に書・絵画・篆刻に優れた才能を発揮した名人で、清代の篆書・隷書を一変させ現代の篆刻の礎となった鄧石如さんや、同時期に活躍した 「趙之謙」さんなどと共に中国の篆刻の発展に貢献し、後に近代中国の書道・絵画・篆刻の第一人者となる「呉昌碩」さんにも影響を与えた方です。

  呉譲之をひと月近く彫りましたが、ほとんどの印影が呉熙載なので、だんだん飽きてきました。そこで今取り組んでいるのが「趙之謙」の摸刻であります。この方も篆刻の天才みたいな人で日本の篆刻家さんもかなり学んでいると聞きます。実際彫ってみると、陽刻(朱文)の線は究極まで細く彫られていますし、枠となる線はほとんど消えているように削られるものも多いです。力みが無く自然な線が実に繊細に彫られていていることがよくわかります。
下の印は、摸刻で、一番上の左(呉熙載)を除いて趙之謙さんの印であります。

この人の印を彫ってると、とても楽しくなるのです。様々な技法が隠れていて、非常に計算された意図が感じられ、うまく彫れた時の満足度がとても高いのです。ワンパターンでないので、彫るたびに発見があります。しばらくこの人に私淑いたしたいと思います。さらに、この冬には鄧石如・呉昌碩さんの印の摸刻にチャレンジしようと思います。

 とは言え、やはり飽きるので今朝は近所の大変お世話になっているおかみさん用に一つ彫りました。

気に入ってくれるといいが。喜んでもらえるでしょうか。
コメント
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