植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

土にかえる(変える) その1

2019年12月10日 | 植物
 昨日、自宅栽培の柑橘「宮川早生」の熟したみかんを食べました。まずいというほどではないのですが、水気が少なく甘みも薄い、皮もフカフカとしています。この苗は確か、3回目の収穫ですが、これでは駄目です。収量も少なく近日中に処分を決意しました。肥料も水分も足りているし、日当たりよく強風が当たらない一等地なのに、何故でしょうか。考えられるのは、単純に外れの苗であった、土が合わない、初期に根をコガネムシにやられた、のいずれかでしょう。4年育てたみかんですが諦めも肝心です。

そこで、本日は土のお話。
 言うまでもなく、園芸の中で、最も重要なことは植物の生長や個体の存立を支える根の置かれた環境であります。倒れたり抜けたりしないこと、水を吸収すること、栄養をとること、伸ばした根で新たな仲間を増やすこと、寒さや乾燥・強い太陽光から身を守ること、すべてが根と土に収斂いたします。
 畑にせよ果樹にせよ、また鉢植えでも、すべて土づくりから始めます。これを間違えるといくら水や肥料をやっても、枯れたり生長不良になりますね。

 まず最初に考えるべきは、土地の歴史なのでしょう。何千年あるいは何万年という単位でそれぞれの土地が形成されてきます。火山なのか河川なのか山からの土なのか海からのそれなのか。少なくとも地下1m程度の表土が、どういう土なのかを知らなければなりません。そして、わかる範囲で数十年間どういう利用をされていたかも知る必要があるのです。

 例えば、ワタシのガーデン、近隣は住宅と工業団地、さらに相模川の河口近くであります。海岸から飛んできた砂、相模川が営々と運んできた堆積土砂が主たる土壌です。ほとんどが荒い小石と砂で形成されています。更に、戦前から病院・工場の敷地として使われ、建物を取り壊した後の廃棄物や大小の砕石・ガラの類が埋まっております。その後は駐車場として約50年更地でありました。ほとんど草も生えないような荒れて固い地面でしたね。こういう土地は、正直耕作には不向きであります。そのまま何かを植えるとしたら、ジャーマンアイリスとか芝桜・ハーブ類などですが、ロックガーデンじゃあるまいし。
 恐らく植物の大敵「塩分」や工場であったころの、薬物など有害な成分は、粗い土壌のお陰で土中深く浸透し、表面には残留していないと思われます。

 こうした、植物栽培に不適な土壌改良は、客土(掘削して処分、好みの用土を入れる)が一番ですが、その面積によっては莫大な費用が掛かります。土砂の処分費用は高く、もしアスベストなどが混じっていれば更に高額な処分費がかかります。更に、新たに黒土などを入れるとこれも相当な値段になります。園芸を始めた頃、対象地の半分くらいは、賃貸建物を作る時の工事業者に建設費用と込みでやってもらいました。(実はこれには一つ話があるのですが、またの機会に)

 その後ワタシの取った方法は、人力で土を篩でふるって、砂利やガラを掘り出し、嵩が減った分だけ、たい肥・腐葉土・黒土・赤玉土を適宜投入する、ということでした。元の土の大部分を構成する砂は、川砂ですから、水はけが良く園芸用土として利用できます。暇と体力があったワタシにとって、販売されるような砂を、わざわざお金を払って処分するのは愚かだと思ったのです。固くて、最初はツルハシでないと歯が立ちませんでした。結果として5t以上のガラ・砂利を処分いたしましたなぁ。

 メインのバラ園・菜園はそう言う経緯で、いまだに場所によってかなり土質が違っております。掘り残している所には、まだ相当な量のガラが埋まっております。砂がほとんどの場所も残っていますが、とりあえずは、全体としては水はけのよい砂と、保肥性・保水性の揃った黒土が混ざったベースとなる土になったわけです。

 さて、もとの土の来歴や構成がわかったら、次は日照を考慮しながら、植えるべき植物を検討いたします。菜園なのか、花壇の草花なのか、果樹にするのか、等々思いめぐらせます。換言すれば、何を最優先に育てたいかで、植える場所と土質の改良を検討するのですね。
 「土」を語ると長くなります。初回はここまでであります。
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