すちゃらかな日常 松岡美樹

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【EL 23/24 E組 第2節】レッズはやっぱりカウンターのチームだった 〜リバプール 2-0 ユニオン・サン=ジロワーズ

2023-10-07 05:11:08 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
ポゼッションしたがゴールは2点とも裏返しての攻めだ

 ヨーロッパリーグのグループE第2節で現地時間10月5日(日本時間6日)、リバプールはホーム・アンフィールドでユニオン・サン=ジロワーズと対戦した。フラーフェンベルフとジョタの2ゴール、かつクリーンシートでリバプールが勝った。

 サン=ジロワーズはアウェイで敵は格上とあって守備的に戦った。だが攻撃に移っても特に組織立った動きは見られない。散発的な花火に一瞬、火が灯るような感じだ。

 一方のリバプールもプレミアリーグで勝ってはいるが内容がよくない試合が続く。彼らは守備の仕事ができるMFが足りない。試合を締めるタイプの選手だ。遠藤航がまさにピッタリなのだが、まだ彼は新しい環境に慣れる必要がある。それまでレッズのてんやわんやは続きそうだ。

 この日は敵が「ボールはいりません」てなゲーム運びをしているため、たまたまリバプールがポゼッション率を高めている。ゆえにレッズが試合を支配しても圧倒的な感じはない。それ以上に相手が非力だった。内容はともかく勝つことに意味がある試合である。彼らの目的はあくまでEL制覇だ。

 サン=ジロワーズのフォーメーションは3-5-2、守備時5-3-2だ。この日は多くの時間帯5-3-2で戦った。結構高い位置からアムラとニルソンの2トップがプレスをかけてくるが、ほかは組織立ってはいない。ボールが回ってくれば攻撃しようとするが形になってない。

 一方、レッズのフォーメーションは毎度おなじみ4-1-2-3だ。スタメンはGKがアリソン。最終ラインは右からツィミカス、クアンサー、コナテ、アレクサンダー=アーノルドだ。中盤はアンカーが遠藤航、右IHがハーヴェイ・エリオット、左IHはフラーフェンベルフ。前線は右からサラー、ダルウィン・ニュネス、ジョタである。

難しいシュートほど得意な不思議の国のヌニェス

 リバプールのビルドアップは右SBアーノルドが上がっての3枚回しのほか、ツィミカスとアーノルドがともに偽SB化した2-3-5もある。また両SBを高く張り出すストレートな2-3-5も見られた。

 開始10分。グラーフェンベルフがシュートを放ち、こぼれ球をヌニェスが押し込んだがオフサイドになる。続く17分にはサラーにスルーパスが入り、彼はワンタッチで折り返す。

 受けたヌニェスがシュートを打ったが外してしまう。ただ押し込むだけの決定機なのにあり得ない。彼はプレミアリーグの第6節でこんな超絶的なシュートを決めていたというのに。むずかしいゴールは取るがごく簡単なシュートをミスしてしまう。安定感がない。継続して決め続けること。ここが彼の課題だ。

 そもそもこの日の対戦相手とはチーム力が違うので、レッズは容易くボールをキープできる。彼らが保持している時間が圧倒的に長い。だがその間に有効な攻めがあったかといえば、簡単なチャンスを多く逃している。

 また彼らは引いた敵ブロックの外周を単にボール回しする時間帯が長い。典型的な「ダメな攻め」のパターンだ。引かれて前にスペースがないため、裏を取る動きや劇的なスプリントがない。煮詰まった状態だ。彼らはシティのようにポゼッションから何かを生み出すタイプじゃない。

 たとえば擬似カウンターのような形で敵を前に引っ張り出せればいいが、ブライトンと違ってリバプールの辞書にはそのテのウンチクはない。相手がボールを放棄しているので、彼らはひたすらボールを保持して自然なカウンターを待つだけだ。

アーノルドが爆発的なスプリントでチャンスを作る

 右IHエリオットは例によって自由気ままに動いている。逆の左サイドに開いて攻撃したりもしている。アーノルドも右サイドを上がったり、中に入って偽SB化したり奔放だ。

 ️そんなレッズの先制点は43分だった。ロングカウンターからアーノルドが右サイドを長駆ドリブルし、ヌニェスとパス交換しボールを返してもらって左45度からシュートを放つが相手GKモリスが弾く。

 それをフラーフェンベルフがきっちり詰めた。1-0だ。半分以上はアーノルドのゴールだった。やはり彼らはカウンターのチームだ。本ゲームのレッズは、この時のアーノルドのような爆発的なスプリントが今までなかった。ただしカウンターの局面になればそれは発動されるのだ。

 かくて前半が終了。ポゼッション率はレッズ68%、サン=ジロワーズ32%だった。相手が引いているので必然的にレッズのポゼッション率が高いが、あまり意味のあるポゼッションではなかった。彼らは裏返しての攻めにこそ本領がある。

遠藤のプレイは地味ながらハマっていた

 後半はリバプールが頭からメンバーチェンジした。遠藤にかえてマクアリスター、サラーに代えてカーティス・ジョーンズ、ヌニェスに代えてルイス・ディアスを投入した。遠藤は目立ったミスもなくスムーズにこなしていた。これを地道に続けていけば必然的に出番は来るだろう。この交代はデキが悪かったからじゃない。チームの事情だ。

 さて52分、前にパスが入り、ジョタがヘディングシュートをバーの上に外す。これも考えられないミスだ。続く57分頃には、レッズはハーフウェイラインの敵陣側に2CBを置き、試合を完全にハーフコートマッチ化した。だが以後、互いにパスが通らず煮詰まった小競り合いが続く。

 そして61分にはフラーフェンベルフが狙いに狙った素晴らしいコントロールショットを放つが、わずかにバーの上を越える。これは惜しかった。その2分後、今度はアーノルドに代えて右SBジョー・ゴメスを投入する。ミスター偽SBだ。

 66分、右サイドをドリブルで上がる敵に、アンカーのマクアリスターがカンタンに抜かれてシュートまで持ち込まれる。やれやれだ。またやらかした。彼は技術はあるが明らかに守備的な仕事は向いてない。まちがってもアンカーじゃない。そして続く79分には、クロップはフラーフェンベルフに代えてソボスライを投入した。

 トータルで見て、今のレッズにはソボスライ以上に信頼できる選手はいない。それだけ彼は頭抜けている。赤いチームに来るまで彼はずっと生粋の攻撃的MFだった。なのに、クロップに守備の仕事を押し付けられて(笑)、しかし一夜漬けで守備的なMFをやっている。それで立派にこなしているのだからすごい。千両役者の登場だ。

 ゆえに遠藤には十二分にチャンスがある。自分はマクアリスターのような「致命的なやらかし」は絶対にしない、とクロップに見せつけてやればいいのだ。で、今の環境に慣れたら遠藤がアンカーを務め、マクアリスターとソボスライが両インサイドハーフをやるのがベストだ。

 おそらくクロップは遠藤を獲ったとき、その「3人構想」が頭にあったはずだ。だが遠藤が思ったより環境に慣れる必要があったため、その計画は今のところタナ晒しになっている。クロップのそんな構想を具現化させるのは、いまや遠藤のプレイいかんにかかっている。

 そういうことだ。

またロングカウンターからジョタがカマす

 86分、今度はカーティス・ジョーンズがドリブルからシュートするがワクを外す。まただ。こう拙攻凡退が続くとカラダの力が抜けて行く。だが、これがサッカーなのだ。

 そんな諦めと倦怠の90+2分だった。待望の2点目が入る。自ゴール前からの長い超カウンターだ。得意の形である。

 縦パスが出てルイス・ディアスが競って粘り、ボールを残した。そのこぼれ球をジョタが左足で押し込んだ。締めて2-0。今度もやっぱりゴールはカウンターだった。ポゼッションじゃない。

 それが判明しただけでも意味のある試合だった。そして最後の最後はやっぱり自力の違いが出た。

 悪いながらも勝って行く。そうすればいつかは内容も伴ってくるーー。そんな「王者の秘訣」をまざまざと見せつけられた平凡ながらも意義あるゲームだった。

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