すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【J1リーグ】先制された名古屋は脆かった ~第10節 名古屋 1—2 鳥栖

2021-04-19 07:00:50 | Jリーグ
鳥栖がすばらしくファイトした

 開幕からここまで名古屋はオウンゴールのみの1失点、対する鳥栖は3失点と守備の堅いチーム同士の対戦になった。

 ところが試合は思わぬ展開になる。前半6分にいきなり鳥栖がゴールを決め、名古屋は明らかに動揺した。組み立てにミスが多い。

 そこを狙われ前半45分にも2失点目を食らい、万事休す。後半に1点返したものの、名古屋は意外な脆さを露呈した。

 名古屋のフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKがランゲラック。最終ラインは右から宮原、中谷、丸山、吉田。セントラルMFは稲垣と長澤。2列目は右から前田、阿部、マテウス。ワントップは山崎だ。

 一方、鳥栖のフォーメーションは3-1-4-2。林大地、酒井宣福の2トップが強烈にアグレッシブなチームである。

早々の失点でビルドアップが不安定に

 まず最初に名古屋が「洗礼」を受けたのは前半6分だ。

 左サイドの崩しから鳥栖のFW酒井がダイレクトで鋭いマイナスのクロスを入れた。これに呼応しニアに走り込んだFW林大地が、これまたダイレクトのすばらしいヘッドで鮮やかにゴール。名古屋は10試合ぶりにゴールを割られた。

 名古屋は相手に先制される初めての形だ。彼らがこの試合に勝つためには、この時点で最低でも2点を取らなければならないことが確定した。相対的に攻撃力が弱い名古屋にしては苦しい展開だ。

 事実、この失点以降、彼らは明らかに精神的に動揺していた。いつもはスムーズに組み上げるビルドアップも微妙にパスがズレるシーンが続出。鳥栖が激しくプレスをかけてくる影響もあるが、明らかにいつもの名古屋ではなかった。

 加えて鳥栖の試合ぶりがすばらしかった。特に林と酒井の2トップは名古屋のビルドアップに対し激しくプレス。チーム全体に球際の競り合いが強く、インテンシティが高い。よくプレッシングし、よくハードワークする粘り強い好チームだ。

ミドルサードより前でボール保持できない

 そして第二のショックは前半45分に訪れた。

 前半45分、鳥栖のFK崩れから名古屋のクリアを拾った酒井が、爆発的なミドルシュートを名古屋ゴールに叩き込んだ。これもすばらしいシュートだった。

 鳥栖は林、酒井の2トップに粘りがあり、攻撃をよくけん引していた。鳥栖の攻撃は時に3トップ気味になり、ゴールを陥れる鬼気迫る迫力があった。

 名古屋はいつもとちがいややぎこちないビルドアップで組み立てるが、特にミドルサードから前で有効なボール保持ができてない。鳥栖のプレッシングがよく、必ず競り合いに持ち込まれ余裕をもってボールキープできない。

 さて前半を終わり、シュート数は鳥栖の6本に対して名古屋は1本。この数字の対比が本ゲームをよくあらわしていたといえるだろう。

リードした鳥栖は4-4-2にシステム変更

 ゲームは後半を迎え、大きく動いた。まず名古屋は後半開始と同時に阿部と長澤に代えて、柿谷と米本を投入。また後半9分には前田と宮原を引っ込め、相馬と森下を入れた。

 これに対し鳥栖は、後半立ち上がりからフォーメーションを4-4-2に変えた。

 彼らは2点のリードをもっている。で、より守りやすい陣形である4-4-2を選択したのだろう。案の定、鳥栖はボールを失うとミドルサードに強固なブロックを敷いた。

 このあたり、両監督の虚々実々の駆け引きが見られ非常に興味深かった。

名古屋は玉砕的なパワープレイに

 後半、攻めに出た名古屋は積極的に動いた。後半40分には今季初出場になった森下龍矢が右サイドからドリブル突破。このこぼれ球に稲垣が鮮やかなミドルシュートを突き刺した。

 後半40分、名古屋は攻撃の要であるマテウスに代え、DFの木本恭生を投入。一瞬、この交代の意味がわからなかったが、マッシモ・フィッカデンティ監督は強さのある木本を最前線に置き、パワープレイを展開した。

 試合の残り10分、名古屋は鳥栖陣に向けアーリークロス、ロングボールの雨を降らせたが果たせず。鳥栖が名古屋の攻撃を抑え切って堂々勝利した。

 この試合、追う立場になった名古屋は意外なメンタルの弱さを見せた。優勝戦線に向け、この点は改善すべき課題だろう。

 また負けた名古屋のポゼッション率が61%なのも興味を引いた。ポゼッションにこだわらず、カウンターに徹した鳥栖に軍配が上がったということだ。日本人のポゼッション信仰は、これで少しは収まるだろうか?

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