すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【アルガルベ杯】最終ラインの1対1に強さと粘りを 〜なでしこ2-6オランダ

2018-03-02 16:27:39 | サッカー日本代表
フリーでシュートを打たれすぎる

 E-1で露呈した消極性は払拭できた。だがまた課題がなでしこジャパンに降りかかる。守備の崩壊だ。フィジカルの強いオランダ相手に6失点。失点シーンはどれも「1歩の寄せ」が遅れ、ほぼフリーでシュートを打たれている。男子とちがい、岩渕、田中、横山らいい意味でエゴイスティックな個の強いFWはいる。彼女たちを軸にすれば攻めはなんとかなる。まずは守備の構築が必要だろう。

 立ち上がりからなでしこはアグレッシブで、E-1で見られた消極性は完全にリカバリーできていた。E-1のときのようなムダなバックパスもなく、「前へ」の強い意識が見られた。またパスのボールスピードもE-1時よりかなり速くなっている。ここは収穫だ。

 だがいかんせん、守備に粘りがない。最終ラインでは数的優位を作るどころか、競り合いでのスピード不足と読み、ポジショニングのミスで簡単にシュートを打たれていた。「いるべきとき」に、「いるべきところ」にいられないのだ。

 いやたとえ間に合わなくても、1歩でもカラダを寄せて相手のバランスを崩す、充分なシュート体勢を作らせない。そういう守備の粘りがない。ふところに入り込んでゴリゴリ圧力をかけるような強さがなく、淡白にあっさりとやられていた。

 またE-1のときも散見されたが、「ペナルティエリア外だから、まだシュートは打ってこないだろう」と決めつけ、ボールをキープする敵の選手と距離をあけてしまいカンタンにシュートを打たれるケースがある。「自分たち」にはその距離からシュートを打つ力はないが、「相手は」打ってくるのだ。自分たちの常識と感覚でヤマカンをかけてはいけない。ここは修正点だ。

フィールドを斜めに横切る大きい展開がない


 選手別では、隅田はテクニックがあり、敵にプレスをかけられてもカラダを入れてしっかりボールをキープできる。また左サイドを激しくアップダウンする鮫島の攻め上がりが効いていた。やはり彼女はSBで見たい選手だ。

 中島の豊富な運動量と積極性は相変わらずだし、この日は2トップの一角で起用された櫨もいい選手だ(ただし彼女はFWというよりパッサーだと思うが)

 こんなふうに1人1人を眺めれば見るべきものがあるが、このチームはまだ1+1が2になっていない。0.5や0.6で留まっている。これを2.5や3にしたい。それと大きいのは総体として強さやフィジカルがない点だ。またミドル〜ロングレンジのボールのフィードがほとんどない(これができるのは阪口くらい)。

 基本的にグラウンダーのボールをていねいに転がしてショートパスをつなぐチームなのでないものねだりだが、この日対戦したオランダがフィールドを斜めに横切る大きく正確なサイドチェンジをしていたのと見比べてしまうと「サッカーが小さいなぁ」と感じてしまう。

 もっとも高倉監督は若い選手を積極的に起用し長期計画でチームを作っているのだろうから、その過程であれこれ決めつけるべきではない。E-1と比べれば確実に進歩はしている。今は見守ろう。

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