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期日前投票

2021-10-28 23:00:00 | 日記
 今回の衆議院選挙では思いもしないことが起きていて、ちょっとした騒ぎになっている。

 ショップを開いている関係で、我々夫婦も期日前投票に出かけてきたが、比例代表選挙の投票コーナーで、目の前に掲示されている各政党名とその略称を右端から順に確認していて、オヤと思ったのは、国民民主党と立憲民主党の略称が共に「民主党」となっていることであった。

 見間違いかと思って何度も見直したが、どうもそうではないようであり、すべての投票を終えて、自宅に帰ってからも、そのことが頭から離れない。

 両党が同じ略称を使うということで合意してそのようにしたのかとも思ったりしたが、まさかそんなことはないだろう。では、やはり私の見間違いか、このところ何かにつけて間違いが多く、自信がなくなってきているのでそんなことも考えてみた。

 思い余って、友人でタウン紙の出版社に勤めるHさんに電話をかけて事情を説明したが、まさかね!という感じであった。Hさんはその後すぐに知人で立憲民主党所属の町会議員に電話をかけて確認したが、返事は「そんなことは絶対にありえない。見間違いに違いない」とのことであったという。

 絶対!と言われると、私の見間違いということになるが、自分では現地で何度も目をこすって確認してきたので、やはり納得がいかない。仕方がないので、投票所に戻り確認することにして家を出た。

 期日前投票所はまだ開いていて、入り口にいた案内係の女性に疑問点を話すと、一旦事務所奥に入り、担当の若い女性と一緒に、例の政党名が書かれた紙片をもって現れた。

 それを見ると、間違いなく「民主党」という略称が2か所にある。担当の女性の説明では、両政党からの申請でこのようになっているという。では得票数はどうなるのですか?と聞くと、正式党名を書いて投票した数に応じて「按分」するのだという。

 私の見間違いでなかったことが確認でき、この女性の説明も理解できたので引き返したが、改めて別の疑問と何とも言えない不快感が残る出来事である。

 帰宅して、Hさんにはその報告をし、お騒がせしたことを詫びた。また、ネットで検索をして、すでに各新聞社がこのことを報じていることを知った。

 最初に目についたのは、福井新聞の10月21日付けの記事で、次のような内容であった。

「2021.10.21(木)  7:55配信 福井新聞
 立憲民主党も国民民主党も略称「民主党」…書いたらどうなる?福井県選管に複数問い合わせ 衆院選2021比例代表

 期日前投票所の記載台に掲示された紙。立憲民主党、国民民主党ともに略称は「民主党」となっている=10月20日、福井県福井市役所(許可を得て撮影)
 <ここに掲示された紙の写真があるが割愛>
 10月20日に期日前投票が始まった今回の衆院選では、立憲民主党と国民民主党いずれも、比例代表の党名略称が「民主党」となっている。福井県選管には「投票用紙に民主党と書いた場合、どうなるのか」「間違いではないか」と複数の問い合わせが寄せられている。 ・・・県選管の説明では、立憲民主党で判別できる例は「立憲」「立民」など。国民民主党は「国民民主」「国民」など。
 「民主党」と書いた場合は、両党の有効得票数に応じて割り振る「案分票」になる。自由民主党や社会民主党があるため「民主」は無効票となる。総務省は2020年9月、両党が衆院選比例代表の党名略称を「民主党」と届け出たと発表した。公選法は複数の政党が同じ略称を使うことを禁じていない。県選管には10月20日、市町選管や有権者から問い合わせが5件あった。県内のある陣営もこの日、略称が同じだと知った。期日前投票の記載台の掲示で気付いた支援者から「知らずに民主党と書く人は多いのでは」と指摘があり、選対幹部は「明確に判別できる記入を今から周知する」と話した。2019年7月の参院選比例代表は、立民が「りっけん」、国民は「民主党」を使った。」

 この略称に関する総務省の発表はここでは2020年9月とあるが、別の総務省の資料として2021年7月21日現在の資料に次のようなものがある。



 政党から総務省への届け出によると、確かに国民民主党と立憲民主党からは共に「民主党」という略称が届け出されていることがわかる。

 しかし、当然予想される選挙時の混乱を、あえて無視して、同じ略称を受け付けるのは一体どうしたことか。

 公職選挙法には次のような項目があるので一部を引用すると。

「第68条の2
【同一氏名の候補者等に対する投票の効力】

1.同一の氏名、氏又は名の公職の候補者が二人以上ある場合において、その氏名、氏又は名のみを記載した投票は、前条第1項第8号の規定にかかわらず、有効とする。

2.第86条の2第1項の規定による届出に係る名称又は略称が同一である衆議院名簿届出政党等が二以上ある場合において、その名称又は略称のみを記載した投票は、前条第2項第8号の規定にかかわらず、有効とする。

3.省略

4.第1項又は第2項の有効投票は、開票区ごとに、当該候補者又は当該衆議院名簿届出政党等のその他の有効投票数に応じてあん分し、それぞれこれに加えるものとする。

5.省略」

 これによると、公職選挙法では複数政党が同じ名称、略称を使用することを想定しており、その略称を記載した投票の処理についても定めている。今回の「民主党」という略称の重複についても、想定内のこととなるようである。中央選管としては、両党からの申請を受理せざるを得なかったということだろう。

 しかし、それでいいのかという疑問は残る。

 この点に関してウィキペディア「按分票」には次のような記述がすでにみられる。

 「按分票 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
   2021年10月25日 (月) 03:13 。 

 按分票(あんぶんひょう)とは、自書式投票において、その記述だけで判断すると複数の候補者や政党に該当しそうな記載である票を指す。
 公職選挙法では『按分』という表記を使っているが、常用漢字を使う場合は「案分」と書く。
  • 2021年10月に行われる第49回衆議院議員総選挙
    • 比例区において、立憲民主党と国民民主党がそれぞれ略称を『民主党』と届け出ているため、投票記載台に表示されている略称である「民主党」と記載された投票は開票区ごとの得票割合に応じて両党に按分票の配分がなされる見通しである。
    • 島根1区では読み仮名がいずれも『かめいあきこ』(うち1人は亀井亜紀子)となる2人が立候補したため、按分票が発生するとみられるが、島根県選挙管理委員会は10月20日現在、対応を明らかにしていない。」
 上で、福井新聞の記事を紹介したが、新聞各紙の論調もネットで見ることができるが、見出しだけを見ると次のようである。

日本経済新聞 2021年10月21日 18:11
 比例「民主党」票は案分 総務省、参考例を通知

茨城新聞 2021年10月22日 9:00
 衆院選 略称同じ「民主党」困惑 立民と国民 両党「正式名記入を」

信濃毎日新聞 2021年10月23日 11:03 
 「民主党」はどう扱う? 衆院選比例代表略称 「立民」「国民」が重複

沖縄タイムス 2021年10月24日 05:00 
 立民も国民も「民主党」 比例代表の政党略称  有権者困惑 「民主」なら案分

毎日新聞 2021年10月25日 17:40 
 略称「民主党」で投票しないで 立憲と国民、重複理由に呼び掛け

佐賀新聞 2021年10月28日 6:45 
 比例政党で同じ略称 「民主党」なら立民と国民に案分

山形新聞 2021年10月28日 10:58 
 略称同じ2政党、扱いは 比例投票、問い合わせ次々

 一部誤解に基づく記載もあるが、いずれの新聞も、淡々と事実を書いている。

 期日前投票で発覚したことであるが、総務省、中央選管そして何よりも政党自体がこの事を3か月も前に判っていながら、何も手を打つことなく衆院選を迎えることとなった。

 公職選挙法がこうした事態を回避することなく、あり得ることとして認めていることも驚きであるが、だからといって確実に起こり得る混乱を止めることをしなかった関係部門の態度は今後議論になっていくのではないか。

 一時は自身の目を疑い、年のせいかなどと思った今回の出来事であった。


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