ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

岩屋戸ダム

2021-10-29 16:05:21 | 宮崎県
2021年10月18日 岩屋戸ダム
 
岩屋戸ダムは左岸が宮崎県東臼杵郡椎葉村下福良、右岸が同村松尾の二級河川耳川上流部にある九州電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
宮崎県は主要河川がいずれも包蔵水力豊富なことから戦前から活発な電源開発が進められてきました。
耳川水系では九州送電(株)による電源開発が進められ、1929年(昭和4年)の西郷ダム・田代発電所(現西郷発電所)を手始めに山須原ダム・山須原発電所、塚原ダム・塚原発電所が建設されました。
そして同社が最後に手掛けたのが岩屋戸ダムですが、完成直後の1941年(昭和16年)に日本発送電に接収されたのち、1951年(昭和26年)の電気事業再編により九州電力が事業継承しました。
ここで取水された水は岩屋戸発電所(最大出力5万2000キロワット)に導水されダム水路発電を行います。
 
国道327号線の尾平トンネル手前で左手の旧道に入ると左手に岩屋戸ダムが姿を現します。
残念ながら左岸が姿を隠したままですが、右岸の導流壁に沿って流下する放流水が白糸のような美しさです。
すり鉢状の減勢工など当時の発電ダムの典型的スタイルとなっています。
 
フェンスと草木に阻まれ下流面はこれが限界。
 
ゲートをズームアップ
ダムカードの文章を借りれば『斜めに整列しているピアが美しい』
 
水利使用標識とバス停。
残念ながらバス停名はダム名ではありません。
ダム便覧では有効貯水容量は635万8000立米となっていますが、堆砂が進み現在は362万3000立米。
2005年(平成17年)の台風14号の影響が大きいようです。
 
天端入り口にチェーンが架かり立ち入り禁止。
 
上流面
塚原ダム同様、取水口がクレストゲートと並んでいます。
 
取水口をズームアップ。
 
ラジアルゲートをズームアップ。
 
総貯水容量は635万8000立米。
 
こちらは戦後に増設された第二取水口。
 
施工は塚原と同じ間組。
完成後に日本発送電による接収が決まっていた中で九州送電(株)の意地で建設された岩屋戸ダムです。

2811 岩屋戸ダム(1727) 
左岸 宮崎県東臼杵郡椎葉村下福良
右岸         同村松尾 
耳川水系耳川 
 
 
57.5メートル 
171メートル 
8309千㎥/3623千㎥ 
九州電力(株) 
1938年


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