ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

岸川防災ダム

2017-10-16 15:10:29 | 佐賀県
2017年9月22日 岸川防災ダム
 
岸川防災ダムは佐賀県多久市北多久町多久原の六角川水系今出川左支流岸川にある農地防災目的の重力式コンクリートダムです。
農林省(現農水省)の補助を受けた佐賀県の防災ダム事業によって1962年(昭和37年)に建設され、運用開始後は多久市が管理を受託しています。
洪水時に最大毎秒95立米の水量を調節し今出川下流域154ヘクタールの農地を洪水被害から守ります。
 
厳木多久道路小侍インターから県道338号線を北上、岸川集落の先でダムへの取り付け道路を右にとるとダムに到着します。
ダム右岸高台の竣工記念碑があります。
 
高台から俯瞰。
 
右岸から
堤体の苔が時代感を醸し出しています。
 
上流面。
ゲートハウスが2段に重なる珍しい作り。
 
さらに上流から
写真では分かりませんがクレストに2門のローラーゲートがあり上段のゲートハウスはこの操作室です。
一方常用洪水吐となるコンジットには放流管となるコンジットパイプがありこちらもローラーゲート1門を装備。
下段のゲートハウスはこのローラーゲートの操作室になります。
2017年(平成29年)7月の九州北部豪雨の際に貯め込んだ痕が上流面にくっきりと残っています。
 
天端はゲート部分だけ前面に張り出しています。
一方ピアには上のゲートハウスに上がる螺旋階段がついています。
 
クレストのローラーゲート。
 
導流部には苔。
苔が生えるということはここから放流されることは少ないのでしょう。
一方、平時はコンジットパイプから流入量がそのまま放流されています。
 
有効貯水容量すべてが農地防災容量なので、平時はダム湖は空っぽ。
 
左岸から下流面。
 
昭和30年代のダムということで立派なゲートを装備しています。
上流面の汚れからもわかるように2017年(平成29年)7月の九州北部豪雨の際には貯水容量いっぱいに水を貯め込み、下流の農地を洪水被害から守りました。

(追記)
岸川防災ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

2527 岸川防災ダム(1155) 
佐賀県多久市北多久町多久原
六角川水系今出川
26.5メートル
66メートル
330千㎥/306千㎥
多久市
1962年
◎治水協定が締結されたダム


2 コメント

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Unknown (tibineko)
2023-06-18 20:14:47
高台から俯瞰が・・・なんていうのか凄い。
そして2段のローラーゲートが、物凄く印象的
でも一番印象に残ったのは「空っぽのダム湖」
水が少なくなって、湖底に集落の名残がかすかに見えた事はありますが、こんな風に空っぽのダム湖って初めてです。
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治水ダム・防災ダム (まっち)
2023-06-18 23:15:26
灌漑用水や上水道の水源といった利水の目的はなく、豪雨や台風の際に洪水を防ぐことに特化したダムを治水ダムや防災ダムと言います。
これらのダムは普段はダム湖に水を溜めず流れ込んできた水はそのまま下流に流す一方、台風や豪雨など水量が増えた際はダム湖に貯留して下流の洪水を防ぎます。
一般的にはダム湖には水が満々と溜まっているというイメージでしょうが、こういった治水・防災に特化したダムは全国に150近くあるんです。
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