ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

二津野ダム

2016-08-05 10:16:24 | 奈良県
2016年8月1日 二津野ダム
 
風屋ダムは左岸が奈良県吉野郡十津川村山手谷、右岸が同村桑畑の一級河川新宮川本流(十津川)にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
日本屈指の降水量を誇る紀伊山地各河川では戦前より電源開発が進められ、これらの発電施設は1951年(昭和26年)の電気事業再編令により誕生した関西電力(株)が事業を引き継ぎました。
一方で当地域の埋蔵電力は豊富で、新たな電源開発を関西電力のみで行のは財務的、物理的にも困難で、一級河川新宮川水系については電源開発(株)によって発電事業が進められることになりました。
同社は昭和30年代より新宮川水系での電源開発に着手し1960年(昭和35年)に風屋ダムと十津川第一発電所が完成、次いで1962年(昭和37年)に竣工したのが二津野ダムです。
ここで取水された水は約8キロの導水路で同時に完成した十津川第二発電所に送られ、最大5万8000キロワットのダム水路式発電が行われています。
この後電源開発は新宮川水系に5基のダムと4箇所の発電所を建設し、併せて一般水力24万5000キロワット、混合揚水35万キロワットの発電能力を有するに至りました。
 
十津川村中心部から国道168号線を南下すると眼下に二津野ダムが見えてきます。
国道からアーチダムを俯瞰できるのは珍しい。
プランクトンの影響か水は濃いエメラルドグリーン。
対岸に八角形の取水設備と取水ゲートが見えます。
 
取水設備をズームアップ。
ここから十津川第二発電所へ送水されます。
 
放流設備としてクレストに7門のローラーゲートを装備。
ゲートとピアはグリーンで統一されています。
また右岸側1門に河川維持放流用のオリフィスゲートが2門ついています。
 
河川維持放流。
対岸上流側に集落があるため、天端は車両通行可能。
 
仮排水路跡。
 
 
総貯水容量4300万立米のダム湖(二津野貯水池)
水の緑色が濃い。
 
左岸から
 
上流面
対岸の管理事務所裏手にインクラインが見えます。
 
ダム湖は緑、森も緑、ゲートとゲートビアも緑
まさにグリーンのアーチダムでした。
 
追記
二津野ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1562 二津野ダム(0501)
左岸 奈良県吉野郡十津川村山手谷
右岸         同村桑畑
新宮川水系十津川
76メートル
210.6メートル
43000千㎥/11000千㎥
電源開発(株)
1962年
◎治水協定が締結されたダム


コメントを投稿