ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

黒又川第一ダム

2016-08-08 15:02:01 | 新潟県
2016年8月6日 黒又川第一ダム
 
黒又川第一ダムは新潟県魚沼市大栃山の信濃川水系破間川左支流黒又川にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
融雪による豊富な水量に着目して破間川流域では戦前より電源開発が進められ、これらの発電施設は1951年(昭和26年)の電気事業再編令により誕生した東北電力(株)が事業を引き継ぎました。
一方で尾瀬を水源とする周辺各河川の埋蔵電力は豊富で、只見川上流部や黒又川については電源開発(株)によって発電事業が進められることになりました。
事業に際して同じ電源開発の奥只見ダムから導水路で黒又川に分水し、信濃川を通じて新潟平野の灌漑用水供給を行うという『只見川分流案』も遡上に上がりましたが、関係自治体や企業間の利害対立もあり計画は混迷、結局電源開発が黒又川に巨大貯水ダムを建設することで事態の収拾が図られました。
電源開発(株)は1954年(昭和29年)より黒又川の発電事業に着手し、1958年(昭和33年)に竣工したのが黒又川第一ダムです。
ここで取水された水は約4.6キロの導水路で黒又川第一発電所に送られ最大6万1500キロワットのダム水路式発電が行われています。
さらに1964年(昭和39年)には第一ダム上流5キロ地点に黒又川第二ダムと第二発電所が完成、当初は最大1万7000キロワットの混合揚水発電(現在はダム式発電)が開始されました。
両ダム合わせて約1億立米の貯水容量により破間川は言うに及ばず下流の魚野川や信濃川の河川流量の季節変動を平準化し、結果として流域の減災や既得取水権への補給の安定化にも貢献しています。
 
黒又川第一ダムには2016年5月に訪問を試みますが、この時は道路がまだ冬期通行止めのため叶わず、8月の再訪でダムに到達できました。
5月21日は下流の黒又ダムの先でゲートアウト。
 
下流から遠望
昭和30年代の電源開発のダム共通の直線状の導流壁。
クレストにはラジアルゲート2門、このほか写真では見えませんが、常用洪水吐として低水位放流管も備えています。
 
 
右岸から。
 
電源開発のダムではおなじみ、ダム名の銘版プレート。
 
貯水池は総貯水容量4284万立米
対岸に大がかりな取水設備があります。
 
天端は車両通行可。
 
管理事務所を兼ねた黒又川第一発電所への取水設備。
 
ゲート操作室。
 
減勢工はジャンプ台でした。
 
管理事務所。取水口を兼ねています。
立入禁止エリアで釣りをするバカ1名。
 
上流の黒又川第二ダムへの道は依然がけ崩れのため通行止めです。
 
(追記)
黒又川第一ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0745 黒又川第一ダム(0503)
新潟県魚沼市大栃山
信濃川水系黒又川
91メートル
276メートル
42845千㎥/30627千㎥
電源開発(株)
1958年
◎治水協定が締結されたダム


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