ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

大雪ダム

2021-08-10 23:15:25 | 北海道
2021年7月18日 大雪ダム 
 
大雪ダムは北海道上川郡上川町層雲峡の一級河川石狩川本流最上流部にある多目的ロックフィルダムです。
石狩川は流域面積日本第2位、流路延長第3位の巨大河川で、支流各河川には多数のダムが建設されていますが本流にあるのはこの大雪ダムただ1基です。
当初当地では北海道電力による『(旧)大雪ダム』建設計画が進められ、のちに北海道開発局が事業参加する兼用工作物の『石狩ダム』に計画変更されました。
しかし1961年(昭和36年)から2年連続で発生した洪水被害や旭川市の利水需要増大などを受け1965年(昭和40年)に新たに『石狩川総合開発事業』が採択され、北海道開発局(現国交省北海道開発局)の直轄事業により1975年(昭和50年)に『大雪ダム』が完成しました。
大雪ダムは国交省北海道開発局建設部が直轄管理する特定多目的ダムで、石狩川上流部の洪水調節(最大毎秒900立米の洪水カット)、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、流域農地1万7800ヘクタールへの灌漑用水の供給、旭川市への上水道用水の供給、北海道電力大雪発電所での最大2万キロワットのダム水路式発電を目的としています。
しかし大雪ダム完成後も利水需要の増大が続く一方、1981年の『昭和56年石狩川大水害』を契機に新たな多目的ダム建設が進められ2007年(平成19年)に左支流忠別川に忠別ダムが完成しました。
 
層雲峡温泉から国道39号線を北見方面に向かうと大雪ダムに到着します。
右岸から
堤高86.5メートル、堤頂長は440メートルの巨大ロックフィルダムで、下流面は凍上対策で芝が張られています。 
 
天端標高は810メートルで、北海道では最高所にあるダムです。
天端を国道273号線が通り、どの車も時速80キロくらいで疾走してゆきます。
 
国道わきに建つ大雪湖の標識。
 
天端から見下ろす洪水吐導流部
大雪発電所は地下式のため見ることはできません。
左手の建屋は放流設備。
 
ラジアルゲートはゲート上部を越流させるタイプで、上部中央に切れ込みがあります。
 
大雪湖と命名されたダム湖は総貯水容量6600万立米で奥には東大雪の山並みが望めます。
 
右岸から広角レンズで。
 
ゲート上流面をズームアップ
2門のラジアルゲートの間に常用洪水吐のオリフィスがあります。
 
取水塔と洪水吐。
 
右岸湖岸にある管理事務所から
上流面上部も芝が張られています。
 
インクラインと艇庫。
 
ダムの標高810メートルは本州では1500~2000メートルに相当する植生となっており、ダム周辺の景色はもう亜高山そのものです。
ダム下から堤体を見上げればもっと高度感を体感できるんでしょうが、残念ながら立ち入りできませんでした。
 
(追記)
大雪ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0089 大雪ダム(1674)
北海道上川郡上川町層雲峡
石狩川水系石狩川
FNAWP
86.5メートル
440メートル
66000千㎥/54700千㎥
国交省北海道開発局
1975年
◎治水協定が締結されたダム


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