ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

忠別ダム

2021-07-30 00:26:10 | 北海道
2021年7月17日 忠別ダム 
 
忠別ダムは左岸が北海道上川郡東神楽町、右岸が同郡東川町の石狩川水系忠別川にある重力式コンクリート・フィル複合(フィルコンバインド)の多目的ダムです。
忠別川は石狩川上流部の水系最大支流で、旭川市街を貫流することから忠別川の治水は古くからの重要課題となっていました。
もともと当地では農林省による灌漑目的のロックフィルダム建設が事業化されていましたが、忠別川の治水に加え利水需要の増大を見越して、1977年(昭和52年)に建設省による『忠別川総合開発事業』が採択され多目的ダムとして忠別ダム建設が決定しました。
しかし補償交渉の長期化により本体工事着工は1997年(平成9年)にずれ込み、2006年(平成18年)にようやく竣工に至りました。 
忠別ダムは国交省北海道開発局建設部が直轄管理する特定多目的ダムで、忠別川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、灌漑用水及び上水道用水の供給、北海道電力新忠別発電所での最大1万キロワットのダム式発電を目的としています。
 
忠別ダムは、重力式コンクリート・フィル複合ダムとしてはわが国最大級で、堤体積は全ダム第8位、堤頂長は14位、総貯水容量は50位となっています。
また日本ダム協会が選定した日本100ダムにも選ばれています。
ダムは大雪山系を代表する観光地である天人峡や旭岳ロープウエイへの入り口に位置し、左岸ダムサイトの堤頂広場はダム湖である忠別湖や大雪山をが一望できる絶景ポイントとして人気を集めるほか、忠別湖畔には親水広場・七色の噴水・望郷広場などが整備されており大雪山観光の一端を担っています。
 
ダム下流にある北海道電力忠別川発電所取水堰から。
 
減勢工わきから、この写真撮るのに結構苦労しました。
この写真だけだと重力式コンクリートダムにしか見えません。
 
道道213号線沿いの左岸堤頂広場から
ここは展望がいいので観光客も多く立ち寄ってゆきます。
重力式コンクリート部は堤高86メートル、堤頂長290メートル
ロックフィル部は堤頂長595メートル
放流設備としてはクレスト自由越流頂12門、自然調節式オリフィス1門、コンジット高圧ラジアルゲート2門を装備。
 
対岸に管理事務所がありますがはるか彼方
向かいの山が削れているのはダム建設の際に移転した北海道電力江卸発電所の跡
削れている部分に水圧鉄管がありました。
 
忠別湖の看板
観光客の多くはここで記念写真を撮ります。
左手は取水塔、奥には大雪山主峰旭岳が見えます。
 
上流面を広角で
手前にインクラインがあり巡視艇が繋留中。
忠別湖の総貯水容量9300万立米は重力式コンクリート・フィル複合ダムでは最大。
 
さらに上流から。
 
取水塔とコンジット予備ゲートをズームアップ。
 
直轄ダムらしく幅の広い天端道路
歩行者のみ開放。
 
右岸の管理事務所まで片道880メートル、往復約1.7キロ
もちろん歩きますよ!
 
重力式コンクリート部とロックフィル部の接続点。
 
天端から
左岸手前は放流設備、奥が北海道電力新忠別発電所
減勢工のさらに下流に1枚目の写真を撮った忠別川発電所取水堰があります。
 
右岸から見たロックフィル部下流面。
 
今回の北海道ダム巡りのお目当ての一つのダムでした。
天気にも恵まれ大雪山系の美しい山並みを見ることができましたが、北海道としては異例の35度の猛暑、焼けつくようなコンクリートの天端の1.7キロの往復はきつかった。
 
(追記)
忠別ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0134 忠別ダム(1661)
左岸 北海道上川郡東神楽町志比内
右岸 北海道上川郡東川町ノカナン
石狩川水系忠別川
FNAWP
GF
86メートル
885メートル
93000千㎥/79000千㎥
国交省北海道開発局
2006年
◎治水協定が締結されたダム


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