ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

山郷ダム

2017-07-06 12:03:03 | 福島県
2016年6月19日 山郷ダム
2017年6月24日
 
山郷ダムは福島県喜多方市高郷町揚津の阿賀野川(福島県内では阿賀川)本流にある東北電力の発電用重力式コンクリートダムです。
日本発送電時代の1939年(昭和14年)に着工、1943年(昭和18年)に竣工、戦後の電力分割民営化で東北電力が事業継承しました。
運用開始当初より山郷発電所で最大4万5900キロワットの発電を行っていますが、1992年(平成4年)に最大出力2万2900キロワットの山郷第二発電所が増設され、現在の認可出力は併せて6万8800キロワットとなっています。
コンクリート製のゲートピアに被覆された管理橋、扶壁前面の歩廊と東信電気の鹿瀬以ダム以来のスタイルを継承しており、戦前戦時中の貴重な土木建築物として近代土木遺産に選定されています。
ダムと発電所は2011年(平成23年)の新潟・福島豪雨で大きな損害を受けましたが現在は本来の姿に戻っています。
 
西会津から阿賀川沿いに県道16号を東進すると前方に山郷ダムが見えてきます。
左手は第二山郷発電所です。(2017年6月24日)
 
発電所からの放流口
左が第二発電所、右が山郷発電所。(2017年6月24日)
 
左岸下流側から
17門のラジアルゲートが並びます。
 
前面に出っ張ったコンクリート構造物は木材運搬のための閘門の遺構だそうです。
減勢工の造りも特徴的。
 
山郷発電所と放流口
魚道があるので放流口の上がスロープになっています。
 
左岸から
手前には大きな水叩き、被覆された管理橋とゲートビア前面に歩廊があります。
 
上流側から
赤茶色のゲートとクリーム色の管理橋は鹿瀬ダムと同じ組み合わせ。
 
右から4門目の構造物は上流側にも出っ張っています。
 
ダム構内は立ち入り禁止となっています。
が、職員さんによれば地元住民のために職員駐在中に限り生活通路として管理橋を開放しているそうです。
と、いうことで人生初めて被覆された管理橋を歩きます。
 
階段を上り・・・・
 
200メートル強の管理橋です。
空気がよどみ、埃っぽいというのが偽らざる心境。
 
ゲート巻き上げ機が並びます。
 
管理橋の窓を開けると
眼下に水叩きが広がります。
 
右手が山郷発電所、左手が第二山郷発電所です。
手前に例の構造物が近づきます。
 
ダムが建設された昭和10年代後半には木材の運搬にまだ筏が使われていたんでしょうね?
 
 
ダム対岸から。
職員の皆さんはこの歩廊を使って移動されています。
 
山郷発電所の取水ゲート。
 
取水ゲート上流側の沈砂池。
 
右岸側の玄関。
警告板がずらりと貼られ、ぱっと見立ち入り禁止の様相ですがゲートが半開きになっているのには理由があったのです。
 
右岸上流側から
二つの発電所の取水口と沈砂池、取水ゲート、それに本堤が一望できます。
これぞ発電ダムの真髄。(2017年6月24日)
 
ダム巡りを始めて9カ月、人生で初めて被覆された管理橋を歩くことができました。
普通なら車で対岸へ移動するところですが、たまたま職員の方とお話しできたことからこの管理橋が開放されていることを知りました。
発電ダムの連続でちょっと食傷気味でしたが、管理橋の窓から見た下流の眺めは新鮮そのものです。 
 
0478 山郷ダム(0471)
近代土木遺産
福島県喜多方市高郷町揚津
北緯37度36分22秒,東経139度41分15秒
DamMaps
阿賀野川水系阿賀野川
22.5メートル
206.9メートル
7591千㎥/2193千㎥
東北電力(株)
1943年
◎治水協定が締結されたダム


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