ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

笹ヶ峰ダム

2016-07-25 16:26:59 | 新潟県
2016年7月22日 笹ヶ峰ダム
 
笹ヶ峰ダムは新潟県妙高市の二級河川関川本流上流部にある新潟県農林水産部が管理する灌漑及び発電目的のロックフィルダムです。
水量豊富な関川は古くから高田平野の灌漑用水源として活用される一方、電源開発も活発で両者は綿密な互換関係を保ちながら水利用を行っていました。
1929年(昭和4年)に当時の中央電気(株)と信濃電気(株)が発電用貯水池とし当地に貯水容量90万立米の笹ヶ峰貯水池を建設し、これは発電のみならず灌漑用水の安定化にも大きく貢献しました。
一方で戦後の食糧増産機運に加えて1951年(昭和26年)の大干ばつを受け、灌漑設備の刷新が急務となり1968年(昭和43年)より農林省(現農水省)による国営関川農業水利事業が着手され、これに関川の電力事業を継承していた東北電力が事業参加、1979年(昭和54年)に笹ヶ峰ダムが完成しました。
笹ヶ峰ダムは旧笹ヶ峰貯水池を取り込む形で建設され、貯水容量は旧来の約10倍となる1060万立米に拡大しました。
また天端標高1200メートルは農業用ダムとしては最高所となっています。
運用開始後は新潟県農林水産部が管理を受託し、7000ヘクタール(完成当時)の水田に灌漑用水を供給するとともに、東北電力西野発電所で最大出力3000キロワットのダム水路式発電を行っています。
また2017年(平成29年)には利水放流を利用した笹ヶ峰発電所(最大出力997キロワット)が完成し、売電収入は関係土地改良区に分配されています。
 
笹ヶ峰は妙高山の登山基地となる一方、周辺には牧場やキャンプ場、公園などが整備され笹ヶ峰ダムもその一端を担っています。
左岸に駐車場があり徒歩での見学となります。
右岸上流から
クレストにグリーンのラジアルゲート3門装備。
 
洪水吐。
 
総貯水容量1060万立米のダム湖(乙見湖)
ダム湖に防波堤の様な施設がありますがこれはなんでしょう?
 
右岸には発電および灌漑用取水設備、艇庫とインクラインが並びます。
 
訪問時は利水放流を利用した小水力発電所を建設中。
2017年(平成29年)に完成しました。
 
右岸に展望台があります。
階段の先には黒姫山へと続く夢見平遊歩道が続いています。
トンネルは監査廊入り口。
 
天端は歩行者のみ開放。
下流面は草が覆い見た目はアースダムの様相。
 
展望台から洪水吐と管理事務所。
小水力発電所の建設工事のため多くの作業員が駐在しています。
 
同じく展望台から。
天気が良ければ妙高から火内の山並みが望めるのですが…百名山の火打山が望めるのですが。
 
(追記)
笹ヶ峰ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0770 笹ヶ峰ダム(0492) 
新潟県妙高市
関川水系関川
AP
48.6メートル
317.9メートル
10600千㎥/92000千㎥
新潟県農林水産部
1979年
◎治水協定が締結されたダム


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