ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

小倉ダム

2022-04-29 15:00:00 | 新潟県
2022年4月23日 小倉ダム
 
小倉ダムは新潟県佐渡市小倉の国府川水系小倉川源流部にある灌漑目的のロックフィルダムです。
佐渡は離島としては珍しく1万ヘクタールにもおよぶ広大な農地が広がりますが、水源となる河川はいずれも流域面積が小さく慢性的な用水不足に悩まされてきました。
戦後、農水省の補助を受けた県営事業により7基の農業ダムが建設され700万立米の水源が確保されますが、一方で大型機械導入を目的とした圃場整備の進展や、特産の柿栽培など畑作農地への用水補給など新たな水源確保が求められるようになりました。
これを受け1991年(平成3年)に農水省による『国営佐渡農業水利事業』が着手され、その灌漑用水源として2006年(平成18年)に竣工したのが小倉ダムです。
小倉ダムは離島のダムとしては最大の総貯水容量445万立米を誇り、完成後は佐渡市農林水産部が管理を受託し約1600ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
さらに2012年(平成24年)には同事業により外山ダムが完成、佐渡の農業水利事情は盤石のものとなりました。

ダム下から
利水放流や河川維持放流を利用し佐渡市小倉小水力発電所(最大184キロワット)が付設されています。


小水力発電の水利使用標識。


ロックフィルの堤体と地山を挟んで流下する洪水吐斜水路。


斜水路はかなりの急傾斜で末端にはシュートブロックが設置されています。


減勢工下流側
エンドシルの下流にはバッフルブロックが並びます。


リップラップ
堤高64メートル、堤頂長236メートルと農業用ダムとしては屈指のスケール。


朱鷺(とき)湖と命名されたダム湖。
総貯水容量445万立米は離島のダムとしては最大。


右岸の取水設備
すごい数のシャフトが並びます。


上流面。


左岸の横越流式洪水吐。


左岸高台から
広角レンズでデフォルメされていますが、洪水吐導流部は大きく湾曲して斜水路へ続きます。


上流から
ダムの上流には整備された棚田が続きます。
そしてダムの彼方には雪が残る大佐渡山脈が遠望できます。

小倉ダム天端にはチェーンが張られ『進入禁止』と記されています。
管理する佐渡市に確認したところ、あくまでも車両進入禁止の意であり徒歩での立ち入りは規制していないとのことでした。

2941 小倉ダム(1798)
64メートル
236メートル
4450千㎥/4200千㎥ 
佐渡市農林水産部
2006年


コメントを投稿