ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

小瀬川ダム

2017-05-16 16:24:39 | 広島県
2017年5月8日 小瀬川ダム 
 
小瀬川ダムは広島・山口県境を形成する小瀬川中流域にある広島県と山口県が共同管理する多目的重力式コンクリートダムです。
江戸時代の広島藩・長州藩の時代から小瀬川の水をめぐる両者の争いは絶えず、それは維新後、広島県と山口県になってからも変わりはありませんでした。
しかし終戦直後に立て続けに襲来した台風による甚大な被害や、戦後急速に工業化が進んだ沿岸部の水需要の増大を受けて両県は1957年(昭和32年)にようやく『小瀬川総合開発事業』を策定、対立するダム建設地点や利水配分を建設省に一任する形で1964年(昭和39年)に完成したのが小瀬川ダムです。
 
小瀬川ダムは小瀬川の洪水調節、安定した河川流量と既得取水権への補給、広島・山口両県への工業用水の供給を目的とするほか、1989年(平成元年)には山口県企業局小瀬川発電所が増設され河川維持放流を利用して最大630キロワットの小水力発電を行っています。
小瀬川ダムは複数の都道府県が共同で管理を行う唯一のダムとなっており、広島県側にある管理事務所に両県の職員が駐在しています。
 
小瀬川ダムの完成後も小瀬川の洪水調整は万全ではなく、さらに水需要も一段と増加したため、1989年(平成元年)に小瀬川下流に建設省直轄の弥栄ダムが完成し、小瀬川の治水・利水は盤石のものとなりました。
 
国道186号線を北上すると小瀬川ダム左岸に到着します。
管理事務所でカードをもらった後ダムを見学します。
左岸から上流面 対岸にインクラインが見えます。
 
下流面。
 
左岸のこの建物は?
 
右岸のハウエルバンガーバルブ。
 
減勢工
右手は小水力発電の小瀬川発電所。
 
ダム湖は真珠湖 総貯水容量1140万立米。
 
天端は車両通行可能
対岸に見えるのが管理事務所 広島側にありますが広島・山口両県の職員が管理を行います。
 
下流からの展望スポットを探しましたが見当たりません。
ゲートの扶壁前面に階段が見えます。
 
何とかゲートが見える場所を見つけましたがこれが精いっぱい
青いラジアルゲートがさわやか。
 
弥栄ダムのように天端に県境を示す標識はありませんが、親柱に両県を示す銘板が埋め込まれています。
左岸は広島県。
 
右岸は山口県。
 
追記
小瀬川ダムには840万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに57万3000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2071 小瀬川ダム(0992)
左岸 広島県廿日市市浅原
右岸 山口県岩国市美和町釜ヶ原
小瀬川水系小瀬川
FIP
49メートル
158メートル
広島県・山口県
1964年
◎治水協定が締結されたダム


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