世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

マカラ(摩羯)

2015-02-17 08:58:05 | 日記
 過日、バンコク国立博物館を見学した、リニューアル工事中で見学できない部屋もあるが、入館料の割引などはない。おまけにタイの運転免許証を持参するのを忘れたため、外国人料金で200Bも徴収された。日本人の常識はここでも通用しないが、リニューアル工事中との理由で閉館しないよりましか?
 写真は、タイ東北部の遺跡で出土したマカラが刻まれた、石造構造物の一部である。キャップションをみると11世紀中頃とある。タイ東北部のみならず、ハリプンチャイ(中世のランナー領域)を除くタイ全土がクメールの支配下にあった。12世紀初頭にはスーリヤヴァルマン2世がアンコールワットを築くが、その前時代の石造物である。勝手な解釈ながら、建物の入り口を見下ろす位置に設置されていたものであろう。
 マカラの上の、仏教で云う仏龕と呼ぶ位置に像があるはずだが、欠けて見ることができない。その像はビシュヌ神(仏教で毘紐天)である。


 このようにタイの中世は、ヒンズー教の世界であり、後世の人々に多大な影響をあたえたのである。それらは生活にも影響を与へ、陶磁器の装飾文様にも影響を与えたものと考えている。

 写真は、クアラルンプールのヒンズー教寺院Srikandaswamyのゴープラムの装飾を昨年1月の滞在中に、スケッチしたものである。ここの中央にもマカラが鎮座している。マカラは伝承によれば、鼻が長く鋭い牙を持つ魚身・魚尾の動物である。マカラは生き物の源である水を操る力を持ち、生命の進化や繁殖を表すとされる。

 ベトナムを除く東南アジアの国々は、何でもありの世界である。中国からの一辺倒の文化流入ではなく、西のインド、アラブ世界の文化との十字路に位置したがため。東西の文化を受け入れてきた。その結果が何でもあり・・・と勝手に解釈している。