世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

石見一宮・物部神社の聖天さん(道祖神)

2021-02-15 04:51:40 | 道祖神・賽の神・勧請縄・山の神

物部神社本殿に向かって左側の境内に聖天さんと呼ぶ道祖神が祀られている。その前に縁起と云うか立て札が掲げられているので、まずそれから紹介する。

この聖天さんの縁起がよくわからない。いつからのものであろうか。

夜泣き椨(たぶ)とあるが、空洞は母の胎内であろうことから、夜泣きをする子の安心感を与えてことであろう。写真ではみにくいが、灰色っぽいのが聖天さん(歓喜天)である。夫婦和合の神とされている。歓喜天は仏教の守護神である天部の一つで、聖天とも呼ばれている。

象頭人身の単身像と立像で抱擁している象頭人身の双身像の2つの姿の形像が多い。物部神社では、この聖天さんを道祖神としている。なるほど聖天さんは、双体道祖神の原形とは云わないが、その類と思われる。旧・石見国では道祖神をあまり見ないが、数少ない一つである。

<了>


出雲斐川・久武神社の才ノ神

2021-01-25 09:21:25 | 道祖神・賽の神・勧請縄・山の神

出雲では塞ノ神(才ノ神)は比較的少ないが、斐川町出西の久武(くむ)神社に才ノ神が鎮座しているとのこと。過日、出かけてみた。久武神社については、別途記事にする予定であるので、今回は才ノ神と木俣神、塚神に絞って紹介する。

小川に架かる橋を渡り、最初の鳥居を潜ると右手に才ノ神は鎮座しておられた。この久武神社の同一境内に出西八幡宮も鎮座しておられる。何やら面白い神社のようである。

目指す才ノ神は、一の鳥居を潜ってすぐ右側である。そこには木俣神祠と塚神も見える。先ず才ノ神と木俣神である。

向かって右が木俣神、左が才ノ神である。道祖神ではなく、石塔に才ノ神と刻まれている。

木俣神は大国主命と八上姫の間に生まれた御子神である。正妻の須勢理姫の嫉妬を恐れ、御子神を木の俣に置かれ、郷里の因幡にお戻りになった。御子は木の俣に置かれていたことから木俣神と呼ばれている。出雲では木俣神はそれなりにポピュラーであろう。

この両祠の右手後方に塚神が鎮座していらっしゃる。由緒が良く分からない。

久武神社は出西の集落の出入口にあたるであろう。その才ノ神はやはり結界を示すものであった。久武神社と出西八幡宮については、後日紹介する。

<了>

 


神庭荒神谷の荒神さん

2021-01-22 06:57:43 | 道祖神・賽の神・勧請縄・山の神

358本の出雲型銅剣が出土した神庭荒神谷。その奥詰まった処に荒神さんが鎮座しておられる。過日所用の帰途に寄ってみた。先日寒波による積雪の影響であろうか、アプローチ途中の木の枝が多数折れていた。

事前に様子が良く分からなかったので、荒神谷博物館前の駐車場に車を止めたが、上掲写真の博物館別館駐車場が、荒神さんに近く便利である。

ここの荒神さんの祭神は、須佐男命、大地主命、健見名方命とある。何故か知らないが・・・と云うより、不思議の一つであるが、荒神谷遺跡の周囲は建御名方命を祀る神社が多数取り巻いている。とすれば、358本の銅剣は建御名方命の怨念が渦巻いているのか? 周囲の建御名方命を祀る多くの神社は、その怨霊鎮めであろうか? 噺がそれてしまった。

出雲で荒神と云えば御神木に藁蛇が捲かれているが、ここの荒神さんは石塔で、そこに藁蛇が捲かれていた。鬱蒼とした竹林に覆われ、荒神さんが鎮座する処は、ぽっかりと穴が空いたようになっており、それなりの厳粛さをそなえていた。この荒神谷の麓から斐川平野の稲作地帯である。農民の豊作祈願が行われたのである。

<了>


出雲市口田儀・田伎藝(たきげ)神社の社日さん

2021-01-15 08:36:31 | 道祖神・賽の神・勧請縄・山の神

昨秋、出雲市多岐町口田儀に鎮座する田伎藝神社の社日塔を訪ねた。旧・出雲国では社日塔を多々見ることができる。

(拝殿)

拝殿の扁額には雷大明神(わきいかづちの神)とある。

(本殿)

この田伎藝神社については良く分からない。出雲国風土記には、在神祇官社としての多伎枳社と、不在神祇官社としての多支々社とがあって、読みも同音、さらに合祀されながら同一境内に存在する。

祭神は、多伎伎比売命 、大加牟須美命、伊邪那岐命のようである。以下、境内の社と社日塔を紹介する。

(多伎支神社)

(金比羅・清武神社)

(大山神社・八重山神社)

(巳乃神)

(社日塔)

巳乃神は蛇神で水の神で五穀豊穣を願う。それは社日さんも同じで、神社が鎮座するのは田儀川流域の開けた谷間で、周囲には田んぼが多い。

<了>


松江・布志名の才ノ神

2021-01-10 07:49:06 | 道祖神・賽の神・勧請縄・山の神

布志名と乃木というか乃白との境に才ノ神が鎮座しているので、過日寄ってみた。

才ノ神標の後方が旧山陰道である。この布志名の才ノ神の旧地は別の場所にあったが、山陰自動車道の工事により、現在地に移動したいきさつがある。

Google Earthを借りて新旧地を表示しておく。旧地から南西側に移動している。ここは緩い勾配の峠に位置しており、村境の結界を示す才ノ神である。この才の神は旧出雲国では数が少ない。

<了>