新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

私が嫌う国語を乱すカタカナ語と造語 #2

2014-06-12 08:21:24 | コラム
私が嫌う国語を乱すカタカナ語と造語 #2

和製英語=造語:

私はこれから採り上げていくカタカナ語と造語の99%は本当の英語ではないか、誤って使われていると言って誤りではないと思っている。故に外国人と英語で話をされる際には十分に注意される方が良いと申し上げておく。

中には素晴らしい造語もあるが、時には何とも不可思議で且つ面白いなと興味を引く例もあって、それを発見するのが楽しみである。本論に入る前にその面白い例を挙げてみる。26年前まで住んでいた藤沢市に ”Hand Made Coffee Shop” という看板を掲げた小さなコーヒー屋さんがあるのを発見したことがあった。(現在では店名を変更している)これは「手作りのコーヒーを売る店」で喫茶店ではないことは外から見ても直ぐに解った。だが何処か違和感がある英語表記だった。

何故かと言えば、これでは「コーヒー・ショップ」を手作りしたことになると思ったのである。"handmade"には「手作り」の意味はあるが、それは主として家具や衣服などの用いられる表現なのだ。そこで、これを英語にしてみようと思ったが、意外に難事業だった。

おそらくこの店主が言いたいことは「コーヒー豆を自らの手で炒めて挽いていること」なのだろうが、これを全部訳すと”We roast and grind coffee beans ourselves here.”とでもなるのだろうか。だが、こんなに面倒なことを言わなくて”Hand Made Coffee”だけで十分だったとすら思う。因みに、スターバックスもタリーズも "handmade ではなく ”handcrafted” という言葉を使って「手作り」を表している。私ならば大きく”Handcrafted Coffee”という看板を掲げその前に小さく”Enjoy our”と書いただろう。

造語:

*フリーサイズ      one size fits all、
解説)これなどは傑作の一つに入れて良いと思う。「フリー」は確かに「自由に」の意味もあるが、英語では "free" は"admission free" のように入場無料の意味で使われる。この例のように、どの大きさにも合わせられるという意味で使う発想は凄いと思う。これでは「無料のサイズ」となるのに「誰にも合うサイズ」と解ってしまう受け手の側の直感力もまた素晴らしい。なお、「フリー」は以下に続いて取り上げるように、割合にフリーに使われているようだ。英語の意味は「一つの大きさで誰にも合う」とでも訳しておこうか。

*フリーライター freelance writer、
解説)これも単なる一例。上記のようにフリーランスとするべきだったが、freeだけが残ってしまったと解釈している。思うに”lance”という単語が難しかったので、つい省いたのだろう?フリーアナウンサーも同類。まだまだある。

*フリーダイヤル toll free dial、
解説)何処かのテレビ通販のCMが聞こえて来そうだ。ここでは "toll" と言う見慣れない言葉が面倒だと思ったのか「省く」ことにしてしまったのだろうと解釈している。因みに、日本では "0120" だが、アメリカでは ”1+800” である。これを覚えていても案外アメリカでは使うチャンスは少なかった。私は22年間に2回ほど使ったかな?

*フリーマーケット flea market、
解説)これも傑作である。本来は”free”=「自由」の意味ではなかったのである。このスペルは "flea” であって蚤のこと。この由来は「のみの市」だったらしい。"r" ではなく "l"(エル)なのに、カタカナ表記にすれば発音が「フリー」になるので、何となくfree なmarketのような感覚で捉えていないか?

*フリーバッテイング batting practice、
解説)これはオマケである。野球用語はカタカナ語の宝庫であり余りにも多いので採り上げる気はないが、例外的に一つだけ入れておく。自由に打って良いのか無料で打って良いのか知らないが、自由な発想で作り出されたものと感心している。

野球用語(カタカナ表記のもの)で、本当の英語と連動しているものは数えるほどしかない。高校野球の中継でも、アナウンサー諸氏は何ら躊躇うことなく「速球」または「直球」を「ストレート」などと声高らかに言っているが、あれは歴とした日本語である。英語では”Fast ball”である。大体からして「投球」は「球」ではないのだから、アメリカ人は”pitch”と言う。”Here comes the pitch.”のように。なお、deliveryも使われることがある。

*オープンカー convertible or soft top、
解説)見た目で決めたか?コンバーティブルはカタカナ表記しにくいし、発音も困難と思ったのか。言葉の誤用に入れても良いかも知れない。

*オープン戦 exhibition game、
解説)主にプロ野球でシーズン前に行われる試合である。「オープン」で置き換えられた "exhibition" が発音しにくかったのか?これも立派な日本語であると思う。アメリカで "practice game" と言うのを聞いたこともあったが。

*ボディーチェック     body search、またはsecurity check、
解説)確かに身体をチェックするのだが、searchの代わりに「チェック」を使ったのは単語帳的知識の適用ような気がする。最近は身体だけではなくベルトや靴までチェックされている時代にはそぐわない造語だ。なお、"security" の発音は断じて「セキュリティ」ではない。辞書を引いて発音記号を見よ。

*プライベートブランド      private label、
解説)”private”という言葉は勝手に使われていることが多い。寧ろ誤用されていると言った方が正確かも知れない。だが、ここに挙げた例などは明らかにbrandの意味までをはき違えていると思う。ここは "label" なのである。屡々使われている略語の "PB" ではなく"PL" とせねばならないのだろう。だが、これだとProduct liability=「製造物責任」と混同されないような配慮があったのか?まさか。

“private”=「プライヴェート」をテレビに登場する芸人やアナウンサーたちが「私生活」のつもりで使っている。彼らが外来語を使って格好良く見せようとするのかどうか知らぬが、privateをどのような辞書で探そうと、外国人がどう言うかを聞こうとしても、そんな意味はない。「私」に当たる言葉は"personal" であって "private" ではない。どうしても「私生活」と言いたければ”personal affair or life”であろう。

なお、”privacy”は”Webster”によれば "the condition of being apart from company or observation" とされている。即ち、「私生活」のことではあるまい。これは飽くまでも日本語であると知るべし。余談だが、外国人が持ち物にイニシャルを入れて個人の持ち物であることを示している。日本語では「お名入れ」だが、これは”personalization”と言われている。

*ピットイン   pit stop、
解説)このように "in"と"out"、"up"と "down" を恣意的に使っている造語が多いのもカタカナ語の特徴であると思う。イメージアップ、イメージダウンもその例になると思う。

*ゴールイン   finish or reach the goal or break the tape、
解説)これも上の例と同じだが、ゴールアウトと言わないのは何故だろう。

*メインバンク      main financing bank、
解説)昔は「主力銀行」と言っていなかったか?これなどは遍く用いられていて如何にも英語らしい。だが、そうではないので要注意だ。アメリカにはこういう観念というかシステムがないと聞いた。であるから、ここに掲げたものは所謂「意訳」である。これは本来は”The main bank”とすべきなのだが、それを見たアメリカのビジネスパーソンは "Central bank"、すなわち「中央銀行=日銀」かアメリカの "FRB" のような意味に取った。面白いが困った現象ではないか?

*スケールメリット    advantage or economy of scale、
解説)これも良くできた造語である。良く「単語」を知った人が単語を並べた結果で出来たものと考えている。「メリット」をここに持ってくる知識があれば、何とか意訳ができたはずだと思う。”merit”とは何か褒められ、賞を貰え、崇拝されることを指すと思う。

この項はまだ続く)



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