新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

「オーバーツーリズム」が引き起こす小さな迷惑

2024-05-20 07:12:59 | コラム
山手線の車内で:

一昨日のことだった。昼前から午後にかけて山手線を高田馬場→有楽町→新大久保と往復で一周した。晴天の土曜日の午前中のことでもあり、往路の車内はインバウンド様たちを含めてかなり混み合っていた。新宿区を離れ出すと間もなく起きる現象で、旅行者と思しき白人(アジア系ではないという意味だが)が数多く乗ってくるのだ。

そこで起きる私に言わせれば困ったことは、彼等の殆どは大きなトローリーケースを抱えているか、リュックサックを背負っている状態なのだ。しかも、彼等の多くは公共交通機関が発達していない国から来ているのか、乗った時の作法を心得ていないので宜しくないのだ。彼等は乗り込めたことに満足するのか、ドアの近くにどっしりと構えて動こうとせず、多くの場合楽しげに談笑し始めるのだ。

これでは後の駅から乗ってきた我が同胞たちは中に入っていけないどころか、身動きも出来ない場合すら生じてしまうのだ。だが、彼等インバウンド様たちは自分らが乗客の交通の妨げになっているとは気が付かないのだ。また、我ら日本人は奥ゆかしく遠来の客に遠慮するのか「そこを退いて下さい」などと話かることはされない。第一、勇敢にそれを英語ででも言えとなったらかなり苦戦してしまうだろう。

故に、ドアの付近は混雑していても、車内の中程は空いている状態になってしまうのだ。私はそういう状態を見るに付けても「困ったことだ」とは思うが、自分の席から立ち上がって彼等の中に割り込んで、このマイナーリーグ的とも言える「オーバーツーリズム」を注意してやろうかというところまで考えたことはなかった。

だが、一昨日は有楽町から運良く座れた優先席のすぐ前に浜松町から並外れた大型のトローリーケースを引っ張っているだけではなく、前方に大きなリュックサックを抱えた温和しそうな白人の青年が乗ってきた。彼は矢張りドアとドアの間に立ったままで新宿まで来た。何処で降りるのかなと思えば、新大久保でドアが開く方に移動して塞いでしまった。

ここまで来れば「これはいかん」とばかりに立ち上がって「次の駅でこのドアが開くし、私は降りるから退いて欲しい」と告げた。すると「私も降りるから移動したのだ」と言うから「貴方はズッと交通の妨げになってきた上で、今度はここを塞がれては宜しくない」と告げると「これだけの荷物を持っているので中に入れなかった」と言い訳。「それは君の勝手で、我が国の交通機関では他の乗客に迷惑をかけないよう心掛けよ」と教えて終わりにした。

都内でも慣れた在留の外国人たちはバスや地下鉄でも移動するし、マナーは守れるようになっている。だが、インバウンド様たちはそうとは行かない。であれば、予め旅行案内のパンフレットの形にして「電車やバスに乗る場合に守って欲しい礼儀作法」を記載して広く知らしめるようにでもしたら如何かと思う。彼らは何の悪意もなく車内の混雑に圧倒されるのか、乗り込んだ場所から動こうとはしない例が多すぎると思う。

これとは話が違うが、何度か利用したソウルの地下鉄では、さほど混み合っていない車内でも、我々夫婦が乗り込んだのを見るや、若者が立ち上がって席に誘導してくれた。この現象は儒教の「年長者を敬え」という教えに基づいているとは思う。「我が国には乗客にも守って欲しい礼儀作法がある」と遠来の客人たちに承知して貰うように努めた方が良いという事。



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