新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

何故我が国の経済が成長しないのか

2023-01-09 08:23:06 | コラム
人口が増えないどころか減っているからでは:

人口問題:
「何故、我が国は一向に成長せず、景気も回復しないのか」と「何故、賃金が上昇しないのか」を、銀行OBの級友(旧友)と語り合ってみた。アナログ時代の二人が導き出した結論は簡単で「我が国では人口が減っているからだ。単純に考えてアメリカの景気が好調なのは人口が1990年代から(その構成は別にして)一気に30%近くも増えて3億3,000万人にも増加したからではないか」だった。

即ち、トランプ前大統領が政策であれほど嫌って見せた南アメリカ等からの非合法を含めた移民が急増し、その他にも世界から理想の楽園だと思って発展途上国やって来る流入人口も増えれば、何が何でも需要も増えただろうし、それに対応する生産設備への投資が雇用を増やしただろう。1980年代にニューヨーク支店に勤務していた彼は「40年も経てば人口が6~7千万人も増えたとは」と驚きを隠さなかった。

更に意見が一致した事は「アメリカに較べれば、我が国では人口の減少傾向が止まらず、そこに今や65歳以上の「非生産的な?」とでも言いたくなる(我々もその一人だが)高齢者が増えれば、消費への出費が総体的に減少するのは当然だろう」だった。

現に1936年生まれのYM氏などは「今更衣料などは新たに買うどころか、堪ってしまったものをどうやって処分するかに悩んでいる。要するに、我々は最早消費の伸びに貢献出来る余地など無くなっている」と言っていた。彼のように富裕であれば「買わずに済ます」のだが、人口の25%以上を占めるに至った高齢者の中には、可処分所得(貯蓄?)に余裕がない人たちも多いのではないか。内需が盛り上がらない訳だ。

中小企業:
次は「事は人口だけではあるまい」だった。それは「我が国に何百万もある会社組織の中で中小以下の企業は、お馴染みの小西美術工芸社長のデイビッド・アトキンソン氏(David Atkinson)が何時も力説するように、それこそ全体の99%近くを占めているのだから、これらの企業を再編成でも出来ない限り、幾ら岸田総理が財界に賃上げを切に要望しても、この99%の隅々までに賃上げが及ばない限り、景気の好転は現実的ではあるまい」という事。

我々が一致した点は「確かにアトキンソン氏が言う通りかも知れないが、未だ嘗て大手企業が抱える無数にある下請け組織に組み込まれた中小以下の企業を、どうすれば再編成出来るかの方法論を、具体的に発表出来た経営者も学者もいないではないか」だった。言うなれば「中小企業再編成は理想論に過ぎず、非現実的な主張だろう」なのである。

私はずっと「何とか出来ていないのは(大企業)経営者の質の劣化である」説を信奉してきた。だが、経営者の方々は上述のような簡単な問題点は熟知された上で経営の任に当たっておられるのだろう。だが、中小以下の企業を再編成して我が国の十重二十重のようになってしまった産業構造を立て直せるものだったならば、「失われた30年」の前の“ジャパン・アズ・ナンバーワン“と褒めそやされていた時期に着手しておけば良かった」と考えていた。

異次元の少子化対策:
しかしながら、世界を見渡してみれば、13億とも14億とも言われている人口を擁する中国、人口が間もなく中国を抜くとも見られているインド等では経済成長があって世界に与える影響が非常に大きくなってきたし、アメリカも人口が増加しただけの成長があったようだ。この点を考慮するときに、岸田総理が唱えた「異次元の少子化対策」は、将来を見通した適切な政策であると思っている。だが、その政策が現実的に効果を発揮するのは何十年先になるのだろうか。

となると、少子化対策の前に「戦時中の『生めよ、増やせよ』のような頃にまで戻って、人口問題を見直す必要があるのでは」と考えてしまう。我々の悲しい結論は「最早90歳台に入った我々の世代では、景気回復に貢献のしようがないではないか」だった。あーあ。



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