新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

8月3日夜の対スペインのサッカー

2021-08-04 08:06:41 | コラム
世界の強豪国スペインは上手くてもフェアーじゃなかった:

先刻承知していたことだったが、後難を恐れて言うと「スペイン代表は彼ら独得の狡猾さを見せて勝ってしまった」となるだろう。善戦健闘した我が代表には申し訳ないが、試合が始まって間もなく「何処までも一所懸命に耐え抜いて延長戦くらいには持ち込めるだろうが、とても勝てる相手ではない」と見えてしまった。我が方の吉田麻也を中心とした懸命の守備で見事なパス回しで攻めてくるスペインの巧みな攻めに耐えて、機会があれば反撃に出たが、後述する彼らのフェアーではない守備に何度も食い止められてしまった。

以前にも触れたことがあるが、フットボールのアメリカの強豪大学のコーチがやって来て我が国の指導をした際に、最初に教えたことは「何処までやれば反則の取られないで済むか」というルールの限界を知らされたそうだ。私が見たスペインのサッカーは、まさしくその類いの守備が多かったのだ。即ち、少ないチャンスを活かして我が方の誰かが単身でボールを持って抜いて走り始めると、後方から追いかけてきたデイフェンスが抱きついて倒すか、巧みに足をかけて転がすのだった、何れもイエローカードを貰わない程度の悪質さで。

私の記憶では少なくとも4~5回はこの手段で無為に終わらせられた。前半に一度だけ8番にカードが出されたところ、彼は交替第1号で引っ込められた。何とも巧みで狡猾な戦法であると感心させられた。その後もこのやり方で3人ほどにカードが出されたが、ゴールを狙ってフリーキックを蹴る場所でではないので、大勢に影響はなかった。

私は世界の強豪ともなると、形振り構わずに格下を相手にしてもフェアープレーなど何処吹く風でやってくるものだと、あらためて認識させられた。この抱きつき手法はニュージーランドも採用していた。我が国も対抗すべく見習うべきとは思えないのだが。

このようなスペインの悪質さも、我が方にとっての敗因の一つだとは思う。だが、既に触れたようにFWというか点取り役として期待されて選ばれてきた林と前田と上田の力不足も敗因に挙げて良いだろう。特に下手だったのが林大地で、何度も得点機を逃していた。彼は森保監督のお眼鏡違いか、または他に適材がいなかったのだろう。特に酷かったのが、前半に単独でペナルティエリアの右サイドに入った際に右足で蹴ってゴールの遙か上を通過させたこと。あの場面では左足で蹴るのが大原則なのだ。基本を知らない下手っぴーだった。

時々画面にボール占有率が出ていたが、あれは我が方はスペインに持たれてしまうことを予め心得ていて、言わば引いて守っていたので仕方がない数字だったと思う。それにスペインは余程良い形にならない限りシュートしないので、ついついボールを保持される時間が長くなっていたのだと思う。そのパス回し戦法に対して富安が欠場させられた守備陣が、吉田麻也の獅子奮迅の活躍で良く耐えたと賞賛したい。だが、幾ら良く守っても、守っているだけでは勝ちには繋がらない。即ち、強力なポィントゲッターの養成が急務だろう。

スペインはアンフェアーな守備の他に、堂安と久保を実に巧みに封じ込んで見せた。何度でも同じ事を言えば、彼ら2人以外の質が向上しない限り、あの両名を活かすことが出来ないのだ。私が驚いた事は、森保監督は延長戦に入ってこの両名を引っ込めて前田と上田を入れた点だった。これでは攻めるのを放棄したという意思表示に採れた。同時に感じたことは、監督は既に敗戦と見切って3位決定戦のために久保と堂安の温存を狙ったのかということ。それが奏功するか姑息だったかは、メキシコともう一回当たれば解るだろう。

我が方がA代表級の者たちが中心のスペインにあそこまで対抗(決して抵抗ではない)出来たのは賞賛に値すると思いながら見ていた。だが、同時に世界の強豪に成長するために何が不足しているかも見えたと思う。サッカーだけに限られたことではないが、オリンピックで多くの種目を見る機会を得て痛感したことは「体格と身体能力の差」である。特にサッカーでは足の長さの違いに苦しめられていたが、こればかりは如何ともし難い。ヒントになるかどうか「小柄な私が高校の監督に厳しき言われたこと」は「素早い技を習得して体格の不備を補え」だった。

それと全部の試合を見ていて不思議だったことがあった。それは我々の古き良き時代の蹴球では「デイフェンスの裏を衝くパスを出すときには、現在のように高速で低くは蹴らなかった」のである。このパスだと彼らの長い足に引っかかってしまうのだ。我々はインステップでバックスピンをかけてデイフェンスの裏に落ちるような高い球を蹴っていたものだった。これだと、走り込んでくるレシーバー(とは言わなかったが)の足下にピタッと止まるので、処理しやすいのだ。現代のプレーヤーたちの技術ならばこういうパスなどは簡単に蹴ることができると思うのだが。

吉田麻也は「もう一回懸命にメキシコと戦ってメダリストになる」との決意を語っていた。森保監督の久保と堂安を温存したのが3位になる狙いだったならば、期待してもう一度気合いを入れて観戦しようと思う。でも、何故あの両名を引っ込めたのだろう。



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