新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

「音読・暗記・暗唱」を繰り返して英文法を克服しよう

2022-10-30 08:06:16 | コラム
産経新聞が「シンデレラスマイル」と表記した:

 先ず強調しておくことは「如何なる国の言語でも最初に文法があって、後から話し方や書き方をそれに合わせたものではない」という点である。我々日本人は最初に日本語の文法を教えられてから、それに従って話せるようになった訳ではあるまい。

 私はこれまでに繰り返して「覚えるだけでも面倒な英文法を音読・暗記・暗唱で何とか克服した」と述べてきた。生き物である言葉を後から追いかけて、何とか規則を見つけ出して理屈っぽく科学のようにして解り難くしたのが英文法なのである。その解りにくい英文法を何とか自分の物にできた手段が、それこそ何方にとっても“believe it or not”だろう「音読・暗記・暗唱」だったのだ。

それは「繰り返して音読し暗記する間に自然に正しい文法の形が頭に入って、英語で何か書く場合でも、話そうとする場合にも、文法的に誤りであるか不正確な表現(言葉か熟語等)は出てこなくなった」のである。その間に正しい文法を学校で教えられ、その文法が後から追いかけてきて「なるほど。ここにはそういう原理・原則があったのか」と理解できたのだ。

 ここで「先に文法があった訳ではない」と証明できるだろう、アメリカ独特の冗談を紹介しよう。未だ野球が存在しなかった頃に、野球をあの覚えにくい細かい規則まで考え出した人がいたのだそうだ。その人物はスポーツ界の権威者にプリゼンテーションをして「こういう競技を広く普及させましょう」と訴えたのだそうだ。すると権威者が「そんな面倒な規則でがんじがらめにされた競技が受け入れられる訳がない」とにべもなく却下したという話だ。

現在、アメリカでも我が国でも野球はあれほど広く普及しているが、楽しげに野球をやっている子供たちは最初に野球のルールを教えられてから始めることはないだろう。プロ野球の選手でも細大漏らさずあの細かいルールを完全に覚えていない選手だっていると聞いている。

今では小学校の児童までに英語を教え始めているようだが、小難しい文法を優先的に教えてしまえば、児童や生徒たちに「英語嫌い」を早期に養成してしまう結果になるのではないのかと私は本気で心配している。

話を「シンデレラスマイル」に戻そう。これを英語にしてみれば、“Cinderella smile”となって「シンデレラが微笑む」の意味になってしまうので、英語本来の“smiling Cinderella”の「微笑みのシンデレラ」とは意味が違ってしまう。しかもシンデレラを主語にしてしまったのだから、smileの後に「3人称単数の“s”」を付けねばならないのだ。「音読・暗記・暗唱」が徹底されていれば、何も考えなくとも、この“s”が自然に口から出てくるはずだ。産経新聞ともあろう会社が、この文法の大原則を忘れたカタカナ表記をしたのは非常に遺憾に思った次第。

ここで問題にしたいことは「動詞に“in”を付けた進行形を形容詞に使った語法」で“smiling”が出てきているのだ。他の例を挙げてみれば「流れ星」という意味の“shooting star”なんていうのが浮かんできた。未だ未だあるので、He is a walking encyclopedia(dictionary.)と言えば「彼は生き字引のように物知りだ」となるが、walk dictionary では文法的にも誤りで意味を為さなくなるとご承知願いたい。

 また、“running expenses”は「経常費」事で、ここでも進行形でなければならない。維持費は“operating cost”であるが“running cost”でも良しとなっている説もようだ。

 結びに強調しておきたいことは「言葉が先にあって、後追いで出てきた文法の枠に縛られる前に、何とかして多くの例文を音読・暗記・暗唱を重ねて覚える事を優先しましょう。理屈はその後から追いかけても間に合った先例がここにあります」なのだ。

これまでに紹介した「音読・暗記・暗唱」を繰り返して、英語そのものを自分の物にした成功例」には何度か出会っているのだ。誤解なきよう申し上げておきたいことは「これは決して文法を無視した勉強法ではなく、学校の英語教育で教えられる文法には真剣に取り組まねばならないのである」という点だ。

繰り返して言うと「言葉が先にあって、文法という理論乃至は科学は後から追いかけてきたのであること」である。

なお、「シンデレラスマイル」と表記した産経新聞の記事が出たのは、2019年8月6日である、念の為。渋野日向子さんのことだった。


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