新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

「アメリカンイングリッシュ」と「キングズイングリッシュ」は違うのでは

2024-06-30 08:15:11 | コラム
我が国ではKing’s EnglishがAmerican Englishよりも尊重されているのでは:

昨日は「マートン・コレッジには参った」とマスコミが扱うカタカナ語に驚かされたことを述べてあった。

それは、昭和20年に中学に入学して最初に教えられた発音がアメリカンイングリッシュだった私は、戦後間もなくにはGHQの秘書だったHelenにアメリカ語での会話を厳しく教えられたので、アメリカ式の発音が身についていたのだった。尤も、中学の途中で我々日本人には馴染みやすいイギリス語との中間を目指すようにはしたが。

そこに天皇皇后両陛下が学び舎のOxford Universityの「マートン・コレッジ」他を訪問されたとの報道があったのだ。全ての報道機関はcollegeを「コレッジ」としたのに恐れをなしたのだった。中学の頃からアメリカ式の発音に慣れていたし、39歳にしてアメリカの紙パルプ産業界の大手メーカー2社に転じた私は、22年間アメリカ語の世界で過ごしてきたので、「カレッジ」であるべきcollegeを「コレッジ」とは如何なる事かと慌てた次第。

我が国はUK(グレイトブリテンと北アイルランド、即ちUK)の王室と深い縁があり、一般的にUKに対する畏敬の念があるというか、動もすると同盟国であるアメリカよりも尊敬されているかの感がある。また、戦後では進駐軍の主体を為していたのがアメリカ軍だったことも手伝ったか、それ以後にはアメリカの文化/文明に大きく影響されてきたと言って良いだろう。

そこに、昨日は天皇陛下の晩餐会でのご挨拶が再放送されたのを聞く機会があった。陛下はMerton Collegeを「マートン・コレッジ」としておられた。「そういう事だったのか」と受け止めた。そこで感じたことは「このご挨拶を聞く機会があった報道機関は、陛下の発音に準拠したのでは」と疑ったのだった。

我が国の学校教育においても広くキングズイングリッシュ式な教え方がされているかのようで、厚生労働省の省名の英語表記では「労働」がキングズイングリッシュのLabourとされてアメリカ式のlaborとはなっていないのだ。この綴りをアメリカ政府の人たちが見ればどう感じるかと気になっている。人気が高い映画の“Harry Potter”は「ハリーポッター」であっても「ハリーパター」ではないのである。

このような次第だが、これまでに検索して見る機会があった資料でもcollegeが「コレッジ」だったのは皆無で「カレッジ」だけだった。私が主張したいことは「学校の教育にしても、公共の施設における用語でも、政府の公式な見解としてアメリカ式かUK式の何れに準拠すべきかを努力義務とするように」としたら如何かと思う。アメリカやUKやオーストラリア等の何れに行ってもどちらでも「通じる」のだが、「ポッター」は止めて貰いたいのだ。

我が国では諸説あるようだが、ローマ字は20世紀初頭から普及し始めたようで、戦後には本当に広まって、子供たちが早くから英語のアルファベットに慣れ親しむようになる効果があったことは否定できないだろう。だが、何事にも「コインの裏側」があるので、英語教育でもその影響を受けたのか“a“は「ア」を“o”は「オ」と規則正しく発音するような形が出来上がったのだ、英語という不規則だらけの言語ではそうはなっていないにも拘わらず。

結びとして私が主張したいことは「アメリカ式かキングズイングリッシュの発音や綴りの何れに準拠しようと騒ぎ立てないが、カタカナ表記する場合には基準を明確にして欲しい」のである。即ちpotterは「パター」であり、Mission Impossibleは最悪でも「ミッション・インパシブル」ではあって欲しいのだ。「コレッジ」とするのならば「カレッジ」との違いくらいを何処かで解説しておいてもバチは当たらないのではないか。

余談になるが、オリンピックのゴルフの優勝者(ゴールドメダリスト)Nelly Cordaが犬に咬まれた負傷でトーナメントを棄権したことは「ネリー・コルダさんが棄権」になっていた。アメリカには「コーダさん」はいても「コルダさん」はいないと当時あれ程指摘しておいたのに。


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