新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

危うし、小池都知事

2016-10-29 08:24:07 | コラム
小池包囲網かな:

私は以前に「小池都知事は手を広げ過ぎで、何処かで戦線を収縮しないと」と言った。小池さんは立候補の時点では物質的な第一の標的が豊洲市場問題で、オリンピックの予算問題は二番手だったと思っていた。私はこれらの案件を掲げた以上、就任後には迅速な解決を目指す手を打つのだろうと少し期待して眺めていた。前任者のようにドンとやらに牛耳られることもなく、正当に改革を進めようとすると、反対派が頭を持ち上げてくるものだ。これが世の常のようで困る。

事実、豊洲市場の移転延期は速やかに宣言された。だが、この問題は掘り下げていけば行くほど簡単には処理できない石原元都知事の「記憶にない回答」等の妙な事案が表に浮かんできて、到底短期間に解決できる状態ではなくなったどころではなく、豊洲移転諦め説まで報じられるようになってしまった。それが小池さんの責任であるとまでは思っていないが、何故あの様なことになってしまったかの解明に時間を盗られているのは、前任者その他の関係者全員の問題だろう。

それよりも事態がこじれてしまったのが、オリンピック3会場の問題ではないか。小池さんはIOCバッハ会長に「予算を削減するのが最大の狙い」と言ってその点には賛同されたが、それ以外では各競技団体のIFやNFに挙って異を唱えられ、寧ろ窮地に立たされてしまったとすら見える。私は反対勢力というのか各団体の代表者たちが一斉に口裏を合わせたかの如くに「レジェンド」とやらに拘泥し「アスリート・ファースト」を声高に唱えるのも、面白い現象かと思って眺めている。

余談だが、私の語彙では在職中にでも使った記憶がなく、聞いたことがあった程度の難しい単語である”legacy”を事も無げにカタカナ語化して使ってみせる方が多いのにひたすら恐れ入っているし、「アスリート・ファースト」だって凄いと思っている。「選手たちの為に」ではスローガンにならないと思っているかの如き風潮も凄いと思う。私は確かに選手たちに配慮するのは結構だが、「観客が見やすくようにすること」が何故議論の対象にならないのが不可思議だと訝っている。

さて、小池都知事である。報道によれば「宮城県の長沼ボート場は時間的に間に合わないかも」と都の委員会が表明したそうだ。横浜アリーナとやらにも川淵三郎氏が猛反対を表明されたそうだ。この件が取り沙汰されるようになって以来、各局が使い始めた元JOC委員と聞く春日良一なる人物は恰もIOCと組織委員会が因果を含めて送り込んだかの如くに、反小池勢力の代弁を続けている。彼らにとってはIOCは絶対権力者でそれに逆らうのは天に唾する如き不当行為であると言いたいようだ。

私は小池さんはここまで努力されて、彼女を支える某大学教授以下の応援を得て、オリンピック予算の青天井の如き膨張を衆目に曝し、その削減の必要性を遍く知らしめただけでも十分に功績があったのではないかと評価している。だが、その先にいたのが「蚤の頭脳」と、もしかして「IOC様命」の組織委員会長様で、彼の指揮の下に多くの反対勢力が立ち塞がってしまったかのようで、極めて小池さんにとっては不利な状態に立ち至ったと思うのだ。

反対派とまでには至っていないが、批判派の中には「オリンピックとスポーツの世界が何であるかを認識出来ていないので、このままことが進めば小池都知事が職を投げ出してしまうこともあり得る」とまで予想する人も現れていた。私には「その通りかな」と思わせてくれた。だが、それはそれとして、小池都知事は何処かで何かを譲って会場問題だけについては矛を収めることを考えないと、予算削減という都民の負担を減少させる狙いも達成できなくなりはしないかと、密かに憂慮している。兎にも角にも「都政大改革」をお忘れなきようにとお願いする次第だ。



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