新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

「電子計算機」を使用した詐欺罪

2022-05-21 09:18:34 | コラム
懐かしき電子計算機:

電子計算機の思い出:
田口翔なる24歳の青年が巻き起こした「電子計算機使用詐欺罪」は、私にとっては何とも懐かしい60年ほど前の記憶というか経験を思い出させてくれたのだった。今では誰もcomputerのことを電子計算機とは呼ばなくなった。私が当時所属していた国策パルプ(現日本製紙)の内販会社で担当していた重要な業務の一つが「電子計算機でアウトプットするときに使われる印刷用紙」だった。これは現在で言う情報用紙だが、往年は「連続伝票用紙」略して「連伝」と呼んでいた。

それが、21世紀の今日になって、何と田口某の行為は犯罪であり「電子計算機使用詐欺罪」に当たるとして起訴されたというのだった。私が先ず意外に感じたことは、法律上では未だにcomputerが電子計算機と呼称されていて、どうやらスマートフォンもその電子計算機の範疇に入れられている点だった。

当時は。我々この連電用の紙を担当していた者たちは電子計算機を諧謔的に「記憶装置付き電子式卓上計算機」など呼んで、その計算機が産み出す資料をアウトプットする為に使われるプリンタが紙に求める非常に厳格なスペックに悩まされていた。それと言うのは「このプリンタは用紙が空気中の湿気を吸うか吐くかして1mm以下でも寸法が狂うことを許さなかったほど微妙な機械だったのだ。お断りしておくが「紙は生き物で常に含有水分を吐くか、大気中の湿度を吸ってしまう性質がある」のである。

あらためて解説すると「紙は空気中の湿気に微妙に反応し、もしも含有水分が規定値以下に低いと吸湿して伸びてしまうし、高過ぎると含有した湿度を放出して縮んでしまうのである。60年も前の仕事なので記憶は定かではないが、印刷室内は相対湿度60%で温度20度Cに保たれていて、この条件では紙の含有水分は5%(だったか)に調整せよと言うような条件が付いていた。問題点は「紙が伸びたり縮んだりすると、正確に印刷できなくなってしまう」のだった。即ち、如何なる条件下でも伸縮しないような紙を作れというのが至上命令だった。

そんな、最早記憶も薄れかかっているような60年程前のことを思い出させてくれた、田口某の犯罪行為だったのだ。しかも、正確なことは解らないが、その行為の際に使用されたのがスマートフォンで、銀行預金を動かしてオンラインカジノとやらで、使いきったということらしい。その罪名が電子計算機使用詐欺罪とされたようだが、スマートフォンまで一括りにして電子計算機としてしまっているのは、時代にそぐわない法律の体制の不備ではないのかという気がする。

私は今日までに携帯電話という名称はあると承知していたが、スマートフォンに対応する漢字を使った名称には出会っていないと思う。検索すると、法的にもそういう言葉はないようで、総務省では「インターネットで使用される高機能携帯電話である」のような呼び方しかないようだった。これでは何となく法律か規制かが、現状に追い付いていないのではないかと思える。

カジノとは:
未だにデイジタルデイバイドの世界に棲息している高齢者としては、24歳とか報じられている田口某がスマートフォンを駆使してオンラインカジノに無慮4,000万円もの大金を投じて全敗した(本当に、か?)という、電子の世界に精通している知識には驚かされている。だが、そう告白しただけで、大金は密かに何処かに蓄えられているのかなどと疑いたくしまう。

私は彼がインターネットの世界に通暁していたと仮定しても、カジノに投じたというのは余りに杜撰だと思うのだ。そう言うのは、僅か2回しかラスヴェガスのカジノに入ったことしかないが、その際に同行した社長さんが「あれよ、あれよ」という間に大金を失っていく様子を、かなり長時間観察していた経験があるのだ。私自身はこの時も、その後でもカジノでは$1も投じていないが、彼が負けていく様子を一晩中見ていただけ。私はカジノを運営している側は利益を生み出す為の組織で、お客様を楽しませているだけではないのかと思うのだ。

それでもカジノのギャンブルで短期間に財をなすことは非常に難事業であろう事は、良く解ったのだった。田口某君はカジノとは安易な金儲けの手段で簡単で稼げて、4,000万円を倍にでも出来ると思っていたのだろうか。