新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

ローマ字読みとその表記を排斥するの弁

2022-05-19 08:19:42 | コラム
NATOは「ナトー」ではない:

これは一昨日取り上げた「何処の何方が如何なる権威の下に決めるのか」で、その一例としてNATO(北大西洋条約機構)は「ネイトー」と表記すべきだと論じたのに対して、畏メル友RS氏から「NATOの発音はアメリカ・イギリスでは、ネイトーですが、デンマークを除くほとんどの欧州の国ではナトーです。」と具体例を挙げて指摘された。この指摘には異論は無い。だが、私が主張したかったのは「元の言葉とは異なってしまうローマ字読みと表記は止めよう」という点なので、NATOはその一例として“a”の表記を取り上げたのだった。

このローマ字式の表記を排除しようというのは、私のカタカナ語排斥論の一部である。ローマ字式英単語の読み方が原語と違うのは何も“a”の場合のみに限られたことではない。だが、「ナトー」が近頃ロシアによるウクライナ侵攻があった為に頻繁に取り上げられ、特に耳障りなので例に用いただけのことだ。

思いつくままに本当の英語の発音とは違う表記になっている“a”の例を挙げてみよう。

パトリオット:
これはpatriotなので、英語の発音に近い表記をすれば「ペイトリアット」と辺りになるだろう。だが、既に「パトリオット・ミサイル」のように、日本語の戸籍を得ている。

オアシス:
英語の単語はoasisであり、ジーニアス英和にはわざわざ《発音注意》としてあり、そこにある発音記号によれば「オウエイシス」となるよう表記されている。これも戸籍取得済み。

カオス:
もとはchaosで、ジーニアス英和でもOxfordでも発音記号は「ケイアス」または「ケイアース」となっている。これも「カオス」で戸籍を得ている。

Gary:
カタカナ表記は「ゲーリー」しか見たことがない。だが、この名前の発音は「ゲアリー」と表記すれば、最も英語に近いと思う。以前にこんな川柳を披露したことがあった。それは「ゲーリーとは俺のことかとクーパーが」なのだが、今時、Gary Cooper何て言っても通じない気がする。

実は、かく申し私も「ゲーリー」だと思い込んでいて、訪れた先で家族に「ゲーリーはいないのか」と家族に尋ねた事があった。すると、答えは「我が家にはゲアリーはいるが、ゲーリーはいない。ゲアリーならば本日外出中」だったのには、汗顔の至りだった。これに関連して面白い現象がある。それは、Maryさんを「メーリーさん」とすることは先ずなくて、メアリーとなっていることだ。

要するに“a”を素直にローマ字式に「ア」と発音しない例が多いのだと申し上げたいのだ。

ビニール:
全く話は変わるが、こういうカタカナ表記も取り上げておこう。今や、あらゆるプラスティックフィルムの代名詞の如くになってしまっているこの言葉の綴りはvinylで、その発音は「ヴァイヌル」が最も近い。だが、このPVC(塩化ビニール)が我が国に導入されて以来「ビニール」になってしまった。