NYダウは、やはりというべきか、大きく下げました。原油も金も同様に下げました。新規失業保険件数は確かに予想の475K件に対して497K件と増えましたが、前月の修正後の数字とほぼ変わりません。
GEの公募価格が実勢価格より2ドル程度安かっただけで大幅に売り込まれております。今はあのアメリカを代表する企業の1つであるGEすら金融部門の不振で資本増強を迫られているのです。
次回FOMCでは0.5%の大幅利下げを市場は90%織り込みました。いずれ日本と同じレベルになるという観測まで出てきております。
2001年からのITバブル崩壊の過程では、2000年12月の6.5%から2001年12月の1.75%まで、1年間で4.75%下げました。その後横這いが続くも2003年6月には1%まで引き下げ、これが1年間続いております。
今回は1%を割るところまで行くかも知れないというのは、ITバブル以上の深刻な金融危機からすれば当然でしょう。
今、円高には動いておりません。これは、アメリカが持つ対外資産が資金繰りのために各国で激しく売られているためです。日本の株式も債券も例外ではありません。
アメリカの対外資産であるこれら株式や債券、そして直接投資額を、対外負債とともに確認しておきます。(2007年末現在)
対外資産:17兆6千億ドル(ドル建て50%)
対外負債:20兆ドル(ドル建て90%)
この対外資産の現地通貨建て資産が売られて、ドルに換えるためにドル買いが起こり、現地通貨である円安が維持されているのです。
一方、昨日のブログで書いたように、GEのファイナンス部門などを含む世界の金融機関の総資産は48兆ドル(注)もあります。(フィナンシャル・タイムズ)問題は、この資産(金融機関にとっての負債)の相当部分が毀損しているであろうことです。
住宅関連の資産は23兆ドルですが、これは5%や10%の毀損ではもはやないでしょう。そうなると48兆ドルの10%から15%は毀損しているか、それに向かっていると考えるのが自然です。15%なら7.2兆ドルです。10%なら4.8兆ドルです。5兆ドルとしても525兆円もの巨額です。日本の不良債権額が公表値で100兆円でした。今回のクランチの大きさが分かります。
この5兆ドルをどうやって救うのか?ざっくり言って500兆円です。
アメリカは7000億ドルの財政支出です。その他ヨーロッパでも公的資金投入の動きがありますが、仮にアメリカと同額を出しても1兆4千億ドル程度。約150兆円。
もちろん金融機関もさらに必死に増資の努力をするでしょう。しかし、バフェットまで出してしまった後です。出せるところはもう限られてきております。これまでの増資総額30兆円見当が更に捻出できれば上出来でしょう。500兆円の10%にも満ちません。
合わせて180兆円見当です。500兆円必要なところ多く見ても約200兆円しか手当出来ません。残り300兆円です。
しかし、事態はこれだけでは済みません。最近のデータで確か57兆ドルに多少減っているとは言え、CDS問題があります。これは金融機関同士の相対取引ですので、ゼロサムゲームの典型ですが、いわゆる値洗い(ネッティング)を何としてもうまくしなければなりませんが、これをどうやって世界中に張りめぐらされたCDSを集めて解きほぐしていくのか?その前に弱肉強食の世界から、徳政令ですべてチャラにするような政策を世界各国が連携して行えるのかどうか?
この問題の処理を誤ると、それこそ弱い鎖から切れ始め、全ての金融機関が一蓮托生で破綻しかねません。地獄の淵に佇んでいる者同士が、自分だけは転落を免れようとして鎖を切ったつもりが、別の鎖に絡め取られて共に落ちる光景です。
このCDSは差し置いておいても、300兆円の不足がどういう事態を招くのか?
これは欧米の中央銀行がドルを一斉に市場に供給していることを続けるしかありません。実はこれが出来ることが1929年の世界恐慌とは根本的に違う点です。そのために、世界の金融機関の即時凍死を免れております。
しかし、誰でも分かることですが、これを行うといわゆるマネーの希薄化が激しく起こります。ドルの激しい減価です。
上記のアメリカの対外純資産と負債の差2.4兆ドルが、対外資産(株式と直接投資が48%を占めます)の取り崩しにより益々拡がります。株式と直接投資分の約8兆ドルのうち30%の取り崩しがあったとして、2.4兆ドルの対外資産の取り崩しとなります。
そうなると約5兆ドルに資産と負債の不均衡が拡がります。
対外負債20兆ドル、対外資産15兆ドルといったところでしょう。
この5兆ドルを均衡させるだけのドル安圧力が働く筈です。25%のドルの減価ということです。するとドルはざっくり言って、今の100円が75円相当にならねばなりません。
最後は、雑駁な計算になりましたが、この際、こうしたマクロな視点からの計算が必要です。特にCDSなどのデリバティブ取引は誰も正確なところは分かっておりません。
少しでも今の経済が置かれた状況の理解の参考になればと。。。
注)10月3日付けの日経夕刊によれば、この国際金融市場の資産残高の73%は欧州の銀行が占め、米銀は9.3%、邦銀は7.6%となっております。これほどの差があるとは思いませんでした。これからの欧州銀行の動向にも注目ですが、欧州での不良債権問題はアメリカから周回遅れで発生しております。ということは、これからもっと世界経済はひどい局面を迎える可能性もあるということになります。
GEの公募価格が実勢価格より2ドル程度安かっただけで大幅に売り込まれております。今はあのアメリカを代表する企業の1つであるGEすら金融部門の不振で資本増強を迫られているのです。
次回FOMCでは0.5%の大幅利下げを市場は90%織り込みました。いずれ日本と同じレベルになるという観測まで出てきております。
2001年からのITバブル崩壊の過程では、2000年12月の6.5%から2001年12月の1.75%まで、1年間で4.75%下げました。その後横這いが続くも2003年6月には1%まで引き下げ、これが1年間続いております。
今回は1%を割るところまで行くかも知れないというのは、ITバブル以上の深刻な金融危機からすれば当然でしょう。
今、円高には動いておりません。これは、アメリカが持つ対外資産が資金繰りのために各国で激しく売られているためです。日本の株式も債券も例外ではありません。
アメリカの対外資産であるこれら株式や債券、そして直接投資額を、対外負債とともに確認しておきます。(2007年末現在)
対外資産:17兆6千億ドル(ドル建て50%)
対外負債:20兆ドル(ドル建て90%)
この対外資産の現地通貨建て資産が売られて、ドルに換えるためにドル買いが起こり、現地通貨である円安が維持されているのです。
一方、昨日のブログで書いたように、GEのファイナンス部門などを含む世界の金融機関の総資産は48兆ドル(注)もあります。(フィナンシャル・タイムズ)問題は、この資産(金融機関にとっての負債)の相当部分が毀損しているであろうことです。
住宅関連の資産は23兆ドルですが、これは5%や10%の毀損ではもはやないでしょう。そうなると48兆ドルの10%から15%は毀損しているか、それに向かっていると考えるのが自然です。15%なら7.2兆ドルです。10%なら4.8兆ドルです。5兆ドルとしても525兆円もの巨額です。日本の不良債権額が公表値で100兆円でした。今回のクランチの大きさが分かります。
この5兆ドルをどうやって救うのか?ざっくり言って500兆円です。
アメリカは7000億ドルの財政支出です。その他ヨーロッパでも公的資金投入の動きがありますが、仮にアメリカと同額を出しても1兆4千億ドル程度。約150兆円。
もちろん金融機関もさらに必死に増資の努力をするでしょう。しかし、バフェットまで出してしまった後です。出せるところはもう限られてきております。これまでの増資総額30兆円見当が更に捻出できれば上出来でしょう。500兆円の10%にも満ちません。
合わせて180兆円見当です。500兆円必要なところ多く見ても約200兆円しか手当出来ません。残り300兆円です。
しかし、事態はこれだけでは済みません。最近のデータで確か57兆ドルに多少減っているとは言え、CDS問題があります。これは金融機関同士の相対取引ですので、ゼロサムゲームの典型ですが、いわゆる値洗い(ネッティング)を何としてもうまくしなければなりませんが、これをどうやって世界中に張りめぐらされたCDSを集めて解きほぐしていくのか?その前に弱肉強食の世界から、徳政令ですべてチャラにするような政策を世界各国が連携して行えるのかどうか?
この問題の処理を誤ると、それこそ弱い鎖から切れ始め、全ての金融機関が一蓮托生で破綻しかねません。地獄の淵に佇んでいる者同士が、自分だけは転落を免れようとして鎖を切ったつもりが、別の鎖に絡め取られて共に落ちる光景です。
このCDSは差し置いておいても、300兆円の不足がどういう事態を招くのか?
これは欧米の中央銀行がドルを一斉に市場に供給していることを続けるしかありません。実はこれが出来ることが1929年の世界恐慌とは根本的に違う点です。そのために、世界の金融機関の即時凍死を免れております。
しかし、誰でも分かることですが、これを行うといわゆるマネーの希薄化が激しく起こります。ドルの激しい減価です。
上記のアメリカの対外純資産と負債の差2.4兆ドルが、対外資産(株式と直接投資が48%を占めます)の取り崩しにより益々拡がります。株式と直接投資分の約8兆ドルのうち30%の取り崩しがあったとして、2.4兆ドルの対外資産の取り崩しとなります。
そうなると約5兆ドルに資産と負債の不均衡が拡がります。
対外負債20兆ドル、対外資産15兆ドルといったところでしょう。
この5兆ドルを均衡させるだけのドル安圧力が働く筈です。25%のドルの減価ということです。するとドルはざっくり言って、今の100円が75円相当にならねばなりません。
最後は、雑駁な計算になりましたが、この際、こうしたマクロな視点からの計算が必要です。特にCDSなどのデリバティブ取引は誰も正確なところは分かっておりません。
少しでも今の経済が置かれた状況の理解の参考になればと。。。
注)10月3日付けの日経夕刊によれば、この国際金融市場の資産残高の73%は欧州の銀行が占め、米銀は9.3%、邦銀は7.6%となっております。これほどの差があるとは思いませんでした。これからの欧州銀行の動向にも注目ですが、欧州での不良債権問題はアメリカから周回遅れで発生しております。ということは、これからもっと世界経済はひどい局面を迎える可能性もあるということになります。
株価とともに円に対して上がりだすのはなぜ?
ご質問の内容が今ひとつ理解できませんので、よろしければ、「どこの」株価が円に対して「何が」上がるのかなど、具体的にお教え下さい。
上昇していると思うのですが。
ということは、為替は相対的に値段が決まりますので、アメリカ経済の「価値」が上がった分、ドル高(円安)になります。
しかし、これは超短期で見た場合のことですが、今日の記事はもっと中期で見ております
確信がないとなかなか踏ん切りがつきません。
アメリカ経済の展望がプラスに傾く→ドル高
なら日本経済もつられて回復→円回復
とも考もとれるし難しいですねぇ。
このような計算から予測値を
導き出せる人に敬意を表します。
ドル円、75円ですか。
相場は常に行き過ぎるので、
瞬間風速値として、60円割れも
考えています。
日経平均では4000円~6000円辺りかと。
恐慌だけはナシよ。