任天堂の第1四半期決算が7月30日に発表されました。市場はその結果に失望し、翌31日の株価は1220円も下落しております。
しかし、この結果は任天堂を打ち負かすアップルという記事で書いたように、ある程度予測できるものでした。
今回の任天堂の第1四半期決算短信を見て驚くのは、エリア別の売上と営業利益の実績です。
・日本(売上高3054億円、営業利益722億円)
・南北アメリカ(売上高1036億円、営業利益4億円)
・欧州(売上高906億円、営業損失5億円)
・その他(売上高267億円、営業利益20億円)
日本以外はまさしく悲惨な状態です。
更に、主力製品の販売状況を見てみます。
・DSの全世界販売台数:597万台(累計では1億775万台)
・DS用ソフトの全世界販売本数:2909万本
・Wiiの全世界販売台数:223万台(累計では5262万台)
・Wii用ソフトの全世界販売本数:3107万本
対するアップルは、iPhoneとipod touchの累計出荷台数が3700万台とDSより少ないものの、1ヶ月あたり700万台の増え方となっております。そして、驚異的なのはそれらのソフトが1ヶ月強で2億本のペースで増えていることです。
つまり四半期で見ると、ハードは任天堂の820万台に対して、アップルは2.5倍の2100万台ペース。ソフトは任天堂の6016万本に対して、何と10倍の6億本のペースなのです。
結果、アップルの4-6月期の売上高は前年同期比12%増、任天堂は前年同期比40%減と対照的な決算となりました。
明らかにソフトのビジネスモデルの違いからくる、圧倒的な数量差が明暗を分けたと言っても過言ではありません。
このアップルのソフト販売のビジネスモデルはリンク先をご覧頂くこととして、今日は、任天堂はこのままでは潰れてしまうということを言いたかったのです。
アップルのこのビジネスモデルは、いわゆるコラボレーション・ウェブの発想を取り入れたものです。対する任天堂は自社で囲い込む一品料理をパートナー経由で提供し、高い寺銭を取るという、ファミコン以来の閉鎖的なビジネスモデルです。
この自社の利益を最大化するための戦略としてのクローズド・アーキテクチャーが、オープン・アーキテクチャーに破れてきた歴史は枚挙にいとまがありません。思いつくままに、ソニーのベータマックスのVTR(対ビクターのVHS)、IBMのトークンリング(対ゼロックスなどのイーサネット)そして今、マイクロソフトのOSがリナックスばかりか、グーグルのクロームOSの脅威に晒されております。
ここに任天堂の致命的な戦略ミスがあります。もっとも、これまではソニーのプレイステーションという同じ土俵の相手が競争者だったために、任天堂のこの戦略も功を奏してきた訳ですが、そのサクセス・ストーリーが今や命取りになろうとしております。
インターネット時代の幕開け時に出遅れ、その後も苦労しているマイクロソフトに良く似ております。
そのマイクロソフトのOSより、リナックスの方が信頼性が高いことは専門家も認めております。その証拠にNASAのスーパーコンピューターはリナックス搭載です。世界のウェブサーバーの半数以上もリナックスです。
何故、信頼性が高くなるのか? それはある意味で単純な事実に基づきます。
それは、1人で考えるよりグループで考えた方が良い結果を生むこと、特定のグループより会社全体が、更には1つの会社より周りの多数の会社とのアライアンス的な結びつきが、そして、最後には、ユーザーも含めた世界の誰でもが参加できることが最良の結果を生むことが、様々な研究事例から実証されているためです。
まさに「凡才の集団は孤高の天才に勝る」(キース・ソーヤー著、ダイヤモンド社、2009年3月5日刊)で書かれているグループ・ジーニアスの威力ですね。
こうした考え方を大胆に取り入れることにおいて、スティーブ・ジョブスとアップルのチームはただ者ではなかったということになります。
任天堂が、今からでも遅くはありませんが、この戦略に勝るものを打ち立てられるのかどうかが、任天堂が潰れるのかどうかの分かれ道になると思いますが、果たして、岩田社長にこの認識がきちんとあるのかどうか?
この戦略は、何もゲーム業界だけの話ではありません。ありとあらゆるビジネス分野において求められております。
現に、電気自動車が中心の時代になった時、複雑な駆動メカニズムが不要な電気自動車は、自動車製造に全く経験がないベンチャービジネスでも開発・製造が可能です。アメリカ政府から、環境対応車の開発と生産のために低利融資を受けることが決まった会社は、フォードと日産とベンチャー企業のテスラ・モーターズの3社でした。
日本企業のこれまでの最大の特長であるハードの優秀な開発・製造技術だけで、これからも変化し続ける世界に通用するとは限りません。いやむしろ携帯電話のように、その優秀さそのものが、振り返ってみればガラパゴス化しつつあると言っても過言ではないかも知れません。
それを、アップストアで1ヶ月に2億本ものソフトがダウンロードされている事実が示していると思うのです。
しかし、この結果は任天堂を打ち負かすアップルという記事で書いたように、ある程度予測できるものでした。
今回の任天堂の第1四半期決算短信を見て驚くのは、エリア別の売上と営業利益の実績です。
・日本(売上高3054億円、営業利益722億円)
・南北アメリカ(売上高1036億円、営業利益4億円)
・欧州(売上高906億円、営業損失5億円)
・その他(売上高267億円、営業利益20億円)
日本以外はまさしく悲惨な状態です。
更に、主力製品の販売状況を見てみます。
・DSの全世界販売台数:597万台(累計では1億775万台)
・DS用ソフトの全世界販売本数:2909万本
・Wiiの全世界販売台数:223万台(累計では5262万台)
・Wii用ソフトの全世界販売本数:3107万本
対するアップルは、iPhoneとipod touchの累計出荷台数が3700万台とDSより少ないものの、1ヶ月あたり700万台の増え方となっております。そして、驚異的なのはそれらのソフトが1ヶ月強で2億本のペースで増えていることです。
つまり四半期で見ると、ハードは任天堂の820万台に対して、アップルは2.5倍の2100万台ペース。ソフトは任天堂の6016万本に対して、何と10倍の6億本のペースなのです。
結果、アップルの4-6月期の売上高は前年同期比12%増、任天堂は前年同期比40%減と対照的な決算となりました。
明らかにソフトのビジネスモデルの違いからくる、圧倒的な数量差が明暗を分けたと言っても過言ではありません。
このアップルのソフト販売のビジネスモデルはリンク先をご覧頂くこととして、今日は、任天堂はこのままでは潰れてしまうということを言いたかったのです。
アップルのこのビジネスモデルは、いわゆるコラボレーション・ウェブの発想を取り入れたものです。対する任天堂は自社で囲い込む一品料理をパートナー経由で提供し、高い寺銭を取るという、ファミコン以来の閉鎖的なビジネスモデルです。
この自社の利益を最大化するための戦略としてのクローズド・アーキテクチャーが、オープン・アーキテクチャーに破れてきた歴史は枚挙にいとまがありません。思いつくままに、ソニーのベータマックスのVTR(対ビクターのVHS)、IBMのトークンリング(対ゼロックスなどのイーサネット)そして今、マイクロソフトのOSがリナックスばかりか、グーグルのクロームOSの脅威に晒されております。
ここに任天堂の致命的な戦略ミスがあります。もっとも、これまではソニーのプレイステーションという同じ土俵の相手が競争者だったために、任天堂のこの戦略も功を奏してきた訳ですが、そのサクセス・ストーリーが今や命取りになろうとしております。
インターネット時代の幕開け時に出遅れ、その後も苦労しているマイクロソフトに良く似ております。
そのマイクロソフトのOSより、リナックスの方が信頼性が高いことは専門家も認めております。その証拠にNASAのスーパーコンピューターはリナックス搭載です。世界のウェブサーバーの半数以上もリナックスです。
何故、信頼性が高くなるのか? それはある意味で単純な事実に基づきます。
それは、1人で考えるよりグループで考えた方が良い結果を生むこと、特定のグループより会社全体が、更には1つの会社より周りの多数の会社とのアライアンス的な結びつきが、そして、最後には、ユーザーも含めた世界の誰でもが参加できることが最良の結果を生むことが、様々な研究事例から実証されているためです。
まさに「凡才の集団は孤高の天才に勝る」(キース・ソーヤー著、ダイヤモンド社、2009年3月5日刊)で書かれているグループ・ジーニアスの威力ですね。
こうした考え方を大胆に取り入れることにおいて、スティーブ・ジョブスとアップルのチームはただ者ではなかったということになります。
任天堂が、今からでも遅くはありませんが、この戦略に勝るものを打ち立てられるのかどうかが、任天堂が潰れるのかどうかの分かれ道になると思いますが、果たして、岩田社長にこの認識がきちんとあるのかどうか?
この戦略は、何もゲーム業界だけの話ではありません。ありとあらゆるビジネス分野において求められております。
現に、電気自動車が中心の時代になった時、複雑な駆動メカニズムが不要な電気自動車は、自動車製造に全く経験がないベンチャービジネスでも開発・製造が可能です。アメリカ政府から、環境対応車の開発と生産のために低利融資を受けることが決まった会社は、フォードと日産とベンチャー企業のテスラ・モーターズの3社でした。
日本企業のこれまでの最大の特長であるハードの優秀な開発・製造技術だけで、これからも変化し続ける世界に通用するとは限りません。いやむしろ携帯電話のように、その優秀さそのものが、振り返ってみればガラパゴス化しつつあると言っても過言ではないかも知れません。
それを、アップストアで1ヶ月に2億本ものソフトがダウンロードされている事実が示していると思うのです。