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平和憲法の解体危機  安倍の工程表(まず、改憲連合をつくる)

2012-12-19 | Weblog

自公連立協議の一方… 安倍氏 「改憲連合」探る

 次期首相に就任する自民党の安倍晋三総裁が、衆院選の勝利後、改憲に向けて本格的に動いている。表では憲法論議を封印して公明党と連立政権で合意する一方で、日本維新の会らに秋波を送り、改憲に必要な数の確保に向けた足固めを始めている。 

 安倍氏は十八日、公明党の山口那津男代表と会談。連立政権設立で合意し、政策協議を始めた。だが安倍氏は、公明党との協議では「九条改正にくみしない」(山口氏)立場の公明党に配慮し、自民党の政権公約にある「国防軍」などには深入りしない考えだ

 ところが安倍氏は、公明党との協議以外では改憲への発言をエスカレートさせている。十七日の記者会見では、改憲の発議要件を緩和する九六条改正を目指す考えを表明し「維新、みんなの党とは基本的に一致できる」と発言。公明党には言及せず二党にラブコールを送った。維新との協力に繰り返し言及している安倍氏だが、みんなの党に触れたのは初めてだ。

 改憲には衆参両院で三分の二が必要。衆院は自民党と維新だけで三分の二を超えたが、参院は半数にも満たない。参院で十一議席を持ち自民、民主、公明に次ぐみんなの党とも連携して「改憲連合」をつくり将来三分の二に近づけようと、安倍氏は考えている。

 安倍氏は来年夏の参院選で三分の二超えを目指すが「次の参院選で(三分の二を)達成できるか分からない。もう三年必要かもしれない」と、四年後の次々回の参院選も視野に入れる。

 党の規定では総裁は最長六年務められる。二〇〇六年、首相に就任した時、六年間政権を維持することを念頭に「在任中に改憲を成し遂げる」としていた安倍氏は、再登板の今回も、自分の手での改憲にこだわっているのは明らかだ。

 だが、改憲に前のめりの安倍氏と、秋波を受ける二党の温度差は大きい。維新の石原慎太郎代表は自身は改憲に賛成だが、自民党との拙速な連携に慎重な党内世論に配慮し「まず党内で議論する」。

みんなの党の江田憲司幹事長は「要は改憲の前にやるべきことがあるだろうということだ」と突き放している。

参考:海外メディア(朝鮮日報)

 

衆院選:当選者の72%が憲法9条改正に賛成
2012/12/19

日本の次期首相、安倍晋三・自民党総裁が再武装に向けた憲法改正を公約に掲げる中、今回の衆院選の当選者は大半が憲法改正に賛成だということが有力紙の調査で明らかになった。

 毎日新聞は18日、衆院選当選者の91%が現行憲法の改正に賛成、72%が、戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を定めた日本国憲法9条の改正に賛成だと報じた。核武装については、当選者の34%が「検討すべきだ」と回答した。

 

 朝日新聞も同日、当選者の89%が憲法改正に賛成したと報じた。同紙によると、憲法改正には自民党、日本維新の会、みんなの党からの当選者のほぼ全員が賛成。護憲を掲げる民主党の当選者の一部も憲法改正手続き、地方自治体の役割強化などをめぐり憲法改正に賛成した。

 

 第三国が攻撃を受けた場合に自国が攻撃されたと見なして防衛に当たる権利を指す集団的自衛権の導入に賛成する当選者は、全体の79%だった。2005年の衆院選では当選者の35%、09年の衆院選では当選者の33%が賛成するにとどまっており、わずか3年間で賛成が2倍に膨らんだ格好だ。朝日新聞と毎日新聞は総選挙前に立候補者全員を対象に調査を実施し、選挙後に当選者の回答だけを抽出して分析した。

 

■日本国民も改憲賛成意見が増加

 

 政治家だけでなく、一般国民の間でも憲法改正への賛成論が高まっている。毎日新聞が今年9月に実施した世論調査では回答者の65%が憲法改正に賛成した。年齢別では30-40代が72%、50-60代が64%、70代以上が57%だった。戦争経験がない世代ほど憲法改正に積極的という結果が出た。憲法改正に賛成する理由については「時代にそぐわない」との回答が60%で最も多く、反対する理由としては「改正する理由がない」が35%、「憲法9条が改正される懸念がある」が28%だった。毎日新聞が1996年に実施した調査では賛成が32%、05年の調査では58%だった。憲法9条の改正については、賛否が分かれている。東京新聞が先月行った世論調査では賛成が46.2%、反対が35.1%だった。また、憲法9条の改正問題が選挙の争点となって以降、今月初めの調査では賛成40.9%、反対41.4%と賛否がほぼ並んだ。

 

 2010年以前は憲法9条改正に反対する世論が圧倒的に強かった。しかし、最近賛成論が急速に高まっているのは、中国との領土問題、北朝鮮による長距離ミサイル打ち上げなどの影響で、日本も軍隊を持つべきだという認識が一般人の間に広がった結果とみられる。日本の極右勢力は平和憲法が米軍政下の1946年に制定された後、一度も改正されておらず、時代の変化を反映していないと一貫して主張してきた。しかし、極右勢力が憲法改正を推進する究極的な目的は憲法9条を改正し、再武装することだ。

 

■安倍氏の改憲戦略

 

 安倍次期首相が掲げる2段階の憲法改正論は、そうした世論の変化を念頭に置いたものだ。時代にそぐわない憲法を改正しようとする世論が高まっている一方で、憲法9条の改正には反対が根強い現実に配慮し、憲法改正の条件見直しから進めるのが狙いだ。

 

 安倍次期首相はまず、憲法96条を改正し、憲法改正の発議要件を衆参両院で総議員の「3分の2以上」の賛成から「2分の1以上」へと緩和することを主張している。

 

 専門家は憲法改正要件の変更を「パンドラの箱」を開ける行為だと指摘している。憲法改正の要件を改正した後、憲法9条を改正し、日本が再武装を本格化する可能性があるためだ。

 

 


戦後最低の記録, 約四割が棄権したという事実

2012-12-19 | Weblog
 
 
 
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「やっぱり、という感じ。争点も政党もたくさんあって投票先に迷った人が多かったのでは。3・11後の選挙で、自分の意思を示さないのはもったいない気もする」 (愛知県豊川市、アルバイト松下智治さん、65歳)

 十六日投開票の衆院選では、各党の獲得議席のほかに、もう一つの数字が注目された。「3・11」後の国づくりに向けて、有権者の意思を示す投票率。フタを開けると、戦後最低の記録となった。約四割が棄権したという事実を政治の側はどう受け止めるのか。 

 「なかなか自分にぴったりくる政党がなくてまだ、ぐらぐらしている」と、投票日前に「有権者発」に声を寄せてくれた松下さんは、迷った末に投票したという。十七日に電話取材したところ、こう答えてくれた。

 今回の衆院選の投票率は59・32%。民主党が政権交代を果たした二〇〇九年(69・28%)の前回選挙から10ポイント近く落ち込んだばかりか、戦後最低だった一九九六年の59・65%を下回った。

 松下さんと同じ思いで投票日を迎えた有権者は多いことだろう。棄権の是非論はあるにせよ、各党が民意の十分な受け皿になりえなかったことは確かだ。

 低投票率に関し、政党乱立が大きな理由だったとする党は多い。

 自民党の安倍晋三総裁は記者会見で「投票率は大変残念だった。多くの党が出る中で、議論は深まらない」と指摘。落選した民主党の藤村修官房長官も「関心が決して薄いというのとは違い、たくさんの政党がいたということも、要因にあったかもしれない」とした。

 衆院に返り咲いた公明党の上田勇氏は「有権者が何が何だかよく分からず、しらけていたのを選挙戦を通じて感じた」と語った。

 政治不信も理由に挙げるのは、社民党の福島瑞穂党首。「投票先が分からないということと、投票しても政治は良くならないという政治不信の両方があった」と強調する。

 国民新党の浜田和幸代表代行は「原因は単純。これはという候補者が、自分たちの選挙区に見当たらなかったということだ」と断言。共産党広報部は「政治に対する不信感で投票に行かなかったのではないと思う。支持を広げようと頑張ったが、まだまだ道半ばの結果ではないか」と回答した。

 みんなの党の渡辺喜美代表は「民主党の崩壊から政党の多党化、離合集散が始まり、ここに国民の愛想が尽きた」と批判。「投票率が高くなければ政治は変わらない」と述べた。

 戦後最低の投票率が政治に突きつけた意味は重い。この現実にどの党が真正面から向き合い、真の受け皿になろうとするのか。見過ごしにしていい問題ではない。


[経済] 安倍新政権の最優先課題、デフレ脱却を

2012-12-19 | Weblog

安倍新政権はデフレ脱却を最優先課題に(英フィナンシャル・タイムズ社説 12/18)

 衆院選で自民党が圧勝し、同党の安倍晋三総裁が首相に就任する。5年前、在任1年で首相を突然辞任した同氏にリーダーシップを発揮するチャンスが再び与えられる。前回は政権が短命だったこともあり、世界第3位の経済大国のトップに返り咲くだけの実績を残せなかった。安倍氏はこの点に関して、今回の自民圧勝は同党の政策が支持されたというより民主党が拒絶された点が大きいと素直に認めている。

ある程度のインフレなしに成長望めず

 
記者会見で質問に答える自民党の安倍総裁(12月17日、東京・永田町の党本部)=共同
 

自民党安倍総裁(12月17日、東京永田町党本部)

 

 前政権では、安倍氏は「美しい国」という自らのビジョンにとらわれ、保守色の強い歴史認識で政策の行き詰まりを招いた。防衛庁の省への格上げや平和憲法の改正にも着手し、支持率は急低下した。

 安倍氏が今回勝利を収めた背景には、尖閣諸島(中国名・釣魚島)を巡る領土問題で中国との緊張が高まっていることがある。だが、同氏が直面している最も大きな課題は経済問題だ。この分野では、日銀による2~3%の物価目標など優れた政策を提案している。安倍氏はこの政策を推し進め、成長回復とデフレ脱却を強力に促進できる人材を日銀総裁に選ぶべきだ。

 言うまでもなく、インフレは万能な解決策ではない。ただ、ある程度のインフレなしに成長は望めない。現在の歳出規模を維持するには、いずれ増税する必要がある。既に成立した法案では、消費税率の10%への引き上げは経済成長を前提としており、その条件が整いつつある。通常、歳出拡大を渋る財務省も、増税が実現できるなら前向きにとらえるだろう。13年には経済は上向き、デフレ脱却の兆しが見える可能性もある。

■「美しい国づくり」は後回しに

 ただ、デフレの悪循環を断ち切るにはこれでも十分とはいえない。エネルギーコストを引き下げ、新分野での投資や雇用を開拓するためには一段の規制緩和が欠かせない。インフレ目標の達成はいばらの道だ。物価が上がり始めれば、預金資産はむしばまれ、国債金利は上昇する。インフレ期待に伴い賃金が上がらなければ、生活水準は低下する。それでもほかに有効な選択肢はない。安倍氏は「美しい国づくり」は後回しにして、このチャンスをつかむために全力を尽くすべきだ


日本の危機、原発容認自民党復権 (原発マネーに汚染された原子力規制委員会)

2012-12-18 | Weblog

原子力規制委の非常識「外部識者に6000万円」原発マネー(FRIDAY 12/14)

原発の安全神話が失墜する中、〝原子力ムラ〟から独立した組織として設立された原子力規制委員会(以下、規制委)に、早くも重大な問題が浮上している。原発の新しい安全基準を作る検討チームにおいて、「公正かつ中立的な立場」から意見を述べるメンバーとして、10月に6人の「外部有識者」が選定された。しかし、その中立的であるべき6人の識者のうち4人に、6000万円近い〝原発マネー〟が渡っていたことが判明したのだ。

 規制委は各識者に、過去3年間の原発関連企業からの寄付や報酬、共同研究費などの有無とその額を報告する「自主申告書」の提出を要求(掲載したのは、その一部)。本誌が調査したものと申告書を照らし合わせると、4人の識者へ、以下のような原発マネーが流れていることが明らかになったのである。

●筑波大学大学院・阿部豊教授
原子炉メーカー・三菱重工から、寄付約600万円。東京電力技術開発研究所から、共同研究費約300万円。

●日本原子力研究開発機構安全研究センター・杉山智之研究主幹
原子燃料工業から、共同研究費約300万円。

●大阪大学大学院・山口彰教授
三菱重工や日本原子力発電などから、寄付約990万円。原子力エンジニアリングから、報酬約50万円。東芝電力システムから、共同研究費約350万円。

●名古屋大学大学院・山本章夫教授
原子燃料工業や関西原子力懇談会などから、寄付約530万円。原子力エンジニアリングなどから、報酬約600万円。三菱重工や原子燃料工業などから、委託研究費約2180万円以上(「申告書」の一部が黒塗りのため詳細分からず)。

上の写真の数時間前、11月29日に行われた新しい原発安全基準検討会の様子。右が山口、左が山本の両教授だ

 いったい何を基準に彼らが選ばれたのか理解に苦しむが、常識的に考えてこれほど多額のカネを原発関連企業から受け取っていながら、公正な判断ができるとはとても思えない。自身に原発の安全基準を作る資格があると思うか問うため、大阪大の山口教授を直撃した。だが「(取材は)ダメです」と、顔を背けて言うばかり。筑波大の阿部教授と名古屋大の山本教授にも質問状を送ったが、期日までに返答はなかった。唯一応じたのが、日本原子力研究開発機構の杉山氏である。

「私は、(他の委員のような)寄付や報酬はもらっていません。共同研究費が出ていますが、メーカーと折半して実際かかったコストに充てる必要経費です。私が自由にできるおカネではないのです」

 

山本教授が、規制委に提出した「自主申告書」。三菱重工からの委託研究費が黒塗りになっている

 

山口教授の申告書。「原子力は効率の良いエネルギー源で簡単に止めてはいけない」というのが持論

 

 言い訳のようにも聞こえるコメントだが、国民の命にかかわる基準を決める委員に選ばれながら、何も答えないという姿勢はさらに深刻だ。元東芝の原子炉格納容器設計者・後藤政志氏が憤る

 

 

「安全性を議論する委員を選ぶ際には審査が必要だと思いますが、自分たちに都合のいい人間を集めたのでしょう。大飯原発(福井県)のストレステストへの意見聴取会で、私は山口教授と議論をしましたが、腸が煮えくりかえる思いでした。原発の安全性を考える場なのに、彼は電力が足りなくなると経済的に問題が出ることなど、発言の多くがバイアスがかかったものなんです。経済的な視点でものを見るような人たちは、原発の安全性を問う委員として失格だと思います」

 

 失格とまで指摘される識者を、規制委はどんな経緯で選定したのだろうか。規制委の事務局である原子力規制庁の技術基盤課課長補佐・田口達也氏は、「規制庁で人選案を作り規制委と密に連絡を取り合いながら決めた」と答えるが、多額の原発マネーを受けた人間が安全基準を作るのは問題だろう。田口氏が釈明する。

 

「(原発関連企業と)まったくかかわりのない人だけにしようとすると、選択肢が狭くなります。例えば大飯原発だけを対象にした基準なら、関西電力と関係の深い人は問題でしょう。しかし今回作るのは、全国の原発すべてにあてはまる一般的な安全基準のルールです。情報を透明にすれば、(受けた)金額の有無や大小で除外する必要はないと思います」

 

 一般的には、こうした〝原子力ムラの論理〟が通じるはずはない。発足して日が浅いにもかかわらず、早くも馬脚を現した原子力規制委員会。原発の未来に、暗雲が立ちこめ始めている。

 


日本の危機、「がれき反対」准教授逮捕に「不当逮捕」

2012-12-18 | Weblog

「がれき反対」准教授逮捕に「不当逮捕」

阪南大学の下地真樹准教授が9日、大阪府警に威力業務妨害などの容疑で他1名とともに逮捕された。警察発表などによれば下地氏ら数十人は10月17日夕方、JR大阪駅構内で拡声器を使い「がれき反対」と声を上げながらデモ行進し、通行人らに震災がれきの大阪府内への焼却受け入れに反対するビラを配布。このとき駅員の警告を無視するなどしたという。

阪南大学は10日、同大学のウェブサイトに学長名で「今後事実関係の把握に努め、適切に対応する」とのコメントを掲載。同大学の担当者は「本人と連絡が取れない状況で、情報を確認している」と話している。

8月30日の大阪市住民説明会で質問に立つ下地氏(ユーチューブ動画から引用)

下地氏は、大阪市が進める震災がれきの焼却受け入れに反対する活動を展開。「モジモジ先生」の呼び名で知られる。8月30日に橋下徹市長らが出席した住民説明会では政府や大阪府市を厳しく追及。がれき焼却の問題点を「1キログラム当たり100ベクレルの基準値は不燃ごみのものであり、可燃ごみには設定されていない。可燃ごみと不燃ごみの基準値を意図的に混同してごまかそうとしている」などと指摘した。

また、5日のラジオ番組で下地氏は「がれき処理に関する環境省の検討会の議事録が隠されている。行政は東電原発事故で大量に拡散した放射性物質を閉じ込めて管理するという発想が基本的に欠けている」と述べた。

橋下市長は11月19日に大阪市内で街頭演説した際、がれき受け入れに反対する市民に向かって「いつからこんな勝手な国民が増えたのか」と反論。がれき受け入れに積極的だ。市内でがれき問題に取り組む女性は「橋下市長は子育て主婦の不安に聞く耳を持たなかった。市議会でも受け入れに慎重な議員が多いのに、市長だけが突っ走っている」と話す。

2ヵ月前の容疑での逮捕について、大阪府警の広報担当者は「一般論だが、捜査に時間がかかったのでは」と話す。一方、ネット上では「不当逮捕だ」との声が相次ぐほか、「思想弾圧」「口封じ」などという書き込みもある。

 


[世論との乖離] 原発容認自民党敵矢の勝利、多党乱立と低投票率が招いた棚ぼた結果

2012-12-18 | Weblog

 戦後最低の投票率となった十六日の衆院選は、自民党が定数(四八〇)の六割を超える二百九十四議席を確保する圧勝で終わった。

しかし小選挙区で自民党候補の名を書いたのは全有権者の約四分の一、比例代表に至っては15・99%だった。

自民党の勝利は、必ずしも民意を反映したものではない。多党乱立と低投票率が自民党を利した結果であるということが、はっきり分かる。

 衆院選の投票率は小選挙区で59・32%。戦後最低を記録した。

 一方、自民党の得票率は小選挙区が43・01%。比例代表は27・62%。ただし、これは投票した人の中での比率だ。

 全有権者に占める比率は24・67%、比例代表は15・99%となる。選挙区でも比例代表でも自民党候補や党名を書いた有権者は「少数派」だ。

 ところが、自民党が獲得した議席は小選挙区で定数の79%にあたる二百三十七議席、比例代表は、同31・67%の五十七議席だった。

 現在の衆院選挙制度は、小選挙区制と比例代表の並立制を採用している。民意を集約して二大政党制に導く小選挙区制で自民党は、有権者全体に占める得票率の三倍以上の議席を獲得。信じられないような世論との乖離(かいり)が生じた。

 民主党は、小選挙区で自民党の約半分にあたる22・81%の得票だったが小選挙区での獲得議席は自民党の一割強の二十七にとどまった。ここで両党が明暗を分けた。

 このようなずれは、十二党が乱立した今回の衆院選で、多くの候補が票を食い合ったことが最大の要因。特に、最大の争点の一つだった原発政策で「原発ゼロ」を公約する政党が小選挙区で競合し、結果として原発を容認する自民党を利した形だ。TOKYO

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衆議院議員選挙に導入された小選挙区比例代表並立制
日本の衆議院議員選挙では、小選挙区制と比例代表制を組み合わせた小選挙区比例代表並立制を導入しています。この制度が導入されたのは、1994年からです。それまでは、中選挙区制という、現在よりもやや広い選挙区から複数の当選者が出る選挙制度をとっていました。しかし立候補者は、広い選挙区で選挙活動を行わねばならず、お金がかかりすぎる問題点がありました。
小選挙区制と比例代表制の利点を合わせた制度
選挙区の狭い小選挙区制ならば、候補者は選挙区内をくまなく遊説して、有権者に対して自分の政治主張を訴えることができま
す。選挙活動費も、比較的低く抑えることができます。また、二大政党制をうながし、政権交代が可能な制度であるとも言われます。
 
しかし、死票が多く出るという欠点があり、小政党には不利だともいわれます。
 
一方、比例代表制は、死票が比較的少なく、各党の得票率に応じて議席が配分されるため、小政党にも不利になりにくい制度です。ただ、比例代表制は政党の政策が主となり、候補者個人の政策や人柄が見えにくいという欠点があります。
 
それぞれの制度の長所をいかし、短所を補いあう制度が、小選挙区比例代表並立制なのです。
※派閥(はばつ) 大きな政党になると、微妙な政治理念の違いから、党の中にグループができることがあります。これを派閥といいます。 shizuoka pref.

 

小選挙区の宿命 自民得票4割、議席8割

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 第四十六回衆院選は十七日午前、開票作業が終了し、小選挙区(定数三〇〇)と比例代表(定数一八〇)の計四百八十議席が確定した。自民党の小選挙区全体の得票率は43%程度だったにもかかわらず、獲得議席は二百三十七と全議席の79%を占めた。また、総務省は小選挙区の確定投票率は59・32%だったと発表。衆院選の戦後最低記録で、前回二〇〇九年(69・28%)から約10ポイント下落した。

 衆院選の投票率は現行の小選挙区比例代表並立制が導入された一九九六年の59・65%が戦後最低だったが、それを下回った。東日本大震災後、初めての大型国政選挙だったにもかかわらず、乱立した十二政党が原発政策などで主張の違いを明確に示せず民意の受け皿になりきれなかった。

 戦後の投票率は60%台後半から70%台後半で推移。九六年の現行制度導入後は三回続けて60%前後だった。二〇〇五年の郵政選挙と、民主党に政権交代した〇九年は60%台後半に盛り返したが、再び低下に転じた。

 各党の獲得議席は、三年ぶりに連立政権を組むことになる自民党が二百九十四議席、公明党が三十一議席。政権から転落する民主党は五十七議席で、九八年の結党以来、最低に落ち込んだ。

 自民党の比例代表の獲得議席は惨敗に終わった〇九年の五十五議席から二議席増えただけにとどまった。民意を反映する比例代表での議席獲得が伸び悩んだことは、自民党が有権者の積極的支持を得ていないことを物語っている。

 各党の比例代表の獲得議席は自民五十七のほか、日本維新の会四十、民主三十、公明党二十二、みんなの党十四、共産党八、日本未来の党七、社民党一、新党大地一。維新は獲得議席全体では第三党だが、比例代表では第二党となった。TOKYO


[世論との乖離] 世論6割、当選3割 3大争点すべてズレ

2012-12-18 | Weblog
 脱原発 世論6割、当選3割 3大争点すべてズレ
 
 
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 衆院選では、原発政策とともに大きな争点だった消費税増税や憲法九条でも民意と選挙結果に隔たりのある結果となった。本紙が公示直前に行った世論調査と、東京都の二十五選挙区に立候補した百三十四人を対象に行ったアンケートを比較するとその差は歴然としている。

 原発では、世論の約六割が原発ゼロを訴えていたが、東京の二十五選挙区でも自民党候補が続々と勝利。当選した自民党の中にはアンケートで「原発ゼロ」と答えた候補もいたが、二十五人の中で脱原発を求める当選者は28%にとどまった。

 消費税増税について世論調査では反対が55・6%で、半数を超えていた。

 消費税増税は民主党と自民、公明両党の三党の枠組みで決めた。マニフェストで約束していなかったのに増税を決めた民主党は、世論の批判をまともに受けて惨敗。しかし、その代わり自民党が小選挙区で躍進し、公明党も議席を獲得したため、結局、増税勢力が多数を占めた。

 憲法九条は、世論調査では改憲反対と賛成が拮抗(きっこう)していたが、選挙結果では改憲し「国防軍」を明記すると主張した自民党が勝利。維新も含めた「改憲勢力」で三分の二を占めた全国的な傾向と同様の結果となった。TOKYO


開票結果、無効票(白票)204万票が意味すること

2012-12-18 | Weblog

自民党勝利は国民の信任によるものなのか。自民党安倍晋三総裁でさえ「自民党に信任が戻ったのではなく、民主党政治の混乱に終止符を打つべきだという国民の判断だった」と認めている。実際、過去のデータと比べると自民党は今回の衆院選で得票を得ているわけではない。東京新聞の記事の見出しにあるように、まさに「自民比例219万票も減 乱立棚ぼた これでも勝てた」のだ。

朝日新聞の集計では、16日に投開票された衆院選小選挙区で、白票や候補者以外の名前が書かれた「無効票」が約204万票に上ったことが分かったと報じられている。

投票者数の3.31%に当たる数字だ。今回の過去最低の投票率のなかで、有権者は投票所に足を運んだものの投票先に悩み、白票を投じたものと理解される。

 明治学院大の川上和久教授(政治心理学)は「誰に入れたらいいか分からないが棄権はしたくないと悩んだ結果、白票を選択した有権者が多かったのではないか。今回は政党が乱立したが、政策に共感できる政党があっても、その党の候補者が選挙区にいないケースがあったことも影響した可能性がある」と指摘する。

 総務省の集計では、これまでの無効票率は2000年の2.99%が最高だったが、今回の衆院選における都道府県別で割合が高かったのは高知県の5.24%、大阪府4.63%、熊本県4.44%、東京都4.20%の順。高知県選管の担当者によると、県全体の無効票約1万7千票のうち半数以上が白票で、候補者以外の名前を記した票も多かったという。 


開票結果 得票数全国1位での当選

2012-12-18 | Weblog

得票数全国1位での当選で、花束を受け取る河野太郎さん=17日、平塚市内のホテル

得票数全国1位での当選で、花束を受け取る河野太郎さん=17日、平塚市内のホテル

 16日投開票の総選挙で、神奈川15区で連続6回目の当選を果たした自民・河野太郎さんの得票数19万2604票(相対得票率79・98%)が全国1位だった。2位は11区の自民・小泉進次郎さんの18万4360票(同79・86%)で、県内2氏が上位を占めた。
 
両氏とも応援で全国を駆け回り、地元での選挙運動がほとんどできなかったが、世襲の地盤の上に強い個性を持つ両氏の強さを見せつけた。

 17日午前、支持者ら約200人が集まった河野さんの報告会で、得票数全国1位が発表されると、盛んな拍手で沸いた。河野さんは「日本で一番重い票を頂きました。本人がいない選挙戦でしたので、日本で一番素晴らしい支援者の皆さんを持つことができ、本当に幸せです。皆さんが誇りに思っていただける政治活動を進めたい」と感謝の言葉を述べた。

 15区は民主、第三極が候補擁立を断念したため、河野さんと共産新人候補の一騎打ちだった。その結果、投票率は県内最低の56・94%。前回からの下げ幅も県内最大の11・50ポイントだった。無効票も県内最多の1万9133票に達するなど、異例ずくめの結果だった。

 選挙区の有権者数が多い県内でも、15区は3番目に多い45万6520人であることも加わって、低投票率でも「全国1位」が実現した形だ。

[求人] 東電原発事故現場、リスク作業とその報い(再発の危険性)

2012-12-18 | Weblog

人が集まらない 福島「収束宣言」から1年 原発作業暗転

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 一年前の十二月十六日、政府が突然、東京電力福島第一原発の「事故収束」を宣言した。被ばく線量が高い作業が今後増えるにもかかわらず、宣言を境に危険手当の打ち切りや給料カットが相次ぎ、作業員の待遇が悪化。最近では作業員が集まらなくなっている。廃炉への道は遠く、民主党から政権を奪い返した自民、公明両党には厳しい現実とどう向き合うのかが問われている。 

 給料は手取りで月額二十万円に届くかどうか。危険手当はなし。寮もなし-。

 福島県いわき市のハローワークで福島第一の求人を調べると、こんな実情が浮かび上がった。コンクリートを流し込む枠を作る型枠大工など技術や経験のある人は月四十万円以上と高いが、他の職種は多かれ少なかれ被ばくするのに給料が安い。大半が年収三百万円にとても満たない。

 二十件ほどの求人情報を見ていくと、危険手当の記載は一件だけで一日わずか二千円。ほとんどのケースで宿泊費は自分で負担しなければならない。

 警戒区域内に事務所があった下請け会社の社長はこの秋、作業員を募集したが一人も決まらなかった。「福島での除染や清掃、軽作業など」として募集したが、連絡があった人に福島第一での作業と伝えたとたん「原発は嫌だ」と断られた。

 社長が求人で出した日給は一万~一万数千円。「危険手当を上乗せしたいが、(上位の下請け会社から)もらっていない。被ばくするし、もっと出したいがぎりぎり。これ以上条件が悪化したらどうしたらいいのか」と頭を抱えた。条件悪化が進んだのは、「あの耳を疑った収束宣言の後」という。

 宣言までは、いわき市などの旅館で共同生活をしながら働く作業員が多かったが、宣言後は危険手当が出なくなり、旅館を引き払うように求められるケースが増えた。自らも避難者である作業員も多く、仮設住宅は遠いため、宿泊は重要な労働条件の一つになる。

 東電が福島第一でもコスト削減に躍起になり、そのしわ寄せは下請けに行く。別の下請け会社の社長は、上位の会社から給与の引き下げを言われ、「従業員の社会保険も払えないぐらい会社はぎりぎり。これ以上下がったらやっていけない」と嘆いた。

 今後、福島第一では建屋内の被ばく線量が高い作業が増える。作業員の「五年で一〇〇ミリシーベルト」の線量限度を守るには、特定の人が被ばくしないよう、ローテーションできる人数が必要になる。

 東電は、今後は必要とされる作業員数が減り、事故後に福島第一で働く従事者登録した人が延べ約二万四千人いるとして、作業員は足りると強調する。

 福島第一で長年働いてきたベテラン作業員は、総選挙を受け「宣言後、労働環境が悪くなった。(新政権は)福島第一で働く人間のことを忘れず、収束作業が進むように現場をバックアップしてほしい」と願いを語った。


[野合集団] 維新2トップ対立、橋下「首相指名選挙は安倍氏に」 石原「平沼氏に」

2012-12-18 | Weblog

維新2トップ対立  日本維新の会の党運営が迷走気味だ

◆石原・橋下氏を共同代表に…亀裂修復で維新幹部

 首相指名選挙をめぐり石原代表と橋下代表代行の足並みの乱れが一時露呈し、党の先行きを不安視する声が上がっている。

 維新の会の松井幹事長は17日、衆院選で当選した藤井孝男・元運輸相らと大阪市内で会談し、特別国会での首相指名選挙では石原氏に投票することを確認した。

 衆院選の開票が進んだ16日夜、橋下氏は「自公でこれだけの議席を得ているのに独自候補を出すのは、ばかげている」と自民党の安倍総裁への投票を主張。石原氏は「維新の会の首相候補」に名を挙げていた平沼赳夫国会議員団代表への投票が好ましいと公言し、意思疎通の悪さを知らしめることになったためだ。

 とりあえずこの問題は「石原代表への投票」で決着した。だが、太陽の党出身議員は「今後も党運営をめぐって、もめるだろう」とため息をつく。

◆「首長・参院議員、兼職可能に」 維新が法案提出へ

日本維新の会(石原慎太郎代表)は17日、自治体の首長と参院議員の兼職を禁じる地方自治法の改正案を来年の通常国会に提出する方針を固めた。代表代行の橋下徹大阪市長が来年夏の参院選に立候補する意向を示しており、党勢拡大につなげるのが狙いだ。

 石原、橋下両氏が17日、電話で協議して決めた。維新は衆院選公約に首長と参院議員の兼職禁止規定を撤廃すると明記した。橋下氏は「自治体の長が参院に入れば、政党の抗争と距離を置いて議論できる」とメリットを主張。実現した場合は、大阪市長のまま参院選に立候補する考えを表明していた。

 衆院選で、単独で法案提出できる21議席を上回り、法改正を目指すことにした。ただ、自民、公明両党が賛成する可能性は低く、可決の見通しは立っていない。

 一方、兼職禁止規定の解除について、日本未来の党代表の嘉田由紀子滋賀県知事は17日、「共同行動をとることは十分にある」と記者団に語り、維新が法案提出した場合は同調する考えを示した。ASAHI

みんなの党の渡辺代表は、維新の会に石原代表ら太陽の党出身者がいる限り、連携は困難との立場だ。渡辺氏は17日午前、東京都内で記者団に対し「司令塔が二つあって、橋下さんと石原さんで言っていることが全然違う。統一会派も組みようがない」と指摘した。維新の会内で首相指名選挙をめぐり石原、橋下両氏の意見が割れていることを念頭に置いたものだ。


弁護士団、“1票の格差2.4倍” 衆院選無効の全国一斉提訴

2012-12-17 | Weblog

「1票の格差」違憲状態で衆院選無効…一斉提訴(YOMIURI 12/17)

最高裁が「違憲状態」とした選挙区割りのまま行われた今回の衆院選は違憲だとして、二つの弁護士グループが17日、27選挙区の選挙無効(やり直し)を求めて全国の8高裁・6支部に一斉提訴した。

 前回衆院選を巡る訴訟では、高裁で「違憲」や「違憲状態」の判決が相次いでおり、早ければ来春にも出そろう各高裁の判断が注目される。

 「1票の格差」が最大2・30倍だった前回衆院選について、最高裁は昨年3月、小選挙区の定数を各都道府県にまず1議席ずつ配分して、残りを人口比で割り振る「1人別枠方式」が格差を生む原因だと指摘し、同方式の廃止を求めた。

 これを受け、同方式の廃止と格差を是正する「0増5減」を盛り込んだ選挙制度改革法が、衆院解散した11月16日に成立した。しかし、区割りを見直す時間はなく、衆院選は違憲状態のまま行われ、最大格差も2・43倍に拡大していた。

 提訴後に記者会見した代理人の升永英俊弁護士は「違憲状態の選挙で選ばれた議員が法律を作り、首相を選ぶのは許されない」と批判。選挙制度改革法の成立について、代理人の久保利英明弁護士は「今回の選挙には反映されておらず、評価に値しない。裁判所は(選挙までに)是正しなかった国会の責任を追及し、無効を言い渡すべきだ」と指摘した。

 今回の訴訟のポイントは、最高裁が違憲状態と指摘してから、国会が1年以上も格差を放置してきたことを、裁判所がどう評価するかだ。今回と同様に違憲状態のまま行われた83年選挙について、最高裁は「違憲」とした。ただ、この時は違憲状態とした判決の直後に衆院解散されたことなどを考慮し、選挙無効は回避した。

 

参考:NHK解説アーカイブ

Q、1票の格差是正のための法律は、成立したんですよね。

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A、はい。ただ、実際の区割りの見直し作業は、地元の意見を聞いたりしなければなりませんから、来月の選挙には、とても間に合いません。さらに問題なのは、これまで何もしなかった結果、「違憲状態」とされた前回の選挙より、状況がもっと悪くなっていることです。おととしの国勢調査によると、前回、最大2.30倍だった格差は、2.52倍に、格差が2倍を超える選挙区も45から97に増えています。
 
Q、なぜ、そんなことになったのですか?

A、本当に、「これまで、国会は何をしてきたんだ」と言いたくなります。
最高裁が、衆議院の1票の格差を「違憲状態」と指摘したのは、去年3月。再三に亘って、早く改善すべきだと言われてきました。しかし、国会では、各党の思惑が絡み合い、議論は進みませんでした。それが、野田総理大臣が解散を表明した途端、わずか2日で、ほとんど審議もせずに法律が成立した訳ですから、正直、「開いた口がふさがらない」という感じです。
 
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Q、ひどいですねぇ。

A、この問題を追及してきた弁護士グループは、「違憲状態の選挙は認められない」として、すでに、選挙後に、「選挙無効」を求める訴えなどを起こす考えを表明しています。そうなれば、専門家の間では、前回より厳しい「違憲」判決や、最悪の場合、選挙無効の判決が出る可能性を指摘する声もあります。
 
Q、この問題、どう考えたらいいのでしょうか?

A、選挙が目前ということもあって、各党とも、候補者の選定や、連携を模索する動きなどに追われています。しかし、選挙制度は、民主主義の土俵を決める大事な問題です。

定数削減の問題も含め、将来の選挙制度の姿をどう考え、どのように実現させていくのか。選挙戦を通じて、各党が、それぞれ、考えを明確し、私たちが、きちんと選択できるようにすることが、政治の責任だと思います。


安倍政権の誕生、海外の警戒感

2012-12-17 | Weblog

海外メディアは日本の右傾化警戒

 海外メディアは「自民党圧勝」を一斉に速報で伝えた。安倍晋三政権の誕生が確実な情勢を受け、日本の外交・安全保障政策が右傾化することへの警戒感を示す論調が目立った。

 英ロイター通信は開票直後に「自民党、地滑り的勝利」と速報し、新政権が沖縄県・尖閣諸島を巡る中国との紛争で「譲らない厳しい姿勢を取る」と予想した。英紙フィナンシャル・タイムズは電子版のトップ記事で安倍氏を「平和憲法の修正に乗り出そうとしている」と紹介した。

 独フランクフルター・アルゲマイネ紙は「急速に右傾化する日本」との記事中、新政権が「ナショナリズムを前面に押し出している」と指摘。ただ「日本の政党は様々な利益集団の集まりである」とし、安倍氏が首相として政策を思い通りに遂行できるかは「簡単ではない」とみている。

 海外メディアは自民党を保守政党と紹介しており、アジア各国では新政権の外交政策を警戒する声が高まっている。中国国営、新華社通信は電子版で「日本は隣国との関係を修復し、地域で建設的な役割を果たせるよう、長期的視点に立った外交政策に転換すべきだ」との論調を掲載した。

 夢遊の人々、タカ派トリオの一人・安倍

 

参考:

安倍晋三の復活の理由、消去法的な支持集める

(英フィナンシャル・タイムズ紙社説)

自民党の安倍晋三総裁の復活は、最近の複雑な日本の政治状況においても最も不思議なことの1つといえる。5年前―そして5人前に―首相だった安倍氏が在職1年で突然辞任した時、復活を予想した人はほとんどいなかった。戦時中の歴史を恥じない「美しい国」を作るという目標を掲げたが、景気低迷に苦しむ国民には不人気だった。

尖閣問題や民主党の失策などが追い風に

 ただ、状況は大きく変わった。最も重要なのは、日本が実効支配する尖閣諸島について、中国が領有権を強く主張し始めたことだ。中国各地で激しい反日デモが起こり、多くの日本人に同国に対する懸念を抱かせた。この「尖閣ショック」が安倍氏に有利に働いた。日本は軍隊の保有を禁止する平和憲法を改正すべきだと主張しており、軍事費の増額も求めるとみられるからだ。

 2番目の要因は、3年間で3人の首相が就任した民主党の失策だ。安倍氏の自民党が半世紀以上にわたり政治を支配した後、日本再生の期待を背景に民主党が2009年に政権を奪取した。もっとも民主党はチャンスを生かせず、日本は方向性を見いだせずにいる。

 3番目の要因は、安倍氏がデフレ脱却に向け積極的な政策を検討していることだ。日銀に2~3%のインフレ目標を設定させ、目標達成まで紙幣を刷り続けるような総裁を任命するというアイデアをこれまでに示している。中央銀行の独立性を脅かさない限り、安倍氏の大胆な姿勢は歓迎すべきだ。むしろ、撤回するのがやや早過ぎた。

■幻想を抱いてはならない

 もっとも、安倍氏に幻想を抱いてはならない。前回はひどい首相だった。国内ではリーダーシップと斬新なアイデアを欠いた。対外的には、従軍慰安婦問題など日本の戦時中の歴史の一部をごまかすことに固執し、近隣諸国の怒りを招いた。

 リーダー候補として安倍氏がベストに見える理由は2つ。中国の誤った外交政策と、他に適任者を輩出できない日本の悲惨な政治状況だ。


自民党圧勝、なぜ勝つことができたのか

2012-12-17 | Weblog

 自民党が小泉純一郎氏の「郵政選挙」以来の大勝をおさめた。選挙戦の最中に「そこまでの手応えはない」「絶対、揺り戻しがあるはずだ」と党本部も、候補の事務所も半信半疑のまま迎えた結果だ。小泉氏のカリスマや熱気も、はっきりした風もなき選挙での圧勝が示すのは、小選挙区システム特有の「一強体制」と、風や熱気にあおられて票を投じた前2回への悔恨があるとみられる。

 選挙戦中、日本維新の会の橋下徹代表代行は「自民党の政治に戻れば、3年前に落選させた人たちが戻ってくるんですよ」と訴えていた。確かに、小選挙区での自民党候補者には「元職」が多い。民主党に政権を奪われてからの3年4カ月、地元を回って捲土(けんど)重来を期した人たちだ。民主党前職が自民党元職に負けたのは民主党政権への嫌気もさることながら、地元を回るエネルギーにおいて自民党がまさっていたからだろう。

 今回は大量の「小泉チルドレン」や「小沢ガールズ」を生んだようなブームはなかった。うたかたのように消えた議員たちのほとんどは新人だった。「党は違うから」と、国政に経験のない新人たちへの警戒感が、なじみのある元職の強さにつながったといえる。

 しかも、今回は第2党以下がばらばらだった。

 もともと、小選挙区制の実現には「金権がらみの不祥事が続発する自民党政治を変えるには、派閥をなくすしかない」「そのためには、同じ党から3人も4人も当選できる中選挙区制を変え、党執行部の権限を大きくするしかない」との理由が大きかった。「政権交代」は選挙制度改革論議の当時、副次的な要因でしかなかった。政権交代が大きくクローズアップされたのは、皮肉にも中選挙区の下で非自民政権ができたからである。

 第1党に挑むには、第2党以下がまとまらなければならない――。1人しか当選しない小選挙区制で当然の理屈だ。それが今回は第三極はまとまらず、非自民票は民主党も含めて大きく4つに分散してしまった。小選挙区と比例代表で投票先を変える「スプリット・ボート」もおそらく、同じ状況になった。

 大勝した当事者が「なぜ、こんなに勝つのか」と、すでに次の揺り戻しを懸念する選挙結果は、こんなメカニズムで生まれた。NIKKEI

 


自民党圧勝、動きだすタカ派政策

2012-12-17 | Weblog

自民党は三年前の衆院選で民主党に敗れた雪辱を果たし、政権復帰した。連立政権を組む公明党と合わせ、衆院の三分の二を占める議席を得たことで、少数与党の参院で法案を否決されても、衆院の再可決で成立させられる。ただ、安倍晋三総裁のタカ派色の強い安全保障政策には公明党が反発し、政権運営に影を落とす。 

 安倍氏は十六日深夜、自民党本部の開票センターでテレビ番組のインタビューに応じ「自民党への信頼が百パーセント戻ってきたわけではない。おごることなく、謙虚に進みたい」と勝利宣言した。十七日から公明党と連立政権に向けた政策協議を始めることを明らかにした。

 「謙虚」という言葉とは裏腹に、開票前の十六日午後には、すでに自民党の石破茂幹事長と公明党の井上義久幹事長が都内で会談し、連立政権を発足させる方針を確認。夜になって開票結果が伝えられると、早くも「麻生太郎副総理」「菅義偉官房長官」などの人事情報が飛び交った。

 浮足立つほどの「完勝」は、自民党への積極的な期待というよりはむしろ、民主党が三年前の衆院選マニフェストで掲げた重要政策を実行できなかったことに対する不信感の「受け皿」になったという消極的な側面が強い。

 それでも政権復帰によって、安倍氏が力説してきた”改憲による「国防軍」の保持”や”憲法解釈で禁じられた集団的自衛権の行使容認”のほか、”原発維持に傾くエネルギー政策”が動きだすことになる。

 自民党は公約で原発について「(全原発の)再稼働は三年以内に結論を出す。十年以内に最適な電源構成を確立する」と判断を先送りする方針を示した。だが、安倍氏は選挙中、他党の「脱原発」「卒原発」政策を「無責任だ」と批判。「二〇三〇年代の原発稼働ゼロ」を目指すとした民主党政権の政策が後退するのは間違いない。

 再稼働の可否も専門的な判断は原子力規制委員会に委ねる方針だが、経済界の意向を考慮し再稼働が加速する可能性がある。

 一方、公明党も小選挙区の候補者全員が当選するなど議席を伸ばし、連立政権に復帰する。ただ、自民党内でも突出した安倍氏のタカ派色の強い安全保障政策には不快感を抱く。山口那津男代表は「自民党が主張する憲法九条改正に、われわれはくみしない」と繰り返し、十六日夜も記者団に「基本的な考え方は変わらない」と強調した。

 安倍氏は首相就任後、直ちに緊急経済対策に着手するなど、当面は景気対策を優先させ、公明党とは波風を立てないように配慮する考えだ。改憲や集団的自衛権行使の容認をめぐる本格的な取り組みも来年夏の参院選後となる見通しだが、両党の安保政策の違いは残る。

 また、政権の枠組みをどうするかという課題もある。自公両党で衆院の三分の二の議席を得たことで、参院で否決された法案も衆院の再可決で成立できるが、野党の反発を考えると、できれば再可決は避けたい。

 安定した政権運営のため、自民党は公明党以外の党と政策課題ごとに協力する「部分連合」を模索する方針だ。石破氏は十六日、改憲に積極的な日本維新の会について「安全保障面で話ができるのではないか」と連携に前向きな考えを示したが、維新は参院で三議席しかなく、連立しても政権の安定にはつながらない。TOKYO

 

 関連記事:

憲法改正規定緩和へ「維新と協力」自民・安倍総裁(ASAHI)

自民党の安倍晋三総裁は16日夜のテレビ各局のインタビューで、衆院選で公約した憲法改正について「まず96条の(衆参両院で3分の2を必要とする)改正規定から変えようと考えている。3分の1をちょっと超える国会議員が反対すれば国民が指一本触れられないのはおかしい」と語った。

 安倍氏は、この方針について、ともに改憲を唱える日本維新の会が「理解していただいているのではないか。大きな方向で当然協力していきたい」と強調。ただ、「参院では3分の2にほど遠い。勢力の構築をどうしていくかよく考えないといけない」とも述べた。

 9条改正で自衛隊を軍隊と認め国防軍とすることに関しては「海外には自衛隊は軍だと説明している。この矛盾をなくすのは当然の義務だ」と述べた

 

公明代表は改憲には慎重姿勢 (TV-ASAHI,ANN)

公明党・山口代表は「自民との連立は安倍総裁から呼びかけあれば応じる。そのうえで、具体的な協議が始まる。憲法の96条、手続き規定の改定について、どういう意味持つか国民に十分、理解されていない。

自民は9条改正を視野にしているが、及ぼす影響も考慮し、慎重な議論が必要」と語っている。