自公連立協議の一方… 安倍氏 「改憲連合」探る
次期首相に就任する自民党の安倍晋三総裁が、衆院選の勝利後、改憲に向けて本格的に動いている。表では憲法論議を封印して公明党と連立政権で合意する一方で、日本維新の会らに秋波を送り、改憲に必要な数の確保に向けた足固めを始めている。
安倍氏は十八日、公明党の山口那津男代表と会談。連立政権設立で合意し、政策協議を始めた。だが安倍氏は、公明党との協議では「九条改正にくみしない」(山口氏)立場の公明党に配慮し、自民党の政権公約にある「国防軍」などには深入りしない考えだ
ところが安倍氏は、公明党との協議以外では改憲への発言をエスカレートさせている。十七日の記者会見では、改憲の発議要件を緩和する九六条改正を目指す考えを表明し「維新、みんなの党とは基本的に一致できる」と発言。公明党には言及せず二党にラブコールを送った。維新との協力に繰り返し言及している安倍氏だが、みんなの党に触れたのは初めてだ。
改憲には衆参両院で三分の二が必要。衆院は自民党と維新だけで三分の二を超えたが、参院は半数にも満たない。参院で十一議席を持ち自民、民主、公明に次ぐみんなの党とも連携して「改憲連合」をつくり将来三分の二に近づけようと、安倍氏は考えている。
安倍氏は来年夏の参院選で三分の二超えを目指すが「次の参院選で(三分の二を)達成できるか分からない。もう三年必要かもしれない」と、四年後の次々回の参院選も視野に入れる。
党の規定では総裁は最長六年務められる。二〇〇六年、首相に就任した時、六年間政権を維持することを念頭に「在任中に改憲を成し遂げる」としていた安倍氏は、再登板の今回も、自分の手での改憲にこだわっているのは明らかだ。
だが、改憲に前のめりの安倍氏と、秋波を受ける二党の温度差は大きい。維新の石原慎太郎代表は自身は改憲に賛成だが、自民党との拙速な連携に慎重な党内世論に配慮し「まず党内で議論する」。
みんなの党の江田憲司幹事長は「要は改憲の前にやるべきことがあるだろうということだ」と突き放している。
参考:海外メディア(朝鮮日報)
衆院選:当選者の72%が憲法9条改正に賛成
2012/12/19
日本の次期首相、安倍晋三・自民党総裁が再武装に向けた憲法改正を公約に掲げる中、今回の衆院選の当選者は大半が憲法改正に賛成だということが有力紙の調査で明らかになった。
毎日新聞は18日、衆院選当選者の91%が現行憲法の改正に賛成、72%が、戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を定めた日本国憲法9条の改正に賛成だと報じた。核武装については、当選者の34%が「検討すべきだ」と回答した。
朝日新聞も同日、当選者の89%が憲法改正に賛成したと報じた。同紙によると、憲法改正には自民党、日本維新の会、みんなの党からの当選者のほぼ全員が賛成。護憲を掲げる民主党の当選者の一部も憲法改正手続き、地方自治体の役割強化などをめぐり憲法改正に賛成した。
第三国が攻撃を受けた場合に自国が攻撃されたと見なして防衛に当たる権利を指す集団的自衛権の導入に賛成する当選者は、全体の79%だった。2005年の衆院選では当選者の35%、09年の衆院選では当選者の33%が賛成するにとどまっており、わずか3年間で賛成が2倍に膨らんだ格好だ。朝日新聞と毎日新聞は総選挙前に立候補者全員を対象に調査を実施し、選挙後に当選者の回答だけを抽出して分析した。
■日本国民も改憲賛成意見が増加
政治家だけでなく、一般国民の間でも憲法改正への賛成論が高まっている。毎日新聞が今年9月に実施した世論調査では回答者の65%が憲法改正に賛成した。年齢別では30-40代が72%、50-60代が64%、70代以上が57%だった。戦争経験がない世代ほど憲法改正に積極的という結果が出た。憲法改正に賛成する理由については「時代にそぐわない」との回答が60%で最も多く、反対する理由としては「改正する理由がない」が35%、「憲法9条が改正される懸念がある」が28%だった。毎日新聞が1996年に実施した調査では賛成が32%、05年の調査では58%だった。憲法9条の改正については、賛否が分かれている。東京新聞が先月行った世論調査では賛成が46.2%、反対が35.1%だった。また、憲法9条の改正問題が選挙の争点となって以降、今月初めの調査では賛成40.9%、反対41.4%と賛否がほぼ並んだ。
2010年以前は憲法9条改正に反対する世論が圧倒的に強かった。しかし、最近賛成論が急速に高まっているのは、中国との領土問題、北朝鮮による長距離ミサイル打ち上げなどの影響で、日本も軍隊を持つべきだという認識が一般人の間に広がった結果とみられる。日本の極右勢力は平和憲法が米軍政下の1946年に制定された後、一度も改正されておらず、時代の変化を反映していないと一貫して主張してきた。しかし、極右勢力が憲法改正を推進する究極的な目的は憲法9条を改正し、再武装することだ。
■安倍氏の改憲戦略
安倍次期首相が掲げる2段階の憲法改正論は、そうした世論の変化を念頭に置いたものだ。時代にそぐわない憲法を改正しようとする世論が高まっている一方で、憲法9条の改正には反対が根強い現実に配慮し、憲法改正の条件見直しから進めるのが狙いだ。
安倍次期首相はまず、憲法96条を改正し、憲法改正の発議要件を衆参両院で総議員の「3分の2以上」の賛成から「2分の1以上」へと緩和することを主張している。
専門家は憲法改正要件の変更を「パンドラの箱」を開ける行為だと指摘している。憲法改正の要件を改正した後、憲法9条を改正し、日本が再武装を本格化する可能性があるためだ。