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第18回300文字小説、最優秀賞「先生」 

2016-08-31 | Weblog

地下鉄に乗った。

運良くドア近くの端っこの席が空いたので、手すりに傘を引っかけ、通勤かばんを膝の上において座った。

ふと前を見ると、見覚えのある男性が座っている。誰だったかなあ? …そうだ、中学二年のときの担任の鈴木先生だ。

 挨拶(あいさつ)をした方がいいかなあ? いやいや、僕のことなんか覚えてるはずがない。

 成績は良くなかったし、特にこれといった取り柄(え)もなかったしなあ。

 よく忘れ物をして「山田、また宿題忘れたのか。後ろで立ってろ!」って怒られたなあ…。

じきに降車駅に着いた。立ち上がって、開いたドアから降りようとした。

その時、後ろから大きな声がした。

 「山田、傘忘れてるぞ!」

 

(名古屋市天白区・英語講師・61歳)

【評】東京新聞掲載七十五篇の中から、今回、最優秀賞に輝いたのは、事前投票でも最多の支持を集めた、加藤敦子さん「先生」でした。誰もが自然にシチュエーションを思い浮かべてニタリとする共感性の高さが文句なしの評価につながりました。

一枚の写真(自分の最期の時 ネコ)

2016-08-28 | Weblog

Mourning/Loss

He held our hands on his last trip to the vet. Little Andrew was much stronger than his mom and I.

 
 
 

Thanks all. Little Andrew was my junior. He was 15 and a half and loved everyone, but just got old and sick over the last year. He purred everyday of his life and when he lost that, I knew it was time. Always sad to lose a friend. Sorry for everybody else's losses as well.

https://www.reddit.com/r/cats/comments/4xbjsm/he_held_our_hands_on_his_last_trip_to_the_vet/?limit=500

 

米ソーシャルニュースサイトの『Reddit』に投稿された1枚の写真。1匹の猫が、長年可愛がってくれた飼い主の手をギュッとつかんでいる。

実はこの写真、体調が悪く思うように動けなくなった猫を少しでも楽に逝かせてあげようと、動物病院に向う途中で撮られたものだった。

“abernha3”さんが『Reddit』に「哀悼・喪失(mourning/loss)」と題して投稿したのは、飼い猫のリトル・アンドリュー(Little Andrew)の最期の日の写真だ。アンドリューは15歳半、人間でいうと78歳くらいになるおじいちゃんだった。人懐っこい猫だが昨年から体調が悪く、ここ数日はゴロゴロと喉を鳴らすことさえできなくなっていた。

abernha3さんは「ついにその時が来てしまいました。アンドリューを動物病院へ連れて行くのは今日が最後になります」と悲しい胸のうちを明かし、「車の中でアンドリューが僕の手をギュッと握ったんだ。僕らなんかより、アンドリューはずっとしっかりしてるよ」と綴った。

この切ない投稿に、ユーザーからは様々なコメントが寄せられた。

猫だって自分の最期の時がわかるんだよね。ほんと、すごい。僕の猫も、最期の時はあなたの猫と同じようにとっても落ち着いていたよ。」

「私も2年前にロシアンブルーを亡くしたんだ。あなたが飼っている猫とそっくりだ。18年も生きた猫だったからね。私たちには言葉では言い表すことができない絆があったんだ。あなたの気持ちは痛いほどわかるよ。」

「たった1枚の写真だけど、あなたがどんなにアンドリューを愛していたかよくわかる。アンドリューもきっとそれをわかっていたはず。」

「安楽死させるのはつらいこと。でも愛する家族が苦しんでいる姿をみるのはもっとつらい。あなたの決断は正しいことだよ。アンドリューが安らかに眠りについたことを祈っているよ。」

これに対しabernha3さんは「友達を失うっていうのは本当に悲しいことだよ」と返答し、多くのユーザーの励ましに感謝の言葉を述べた。

死期が迫ったとき、自分は何を考えるのであろう。愛する家族や友人との楽しかった頃を思い返し、落ち着いていられるだろうか。人生に感謝し、遺していくものの幸せを願うことができるようでありたいものだ。

 

 

 


神学者・森本あんり 米国政治を動かす反知性主義 (一方 歴史修正主義が政治を動かす日本)

2016-08-24 | Weblog

反知性主義」というのは、知性ではなく、「既存の知性」に対する反逆なんですよ。つまり、知性そのものじゃなくて、「今、主流になっている知性や理論をぶっ壊して次に進みたい」という、別の知性なんです。

アメリカを動かす「反知性主義」の正体

森本あんり・国際基督教大学副学長に聞く

イラク戦争のころ、米国駐在の友人が「こっちの人は、『Save Iraq!』ってステッカーをクルマに貼ってるんだぜ」と驚いていました。世界中から突っ込まれても平気で我が道を行く、どうしてそこまで己を信じることができるのか。脚下照顧の国に生きる私たち、慎み深い日本人には分かりにくいところです。どうやら米国の底流に「反知性主義」とやらがあるせいらしい。え、語感からして、ものすごくやばい感じがしますが…

(聞き手:日経ビジネス副編集長 2015/4/24 )

このところよく目にする「反知性主義」という言葉があります。字面からは「科学や論理的思考に背を向けて、肉体感覚やプリミティブな感情に依る」ような印象を受けるのですが。

森本:もともとの「anti-intellectualism」のニュアンスは、ちょっと違います。ネガティブな意味もありますけと、それだけじゃない。すごく誤解を招きやすい文字の並びですけれどね。

たしか『アメリカの反知性主義』(リチャード・ホフスタッター)という、1963年に書かれた歴史的名著で、ピューリッツァー賞を取った本が…

森本:はい、彼こそが「反知性主義」の名付け親です。『アメリカの反知性主義』は、今読んでもまったく古びていないすばらしい本だと思いますが、読まれましたか。

えー、実は7年前から本棚にはあるんですが、前書きしか読んでいません。タイトルだけ見て、「ああ、やっぱりアメリカ人って、進化論を否定する人も多いとか言うし…」と、かえって偏見を深めていたことが、先生の『反知性主義 アメリカが生んだ「熱病」の正体』を読んで、初めて分かりました。

森本:あ、そっちはすぐ読んでいただけたんですね(笑)。

この、反知性主義(※以下、特記なき限り米国でのそれを指します)というのは、正直、日本人にはどうにも理解しにくいのではないかと思います。米国人にとっては自明のことから説明してもらわないと、我々には「なぜそうなるのか」が分からない。

「アメリカってなんでこう子どもっぽいのか」

森本:ええ、米国のキリスト教がたどってきた歴史を知らないと、なぜアメリカ人の中に反知性主義が生まれたのかは分かりにくいです。

でも「反知性主義はアメリカのキリスト教の発展に伴って生まれてきた、この国の底に流れる思想」、というところだけは、歴史を知らなくてもなんとなく分かるので、そうなると私なんかは「ああ、進化論を否定して、宗教的な価値観を押しつけてくる原理主義的な運動かな、また禁酒法とか言い出すのかな」と、もう引きに引きまくってしまうわけです。

森本:わかります。本にも書きましたけど、『アメリカの反知性主義』は「歴史的な名著」なのに、日本でみすず書房が翻訳を出したのが2003年、原著が出てから実に40年かかりました。米国でのキリスト教の独自の発展と、それが生んだ「反知性主義」が、日本人にいかに親しみにくいかが窺えます。

ということは、そこを理解しないゆえに我々日本人は、米国人の、そしてアメリカ合衆国のグラスルーツのものの見方、考えかたがいまひとつのみ込めないのではないか、と。日本で「反知性主義」という言葉が広がりつつある今こそ、正しい意味を知っておく必要があると思うんです。

森本:この本は、昨今の日本での「反知性主義」ブームに乗るつもりはまったくなかったのです。2010年だったかな、アメリカ学会で、反知性主義はアメリカ研究のテーマの一つですから、シンポジウムがあったんですよ。そこで話をしまして、3年前に研究者向けの本を書きました(『アメリカ的理念の身体―寛容と良心・政教分離・信教の自由をめぐる歴史的実験の軌跡』)。それと、『アステイオン』という雑誌がありますでしょう

サントリーの。

森本:あれに反知性主義について書いたんです。それを読んだ新潮社のSさんからご依頼があって、この本を書き始めたというわけなんです。

この例えはキリスト教徒として、あり?

読む側からすれば、いいタイミングで「真打ち」が出たという感じです。ホフスタッターの本に比べてこの本が読みやすいのは、もちろん日本人が書いたということもあるのでしょうけれど、多くの日本人にとってはクリスマスのイメージしかないキリスト教を、ある意味「身もフタもない」言葉で「そうか、そういうことか」と分からせてくれるところです。

森本:分かりやすいと言っていただければ本望です。

しかし、先生も…「ふまじめ」と言っては何ですけど、もちろんクリスチャンでいらっしゃるんですよね。

森本:ええ。まあ、何というんでしょう。クリスチャンの紹介にはみんな「敬虔な」と必ずマクラ言葉でつけるけど、そういうのはだめですよ。つけないでくださいね(笑)。

信者の方なのに、「キリスト教をこれだけ突っ放して、外の人の目線に立って書いていいのか」と、ちょっとびっくりしたんですけど。

森本:そうかな。そんな身もフタもない言い方でしたか?

少なくとも、「敬虔な」信者の方だったら、キリスト教をウイルスに例えたりしないんじゃないですか。こんな文章がありましたよ。

本書の冒頭で、宗教の伝播はウィルスが感染し繁殖していくプロセスと似ていることを説明した。アメリカという土壌は、キリスト教というウィルスの繁殖には最適だったようである。

(同書269ページより。表記は原著に従っています。以下同)

森本:分かりやすいでしょ。

めちゃめちゃ分かりやすいです。

森本:ウイルスっていうのは、宿主に受け入れられて繁殖するうちに、その宿主にもたいへんな影響を及ぼすけど、自分自身も変化して亜種が生まれるんです。

その結果、アメリカのキリスト教はアメリカ社会に影響を与えつつ、オリジナルとかなり違う方向に進化したと。ウイルスの例えがぴったりですね。

森本:これで、キリスト教をこき下ろしている、みたいに思う人がいるのかな。

うーん、今の世の中、それこそポリティカル・コレクトネスというやつになると…小田嶋隆さんのコラムでもいろいろご指摘をいただくもんですから、もう。

森本:いや、小田嶋の陰に隠れていればこんなの全然(笑)

※森本あんり氏と小田嶋隆氏は小・中・高校の、同学年の同窓生

何を言っているんですか(笑)。

森本:温和なものです、僕の批判なんて。

ウイルスに例えるようなお話を、キリスト教徒の中でしても平気なものなんですか。

映画で学ぼう、「反知性主義」

森本:そりゃそうでしょう…ああ、わかりました。あなたがキリスト教徒に謹厳なイメージをお持ちなのは、日本にキリスト教徒が少ないからですよ。宗教に限りませんが、マイノリティの人はどこでもみんな肩ひじ張っていて、まじめなんです。

あ、なるほど。

森本:例えばイタリアへ行ってごらんなさい。「皆さんまじめなクリスチャンなんですか」とか聞いたら、みんな吹き出しちゃうよ。「うーん、おととしクリスマスのミサに行ったかな」とか、そんな感じで。毎週日曜日に行っている人なんかいないですよ。逆に、例えばアメリカに行くと、アメリカの仏教徒というのはすごいまじめなの。

ああ。「あれがブディストだ」と見られているから。

森本:そうそう。仏教徒の代表みたいに。だからやっぱりきちんとしてなきゃいけない、と思うでしょう。日本でも、キリスト教徒だけの中に入れば、お互いの話なんだから、もうとんでもない話ばかりしているわけですよ。それは人間なんだからあたりまえですよね。

なんだか安心しました。もうひとつこの『反知性主義』が分かりやすいのは、先生がたびたび映画を取り上げていることですね。考えてみれば、映画は、言葉にできない感性やイメージが、きわめて具体的に表現されているコンテンツで。

森本:ええ。文化や習慣、価値観を知るにはもってこいです。

付け焼き刃で本当にお恥ずかしいんですけど、こりゃ面白そうだと思って、昨日『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992年、アカデミー賞受賞)と、それから『エルマー・ガントリー』(1960年、アカデミー賞受賞)を…

森本:ご覧になった? いいでしょ、あれ。

見ました。特に『エルマー・ガントリー』は感動しました。

『エルマー・ガントリー/魅せられた男(Elmer Gantry)』1960年公開、監督:リチャード・ブルックス、主演:バート・ランカスター

森本:『エルマー・ガントリー』はね、本当に筋も濃いしね。スキャンダルあり、メディア利用のからくりあり、ひっくり返る大団円ありで。バート・ランカスターが若い時代で、女優さんたちもきれいでしょう。

きれいでしたね。で、「これはすごい映画だ」と思って、どんな感想が書かれているかなと検索してみると、意外に「理解できない」という評価が多いんですよ。「宗教の話と思ったら、女の性(さが)の話だった」「主人公がうさんくさい、何を考えているのか分からない」とか。

森本:え、そうなんですか。

「神よ、掃除機が売れました!」

はい、ちょっとびっくりしました。でもよく考えたら、私、『反知性主義』を読んでいるんですね。これを読んでいると「あっ、本当に牧師がサーカスみたいに説教してる! 歌いながら酒場を焼き討ちしてる! これが例の、反知性主義の苗床になったリバイバリズム(信仰復興運動)か!」と、面白さ倍増です。もう「出た! 出ました! これ知ってる!」の連続で。

森本:でしょう! そういう話ばかりです。もうこの本はね、あの映画で出来上がっているんです(笑)。本当に。

たぶん、主人公のさすらいのセールスマン、エルマー・ガントリーが「何を考えているのか」が、普通の日本人には理解・共感しにくいので、ストーリーに入りにくいんだと思うんです。エルマーの「セールスマン根性」みたいなところと、聖書の教えとが……

森本:ちゃんとつながっているでしょう。「掃除機が売れました。神よ、感謝します!」とか(笑)。

そうそう、あれは日本人には信じがたいけれど、本気なんですね。話がちゃんとつながっている。その描写がめちゃめちゃよくできていて、「米国人の生き方と宗教観は、こう連結しているのか」と。ここが分からないと、エルマーはヒロインの美しい牧師を口説きたいから頑張ったのか、ビジネスを成功させたかったのか、上流階級に一泡吹かせたかったのか、それとも何も考えていないのか、分からないんじゃないかと。

※編注:エルマーを誰に例えれば分かりやすいか。個人的には、心の底に「日本人の義理人情」を持ちつつ、並外れたプロデューサー兼セールスマンでもある、『こち亀』の主人公、両津勘吉氏が宗教家になったようなイメージです。それはそれとして、『反知性…』を一読されてから「エルマー…」を観るのは本当におすすめです。エンタテインメントと知的興奮が同時に味わえます。
 
『リバー・ランズ・スルー・イット(A River Runs Through It)』1992年公開、監督:ロバート・レッドフォード、主演:クレイグ・シェイファー、ブラッド・ピット

森本:『リバー・ランズ・スルー・イット』もそうですが、映画の背景になっているのはアメリカの開拓の歴史というか、西部の荒野ですよね。未開の地、新しい世界へ人間が歩み入っていく。その時に、自分のよりどころになるのは何か、ということです。『エルマー…』では、既存の宗教の方法論や権威に頼らず、直接「神」と対話しよう、という「リバイバリズム」が批判的な目で描かれているし、『リバー…』では、自然を通して直接神の息吹に接する、という姿が美しく描かれているわけです。

先生は、自然を通して神と直接向き合おうというのは、言い換えれば「上から」というか、「既存の秩序、教義みたいなものに目を曇らされていてはダメよ」という反骨心でもある、と指摘されていますね。教会内での位が高いから神や真理に近いか。そんなわけはない。まず自分の頭できちんと考えなきゃダメ、という考え方でもあると。それが、リバイバルの闘士が持つ「ファイティングスピリット」に通じているのかもしれませんね。

権威への反逆、思わず元気が出る

森本:そうですね。ここはぜひ強調したいんですけど、反知性主義」というのは、知性ではなく、「既存の知性」に対する反逆なんですよ。つまり、知性そのものじゃなくて、「今、主流になっている知性や理論をぶっ壊して次に進みたい」という、別の知性なんです。

だからパイオニアなんです。フロンティアスピリットを持ち、戦闘意欲満々で、今大きな顔をしている権威だとか、伝統だとか、その道の大家だとか、そういうのをみんなぶった切っていくわけ。

信仰復興運動=リバイバリズムも、ざっくりと言えば最初の植民者であるピューリタンたちの、あまりにロジカルかつ体制的なキリスト教への反発から、「神様は本当にこんな堅苦しい教義とかを望んでいるのか?」という考え方が生まれて、広がっていったのでしたね。

森本:そうですね。

先生の本でぶったまげたのは、リバイバリズムの担い手の「牧師」たちの多くが、実は神学校も出ていない「自称」牧師で、だけど「私は何百人も回心させました」という人たちだった、ということです。当然、ちゃんと神学校を出た「本物」のほうは面白くないわけですが…。

もちろん、既成教会の牧師たちも彼らをそのまま野放しにしていたわけではない。当時の牧師連合会では「ハーバードかイェールを卒業した者(※NBO注:どちらも元々は神学校)でなければ、教会では説教させない」(プリンストンの創立はもう十年ほど後である)ことを定めたりしたが、そんな取り決めは野外で勝手に開かれる集会には無力である。彼らも時には闖入者に面と向かって問い糾すことがあった。「いったいあなた方はどこで教育を受け、何の学位を持ち、どの教会で牧師に任命され、誰に派遣されてきたのか。」

しかし、リバイバリストの方ではそんな問いに答える義理はない。逆に牧師たちに向かって、昂然と言い返すのである。「神は福音の真理を『知恵のある者や賢い者』ではなく『幼な子』にあらわされる、と聖書に書いてある(「マタイによる福音書」11章25節)。あなたがたには学問はあるかもしれないが、信仰は教育のあるなしに左右されない。まさにあなたがたのような人こそ、イエスが批判した『学者パリサイ人のたぐい』ではないか。」――これが、反知性主義の決めぜりふである。

(『反知性主義』84、85ページより引用))

これを読むと、反知性主義ってなんだか元気が出てきますね。もともとの出発点は、「学者」と「パリサイ人」、つまり当時の学問と宗教の権威を正面からこきおろしたイエスの言葉なんですね。

森本:はい、信仰によって「既存の権威に、たったひとりでも敢然と立ち向かう」ということですから。反知性と言いながら、新しいものが生まれる可能性が高くなる、という意味では、知性にとってもプラスなんです。反知性主義がないと、宗教や学問はもう伝統墨守になっちゃうわけですよ。昔ながらの権威を教え戴いているだけで、何も変わらない。

それがあの国のウルトラ楽天的な姿勢や、時には子どもっぽい行動につながっている。でも、それは活力の源でもある。

森本:そう、翻って日本では特に伝統墨守、権威維持の力が強いです。いつまでも、何でも。大学だって東京大学を一番に、点数順に並んでいて、もううんざりしますね。日本人は、政治家だとか学者だとかは「批判されるべき権威」だ、ということまでは知っている。でも、マスコミとか芸能界とか、普通なら権威に対してアンチな立場に立つ人たちの中にも、だんだん権威の秩序ができちゃうんです。

ああ、小田嶋さんのアンテナはそっちの方にもすごく敏感に反応されますね。なくてもいいところに権威つくりやがって、みたいな感じで。

森本:そういうことを言うのが彼なんですね。だから余計に面白いんですよ。余計に危ないのかな。本来ならそういう人たちを味方に付けてね、権威者ぶっているやつをやっつける、というのが一般的な構図でしょう。小田嶋はそこも許さないんですよ。だから面白い。

味方も友達も別にいらない、と思っていらっしゃるようですね。

森本:1人で戦う気なのかな。うん、それが小田嶋であり、反知性主義のほんとうの姿かもしれませんね。

日本人の「宗教への恐怖心」の理由

ちょっとお話が本から離れてしまいますが、日本人にとって反知性主義が理解しにくいというのは、それだけ宗教に対して距離感があるためだと思うんです。言葉を選ばずに言えば、「宗教を信じている人って、ちょっと怖い」みたいな。キリスト教に限らず、宗教全般に対する、恐怖心が。

森本:それはありますね。

なぜでしょう、どうお考えになりますか。

森本:1つには、「マインドコントロール」というか、「宗教を信じている人は、理性的な判断が結局できないんじゃないだろうか」と。進化論を否定しておいて、科学や歴史をどう考えるんだろう、みたいな。そういう怖さもあるでしょう。もう1つはやっぱり、自分の常識が通らないのでは、というか、違う論理と向き合うことへの恐れでしょう。ただし、例えばオウムのサリン事件だとか、ああいう宗教テロがあったからだというふうには、あまり僕は感じない。

私もそう思います。我々の持つ宗教への不安感とか恐怖感とか、近寄りたくないなという感覚って、昨今の出来事以前から、もっと土着的にあるような気がします。

森本:それはね、日本社会が成熟しているからなんだと思いますよ。日本社会って本当に知的にも、文化的にも、社会的にも、インフラ的にも成熟した社会です。だからそんなに簡単に、新しいものに魂を持っていかれないわけ。

えっ、そうですか?

森本:アメリカというのは、そういう意味では若い国で、それこそ開拓時代だと何もなかったわけですよね。そういうところから何かをつくっていくには、建設のビジョンが必要なんです。キリスト教に限ったことではありませんが、宗教はそういう理念形成の力を提供してくれます。

そうか、更地だから目標や理念がいる、宗教はそこにハマるのか。

森本:日本の仏教だって、新しい国家が生まれ、揺らいで新しくなるとき、大化の改新とか、内乱があった頃に……

ああ、確かに。大仏建てて、国分寺造って、みたいな感じで。

森本:そうそう、宗教はああいうふうに機能するわけですよ。社会に秩序を与えて、建設のビジョンを与える。そういうときに出番が来る。だから日本でも明治の初めにキリスト教が躍進しました。新しい社会になったけれど、どう振る舞ったらいいか分からない、既存の秩序が消えた時に、新しい秩序を見せてくれる。

なるほど。

森本:それから、戦後すぐですね。マッカーサーが来て、アメリカの軍隊が来て、世界がアメリカ化して見えてきた時代。でも民主主義って体験したことがないんだから、ほんとのところ分からないわけですよ。そういう時に宗教って広まるんですよね

古くなったOSが書き換わるみたいな時に、ですかね。

森本:そうそう。その最初のころに必要なんです。

動いているOSは、無理に書き換えなくてもいい

ああ、なるほど。自分自身のOSを書き換えるのって、既存のOSのアプリケーションにしてみたらうれしいわけがないですものね。「俺が消えちゃう」みたいな。

森本:そうですね。そして、日本社会はある程度古いOSがちゃんと機能しているわけですよ。

なるほど。

森本:成熟して枯れたXPがあるのに、何でVistaなんか入れなきゃいけないんだと。

確かに(笑)。

森本:僕は「8」が本当に嫌いなんだけど。だって「7」がちゃんと機能しているんだからね。

そうですよ。私も、7から絶対に移行したくないですよ。

森本:そうするとね、やっぱりいらないんじゃないの、別にそんな、新しいからって、というふうになりますよね。

なるほど、それが日本人か。それで言うと、例えば先生、あれですか、私がキリスト教に回心しなくても、別にいいよ、と思っていただけますか。

森本:それは、宗教的に言うと、人間のビジネスじゃなくて神様のビジネスなんですよ、最終的には。他人が回心するかしないかなんて、僕の知ったことか、というかね(笑)。

知ったことかと言われました(笑)。

森本:何でかというと、それは実存の問題だから。僕にとって僕の人生はとても深刻な問題じゃないですか。だけど、他の人が救われようが救われまいが、別に僕には関係ないわけですよ。そして、山中さんが回心するとしたら、それと同じくらい山中さんにとってそれが自分の真剣な問題になった時です。

まあ、それはそうですね(笑)。

森本:だから、どんなに一生懸命に広めようと思ったって、本人にその機が熟さない限り、無理に広めることはできないんです。

それをやると、リバイバリズムの負の面になっちゃうわけですもんね。回心する人を効率的に増やすことに意識が向いて、どんどん単なるビジネスになってしまう。

日本の「半知性」主義

森本:回心というのは、本人の準備ができた段階で自然になるんです。機が熟するには、人間の時じゃなくて、やっぱり神の時がある。もしかしたら、山中さんが60歳になった頃に、突然そういう時が来るかもしれないんだから、それまでは救いようがありません(笑)。

ちょっと安心したところで(笑)、先ほど、日本社会は成熟しているというお話がありましたが、一方では、本当の意味で自分の頭で考える「反知性主義」よりも、既存の権威を護持する方に回りやすい風土もあるわけですよね。

森本:竹内洋さん(社会学者、京都大学、関西大学名誉教授)とこの間対談したんだけど、竹内先生がおっしゃるには、日本にはハン知性…半分の半ね。それしかないんだって。

半知性(笑)。

森本:日本には。筋金入りの知性主義もないから、筋金入りの反知性主義もない。半分だけの生ぬるい知性主義しかないんだ、というのが竹内先生の見方です。

社会が成熟しているという部分と、半分の知性しかないということは矛盾しないのですか?

森本:なぜかというと、一般の知性のレベルが高いから。

平均点は高いけれど、抜きんでる人があまり出てこない?

森本:粒が立たない。というか、立つ必要がない。社会が成熟しているので、知的にも成熟しています。一方で、それゆえ日本は権威の構造がかっちりでき過ぎてしまった。だから、反権威という意味での反知性主義がなかなか育ちにくいんだと思いますよ。すでにあるものを踏襲してゆけば、そこそこいいものができるから。

ああ、なるほど。「師匠と同じになる」ことが、日本の学問とか武術という、いわば「道」の在り方で。

万人に「破」「守」の可能性を信じる

森本:「学ぶ」は「まねぶ」ですから。「道」はほとんど宗教です。デュルケムの宗教社会学的な理解から言うと、宗教に神が出てくる必要はないんです。何ものかへの献身があれば、それは立派な宗教です。

でもね、昔から、「守破離」と言うでしょう。最初は師匠の教えを守って、その次に破って、そこから離れて自分の道を行く。つまり日本にも、「師匠を超えろ、違うことをやれ」という考え方はしっかりある。ただしそういうのは本当の、ものすごくできる人の話なのです。

誰もかれもが守破離ができるわけじゃない。それはそうですね。でも、反知性主義は、まさに「誰もかれも、“破って”“離れる”べきだ」というお話なのではありませんか。

森本:そうです。誰でも出来るわけじゃない。でも、「破」や「離」の可能性がいつでもある、ということを見せてくれる人たちが米国にはいるんです。その代表例がリバイバリストの伝道者たちでした。自分はただの平凡な人間かもしれないけど、「新しい時代の根拠がここにあるんだ」と信じられたら、もはや誰も恐れない。大統領だろうと大学者だろうと。

その平民の伝統が、米国のダイナミズムの底流にある。そういう面では、反知性主義はまさに米国の活力の象徴だし、表層的には、キリスト教が自己啓発セミナーだか宗教だかわからなくなっている状況の原因にもなっているわけです。

うーん、日本だと確かにこの考え方は難しいですね。だって、「世の中ではこう言っているけど、これ違うんじゃないかな」と、仮に何かのジャンルで思ったとしても、「私がそれをちゃんと世に問うにはまだまだ力が足りない。もっと勉強してから」なんて、ついつい謙虚に考えてしまいそう。

森本:そうなっちゃうんですよ。でもこの人たちはやっちゃうんですね。平気なんだもの。だって、俺は神様に「うん」と言ってもらったんだから、そんなほかの権威なんかどうでもいい、というふうになるんですよ。

そういうところに、日本人はちょっと「ついていけない」と感じるのかもしれません。しかし、キリスト教が、自己破壊による革新を是認するというのは、いわゆる宗教改革の、ルターだカルヴァンだ、という頃からそうだったんですか。

森本:ルターだのカルヴァンだのじゃなくて、もう、ずっと初めからです。

え?

森本:だってイエスというのはそもそも反権威なんですよ。

うっ。

森本:イエスというのはその当時の宗教をぶっ壊した人なんだから。ユダヤ教の巨大な権威の塊があったわけですよ。律法学者だのパリサイ人だの。でも、「あんた方のやっていることは神様の言っていることと違うんですよ」というのがイエスのメッセージでしょう。

よく考えるとすごいことを言っていますね。

森本:とんでもない反宗教なんです。それはお釈迦様でも同じなの。お釈迦様というのは、古代バラモン教の階級社会に生まれて、それでも「宗教は高位高僧のものじゃなくて、一般の人々のためにある」といって、ご自分の教えを説いたわけですから。そして下層の人たちがそれを受け入れるようになっていったんです。ここは初期キリスト教の発展とまったく同じです。

そうか、世界宗教って、既存の宗教の破壊と革新から始まっているわけですね。

森本:そうです。だから、新しい宗教は主流(チャーチ)へのカウンター、つまり分派(セクト)として出発するんです。だけど、やがてそれでマジョリティになると、自分もチャーチになっちゃうわけ。

そしてチャーチは必ずまたセクトを生んでいくと。

森本:カトリック教会だって、はじめはずっと迫害されていて、ようやくローマ帝国の公認宗教になったんですが、気がついてみたら自分が弾圧する側に。それでプロテスタントが生まれるわけです。ところが、そのプロテスタントもマジョリティになると、そこからまた反発が生まれる。

ピューリタンが出て、そのピューリタンが新大陸で主流になったら、今度はバプテストが出て。

森本:そうそう。

米国憲法にもビルトインされた「反知性主義」

しかし、それにしたって、そんな反知性主義をベースに置くアメリカってどこかおかしくないですか。「国を挙げて、宗教を挙げてセクト是認」って、何というのか、そもそも国や宗教として矛盾してるのでは、という気もするんですが。

森本:うん。その「セクト是認」「異論反論上等じゃねえか」というのを、国の文化や社会システムに組み込んだということが、アメリカという国の大きな特徴なんですよ。

そうか、そういうことですね。

森本:そう。だからアメリカの連邦制だとか政教分離だとかのシステムは、政治だけを勉強していたのでは理解できないんです。その根っこにあるのが、この反知性主義的な考え方なんです。

本の中でも語られていますが、例えば米国人の中に伝統的にあるという連邦政府への不信感も、この視点から見れば納得できます。

森本米国の憲法制度をみても、「権威に対する反発」が、しっかり組み込まれています。自分たちがやってきた異議申し立ての方法をシステム化したらこうなりました、というのが、米国の憲法なんですよ。そしてその憲法や権利章典は、二百数十年続いてメジャーな変更がないアメリカ国家の根幹なんです。

森本 あんり(もりもと・あんり)
1956年神奈川県生まれ。国際基督教大学、東京神学大学を経て、プリンストン神学大学博士課程修了。現在国際基督教大学人文科学科(哲学宗教学)教授・学務副学長。プリンストンやバークレーで客員教授。主な著書に『ジョナサン・エドワーズ研究』『アジア神学講義』『アメリカ・キリスト教史』『アメリカ的理念の身体』など。

コメディアン安倍は 土管に乗ってリオ会場に登場、 一方の奥方は 沖縄・高江訪問に続いて米パールハーバー訪問

2016-08-23 | Weblog

安倍は20日、オバマ米政権が検討する核兵器の先制不使用政策について、自身がハリス米太平洋軍司令官に反対の意向を伝えたとする米ワシントンポスト紙の報道を否定。いわく、「核先制不使用についてのやりとりは全くなかった。どうしてこうした報道になるのか分からない」と大嘘をついた後、そそくさと雲隠れしてしまった。

そして次に現れたのが翌21日、リオ五輪の閉会式会場だった。コメディアン顔負けのスーパーマリオに扮して土管の中から登場したのだ。これにはオリンピックの政治色を嫌う海外ではブーイングものだった。

初の女性知事小池を使っての演出ならまだしも、あるいは日本人の俳優やアーティストに仮装させての演出ならばいらしらず、次期開催地東京がよりによって、アジア隣国ばかりか欧米諸国でも歴史修正主義者として悪名高い安倍をわざわざ引っ張り出して使ったことは(発案は組織委の会長森という話もあるが、またお決まりの広告大手電通だろう)自らイメージダゥンを図ってしまったようだ。大いに受けたと報道しているのは安倍の広報紙フジ産経ぐらいで、現にBS国際放送をみても、リオ閉会式を大きく放映しても安倍の登場を取り上げた海外メディアはなかった。

それは当たり前で、政治家は政治家としてアピールする場があるわけで、オリンピック会場ではない。安倍は過去に、反アパルトヘイト運動の英雄マンデラ元南アフリカ大統領の追悼式(2013年12月5日)に欠席し、またフランスで起きた政治風刺週刊誌「シャルリー・エブド」の編集長ら襲撃テロ事件(2015年1月7日)で世界的に盛り上がった「報道と言論の自由を守る」パリ行進にも不参加だった。オバマ米大統領など各国の首相がこぞって出席したのとは大違いだった。

彼らの出席は、人種隔離政策に反対しテロ暴力から言論の自由を守るという意思表明する自己アピールである。それと共に、自国が人権や言論の自由を尊重する国であることをアピールする外交にもつながっている。ところがこの安倍の外交といえば、ただその国にでかけて金を置いてくるだけの外交だ。いずれにしても、リオ五輪の閉会式にサプライズ登場した安倍に国内外から非難と嘲笑が巻き起こっているのは事実だ。 管理人の一言

リオ五輪閉会式 安倍首相の“スーパーマリオ”に非難と嘲笑

2016/8/22日ゲンダイ

「一国の総理大臣のやることか?」「国辱ものだ」――リオ五輪の閉会式にサプライズ登場した安倍首相に国内外から非難と嘲笑が巻き起こっている。

21日、リオ五輪・閉会式に安倍が登場した。

21日 閉会式では2020年の東京五輪への引き継ぎ式が行われ、巨大モニターに8分間のプレゼンテーション映像が流れた。キャプテン翼やドラえもんなどアニメのキャラクターに交じって、なぜか公用車の後部座席でふんぞり返る安倍首相の姿も。これだけでも顰蹙ものだが、映像の後、会場中央に置かれた円筒の中から赤いボールを持ったスーパーマリオの着ぐるみが登場。その中から出てきたのが、なんと満面の笑みを浮かべた安倍首相本人だったのだ。

早速、ネットでは

アニメを使って楽しかったが、最後に“汚物”が出てきて絶望」

「世界に日本の恥をさらした」

「安倍は土管から出てくるためにわざわざ税金を使ってリオまで行ったのか」

といった声があふれ返った。

「ちょうど80年前、ナチス政権下のドイツで開かれたベルリン大会で、ヒトラーは国威発揚のため自ら開会宣言を行った。オリンピックの政治利用の最悪のケースとして歴史に刻まれています。安倍首相もセレモニーに登場することで“東京五輪まで首相を続けるぞ”とアピールしたのです。再来年9月までの自民党総裁任期を延ばそうという動きと連動した姑息な延命PRです」(自民党事情通)

ヒトラーといい安倍首相といい、独裁者がやることはソックリだ。

 

安倍、スーパーマリオに扮して登場

 安倍、土管の上にのって登場


一方、安倍の奥方は別行動、沖縄・高江訪問に続いて米パールハーバー訪問

75年目という節目に

「ハワイには何度も来たことがありますが、パールハーバーを訪れたことはありませんでした。この一年、戦後70年ということで、先の戦争について考える機会が増えるなか、どうしても一度は訪問したいという気持ちが強くなりました。実際にこの目で彼の地を見て、亡くなった方への祈りを捧げたいと思ったのです」

ハワイの中心部・ワイキキから車を30分ほど走らせたところに位置する「U.S.Sアリゾナ記念館」。真珠湾攻撃によって亡くなった人々の追悼のため海上に建てられたこの施設に、日本時間8月22日早朝、犠牲者に向かって祈りをささげる安倍昭恵・首相夫人(54)の姿があった。

「ここで2400名もの人命が失われたんですね…。記念館に展示された様々な資料を見て、改めて『パールハーバー』がアメリカの人々にとってどのような意味を持つのかを知り、胸を痛めました」

1941年12月7日午前7時55分(日本時間12月8日午前3時25分)、日本海軍の連合艦隊機動部隊が真珠湾を強襲。2時間にわたる攻撃によって、戦艦を含む12隻の船が沈没・座礁、164の航空機が破壊され、民間人49名を含む約2400名が亡くなった。

太平洋戦争の「最初の戦いの舞台」となった真珠湾。アメリカでは、宣戦布告がなされぬまま攻撃が実行されたことへの憎しみと、多くの人命を一瞬で失った悲しみを込めて、12月7日は「day of infamy(汚辱の日)」と呼ばれている。「リメンバー・パール・ハーバー」の言葉とともに、いまでも第二次世界大戦の忌々しい記憶としてこの日のことが語り継がれているのは、周知のとおりだ。

過去、アメリカは日本政府に対して「日米の和解をさらに進めるためにも、日本国首相の真珠湾訪問を歓迎する」と何度も呼びかけてきた。が、日本政府がこれに応えることはなかった。国内で「奇襲ではない」「訪問をすれば謝罪は必至。なぜ謝罪をする必要があるのか」という声があり、そうした意見に配慮したため、と言われている。

その空気が大きく変わったのは、今年5月。オバマ大統領が、現職の大統領として初めて被爆地・広島を訪問、17分間にわたるスピーチで平和の尊さを訴えたことで、「アメリカが過去に向き合ったのだから、安倍首相も真珠湾を訪問して、過去に向き合うべきだ」との意見が、外部からのみならず政権内部からも聞こえてくるようになった。

真珠湾攻撃から75年という節目に当たる今年、日本の首相がはじめて真珠湾を訪問するかもしれない――。そんな気運が高まる中、安倍昭恵夫人がアリゾナ記念館を訪問したのだ。

これまでの平和に感謝し、これからの平和を祈る

昭恵夫人がその思いを語る。

「オバマ大統領が広島に訪問したことで、被爆地ヒロシマのこと、そしてあの戦争のことを改めて考える機会を持った方も多いはずです。パールハーバーについて、様々な議論や見方があるのは知っていますが、憎しみや怒りを超えて、次の世代にこの記憶を語り継いでいかなければならないと思っています。

犠牲者を悼むとともに、これまでの平和に感謝し、これからの平和を築いていくために、祈りを捧げました」

今回の真珠湾訪問は、公式なものではなく、あくまで私的な訪問であるという。これが首相の訪問を後押しするかといえば、それはわからない。しかしながらどのような形であれ、昭恵夫人が和解と平和を願う気持ちをもち、歴史的な一歩を踏んだことに変わりはない。

昭恵夫人がこの地を訪れたのは、午前7時55分。まさに、真珠湾攻撃が実施されたのと同じ時間だ。折しも同日、ブラジルでは安倍首相がリオ五輪の閉会式に出席し、世界に向けて東京五輪のPRを行う。昭恵夫人の祈りは、世界に届くだろうか。


 

 

 

 


みなしご日本憲法 自分を産んだママはだれ?(A級戦犯の子孫安倍晋三 押しつけ憲法を吹聴し憎き平和憲法の破壊を狙う) 

2016-08-17 | Weblog

バイデン副大統領「日本国憲法、米が書いた」 

毎日新聞 2016/8/16

バイデン米副大統領は15日、東部ペンシルベニア州スクラントンで民主党大統領候補のヒラリー・クリントン前国務長官(68)の応援演説をし、「私たちが(日本を)核武装させないための日本国憲法を書いた」と語った。

共和党大統領候補の実業家、ドナルド・トランプ氏(70)を批判する中での発言だが、米政府高官が、日本国憲法を「(米国が)起草した」と明言するのは極めて異例だ。

バイデン氏はトランプ氏を「事実から学ぼうとしていない」と批判した上で、日本国憲法の話題に触れた。トランプ氏が今春、日本や韓国の核武装を容認する発言をしたことを念頭に置いたとみられ、「(トランプ氏は)学校で習わなかったのだろうか? 彼に(大統領として)核兵器発射コードを知る資格はない」とも非難し、会場は笑いに包まれた

バイデン氏は今年6月、米公共テレビ(PBS)のインタビューで、中国の習近平国家主席に対して北朝鮮の核開発阻止で協力を求める中で、「日本は事実上、一夜で核兵器を製造する能力がある」と伝えたことを明らかにしている。

参考: 8/16付英紙「バイデン米副大統領の応援演説」記事から抜粋、

Donald Trump can’t be trusted with America's nuclear codes;He also said that South Korea and Japan should obtain nuclear weapons so they could solve their own problems without relying on US aid. "Does he not realise we wrote the Japanese constitution so they could not own a nuclear weapon? Where was he in school?" Mr Biden asked. "Someone who lacks this judgement cannot be trusted." 

トランプは核兵器を使用するための暗号を知る権利はない;彼(トランプ)はまた、韓国や日本は、我々(米国)の助けをかりずに自分たちで問題を解決するために、核武装すべきといった。”核武装を禁止した日本国憲法を我々が書いたことを、彼は理解していないようだ? 学校で習わなかったのか?” ”彼は判断力が欠如しており信用できない”http://www.independent.co.uk/news/world/americas/joe-biden-donald-trump-not-trusted-nuclear-codes-terrorism-dictators-saddam-hussein-vladimir-putin-a7192546.html



米副大統領の憲法発言に日本大使館がコメント

アメリカのバイデン副大統領が「日本の憲法はわれわれが書いた」と発言したことをめぐって、ワシントンの日本大使館は「現行憲法は帝国議会で十分に審議され、有効に議決されたものだが、占領軍の強い影響のもと制定されたものだと考えている」というコメントを出しました。

アメリカのバイデン副大統領は15日、大統領選挙で共和党のトランプ候補が先に、日本などの核兵器保有を容認する考えを示したことについて、「核保有国にはなれないという日本の憲法は、われわれが書いたものだということを理解していないのか」と述べ、批判しました。日本の憲法についてアメリカ政府の高官が公に「われわれが書いた」と発言するのは異例です。

これについて、ワシントンの日本大使館は16日、NHKの取材に対してコメントを出し、「大統領選挙における発言の逐一に見解を述べるのは適切でなく、差し控えたい」と述べました。ただ、「現行憲法は帝国議会で最終的には十分に審議され、有効に議決されたものだが、占領軍当局の強い影響のもと制定されたものだと考えている」と説明しました。

日本政府は「憲法9条は、一切の核兵器の保有や使用をおよそ禁止しているわけではない」とする一方、非核三原則やNPT=核拡散防止条約などにより、「一切の核兵器を保有し得ない」としています。

専門家「発言正しいとは言いがたい」

憲法の制定過程に詳しい上智大学の高見勝利名誉教授は、バイデン副大統領は憲法9条を念頭に置いて発言したと考えられるとしたうえで、「憲法9条は、GHQのマッカーサー最高司令官と当時の幣原総理大臣との会談をもとに原案ができたと考えられ、バイデン副大統領の発言は正しいとは言いがたい」と話しています。また、憲法の制定過程については、「当時、戦後の占領下でGHQの強い影響はあっただろうが、GHQが示した案に対して日本政府が検討し、国会の議決を経て憲法は公布されている。『生存権』の条文を新たに盛り込むなど日本側が修正を加えていて『アメリカが書いた』という発言は言い過ぎだ」と指摘しています. NHK 2016/8/16


憲法9条、発案者をめぐって諸説

第二次大戦後の1946年に交付された日本国憲法は、第9条で「戦力の不保持」を定めている。朝日新聞2014年5月2日朝刊によると、日本国憲法は連合国軍総司令部(GHQ)の最高司令官マッカーサー元帥から指示を受けた日本政府が、GHQと折衝を重ねて草案を作成。議会が修正を加えた。

憲法9条に関しては誰の発案であったのか、議論されるところではあるが、現憲法上では「第44代内閣総理大臣幣原喜重郎の発言を受けてマッカーサーが骨子を決定したとする説」が通説とされている。

憲法9条、「幣原の発案」を裏付ける史料の発見

「9条は幣原首相が提案」マッカーサー、書簡に明記 「押しつけ憲法」否定の新史料

東京新聞 2016/8/12

日本国憲法の成立過程で、戦争の放棄をうたった九条は、幣原喜重郎(しではらきじゅうろう)首相(当時、以下同じ)が連合国軍総司令部(GHQ)側に提案したという学説を補強する新たな史料を堀尾輝久・東大名誉教授が見つけた。史料が事実なら、一部の改憲勢力が主張する「今の憲法は戦勝国の押しつけ」との根拠は弱まる。今秋から各党による憲法論議が始まった場合、制定過程が議論される可能性がある。 

九条は、一九四六年一月二十四日に幣原首相とマッカーサーGHQ最高司令官が会談した結果生まれたとされるが、どちらが提案したかは両説がある。マッカーサーは米上院などで幣原首相の発案と証言しているが、「信用できない」とする識者もいる。

堀尾氏は五七年に岸内閣の下で議論が始まった憲法調査会(*2)の高柳賢三会長が、憲法の成立過程を調査するため五八年に渡米し、マッカーサーと書簡(*1)を交わした事実に着目。

高柳は「『九条は、幣原首相の先見の明と英知とステーツマンシップ(政治家の資質)を表徴する不朽の記念塔』といったマ元帥の言葉は正しい」と論文に書き残しており、幣原の発案と結論づけたとみられている。だが、書簡に具体的に何が書かれているかは知られていなかった。

堀尾氏は国会図書館収蔵の憲法調査会関係資料を探索。

今年一月に見つけた英文の書簡と調査会による和訳によると、高柳は五八年十二月十日付で、マッカーサーに宛てて「幣原首相は、新憲法起草の際に戦争と武力の保持を禁止する条文をいれるように提案しましたか。それとも貴下が憲法に入れるよう勧告されたのか」と手紙を送った。

マッカーサーから十五日付で返信があり、「戦争を禁止する条項を憲法に入れるようにという提案は、幣原首相が行ったのです」と明記。「提案に驚きましたが、わたくしも心から賛成であると言うと、首相は、明らかに安どの表情を示され、わたくしを感動させました」と結んでいる。

九条一項の戦争放棄は諸外国の憲法にもみられる。しかし、二項の戦力不保持と交戦権の否認は世界に類を見ない斬新な規定として評価されてきた。堀尾氏が見つけたマッカーサーから高柳に宛てた別の手紙では「本条は(中略)世界に対して精神的な指導力を与えようと意図したもの」とあり、堀尾氏は二項も含めて幣原の発案と推測する。

改憲を目指す安倍晋三首相は「(今の憲法は)極めて短期間にGHQによって作られた」などと強調してきた。堀尾氏は「この書簡で、幣原発案を否定する理由はなくなった」と話す。

写真

 

*発見史料 1. マッカサーから高柳に宛てた書簡

マッカサー元帥が内閣下の憲法調査会会長、高柳賢三に宛てたもので、”憲法9条は幣原の発案か"との問いに、マッカサーは”his proposal(彼の発案)”と回答している。

 

Dear Dr. Takayanagi:

I have just received your note of December 10th and hasten to answer its query:

“Did the Prime Minister Shidehara propose that when the new constitution was to be drafted, it contain an article renouncing war and the maintenance of an armed force? Or did he merely present such idea to you as a matter of Japan’s future policy and you suggest to the Japanese Government to put that idea into the new Constitution?”

The suggestion to put an article in the Constitution outlawing war was made by Prime Minister Shidehara. He said that he sought the interview with me with reference to the Constitution with some trepidation as he was uncertain as to what my attitude would be on such a clause in the Constitution because of my training as a professional soldier. I was astonished at his proposal but when I assured him of my complete support, his relief was very evident and very moving.

With holiday greetings of the season.

Most sincerely,
DOUGLAS MacARTHUR

高柳様

12月10日付のあなたの手紙を受け取りました。

「幣原首相が、戦争と武力保持を放棄する条項を新憲法の草案に盛り込むことを提案したのですか。それとも、幣原首相はただ単に日本の将来の方針としてあなたにそのような考えを述べただけで、あなたが政府にそれを盛り込むことを提案したのですか。」 という問いに、取り急ぎお答えします。

戦争を法的に禁止する条項を憲法に入れるようにという提案は、幣原総理が行ったのです。そのような条項を軍人である私がどのように受け止めるかわからなかったので、不安にかられながらも憲法に関する私との会談を求めたのだと、幣原首相は言っていました。私は、幣原首相の提案に大変驚きましたが、私もまったく心から賛成であると言うと、幣原首相は明らかに安堵の表情を浮かべ、心打たれました。

引用元:http://soredemojimin.stopgenpatsu.com/macarthur-kara-no-letter/

 

*発見史料 2. 岸内閣憲法調査会の肉声データー

2016/2/25、テレビ朝日の報道ステーションは、ジャーナリスト鈴木昭典氏が発見し「岸内閣の憲法調査会」の音声データーを公開した。当時の首相岸信介は改憲を目指し検討を開始。改憲派は非武装中立では現実に対処できないと主張し憲法の全面的改正を突き進むが、国民から安保の総スカンクを食らって岸はあえなく退陣。代わって池田政権は所得倍増を掲げ、時代が安保から経済に移る。憲法調査会は結論を出さずに幕を閉じた。以来半世紀が経って、岸の孫安倍晋三が安保法を成立させた。そして更に、日本憲法は「米国の押しつけ憲法」だと叫びながら、祖父の悲願だった平和憲法9条の破壊にむけて狂ったように突き進んでいる。

ビデオ「岸内閣の憲法調査会」(個人ブログ)

http://blog.livedoor.jp/gataroclone/archives/46933402.html

ビデオの肉声の文字おこし(個人ブログ)

https://shanti-phula.net/ja/social/blog/?p=107094

 


網タイツの防衛相稲田 急きょ、ジブチに飛ぶ(省内も、右派も、”あのアマ 参拝怖くて逃げたなぁ”と非難ごうごう)

2016-08-14 | Weblog

急きょ海外へ 稲田防衛相「靖国参拝」見送りの姑息な口実

日刊ゲンダイ 2016/8/14

稲田朋美防衛大臣が、8月15日の「靖国参拝」を見送るために、13~16日の日程で急きょ、ジブチを訪問することが分かった。

稲田防衛相はこれまで、行革担当相だった2014年も、自民党政調会長だった15年も「A級戦犯」が合祀されている靖国神社を参拝している。

しかし現職の防衛大臣が終戦記念日に靖国神社を参拝したら、中国や韓国が強く反発するのは確実。中国政府は稲田大臣の名前を挙げて、閣僚が靖国神社を参拝しないように申し入れていた。一方、靖国参拝を見送ったら、支持層である“右派勢力”から批判を浴びるのは必至。

参拝すべきか中止すべきか迷いに迷い、最後まで判断がつかず結局、海外訪問を選んだ格好だ。

稲田氏は12日午後、訪問先の航空自衛隊小松基地で、記者団から15日に参拝するかどうか聞かれると「心の問題だ」と声を詰まらせて答えている。

ジブチ訪問は海賊対処活動をしている自衛隊を激励するためとしているが、防衛省内は「寝耳に水だ」と驚いている。


網タイツの防衛相稲田と閣僚仲間10人 結託し税金ドロボーを働く(手口は白紙領収書の偽造)

2016-08-14 | Weblog

 

稲田朋美防衛相に領収書偽造が発覚、なんと520万円分! マスコミはこの重大疑惑を報じることができるのか

2016/8/14
 
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稲田朋美オフィシャルサイトより

安倍首相肝いりの重要閣僚・稲田朋美防衛相に、政治資金を巡る“巨額不正疑惑”が発覚した。本日14日発売のしんぶん赤旗日曜日版*1が「稲田防衛相 3年間で約520万疑惑領収書 自民パー券代“金額は自分たちが記入”『白紙』で領収認める」と題してスクープしたものだ。

記事によれば、稲田氏の政治資金管理団体「ともみ組」の領収書のなかに金額、宛名、年月日が同じ筆跡の領収書が大量に存在することが発覚した。これは、自民党議員らの政治資金パーティの会費支払いの証明として稲田氏側が受け取ったものだが、実は、この領収書は「ともみ組」の収支報告書の担当者が記入したものだったことが筆跡鑑定の結果判明。稲田氏の事務所は赤旗の取材に対し、金額の入っていない「白紙」の領収書に稲田氏側が書き入れていたことを認めた。赤旗の調べでは、この白紙領収書は2012〜14年の3年間で計260枚、約520万円にのぼるという。

これは、安倍政権を揺るがしかねない大問題だ。

そもそも、白紙の領収書をもらって自分たちで勝手に金額を記入する行為は、刑法の文書偽造罪にあたる可能性が高い。領収書は法律上、弁済を示す公的書類で、これを記載することができるのは発行した側だけだからだ。さらに、仮に稲田氏側が自分たちで実際の金額よりも水増しして記載していれば、これは刑法の詐欺罪や横領罪に該当する。実際、過去には政治団体や行政職員が白紙領収書を使った経費水増しや横領で逮捕されている。

稲田氏は、舛添要一前都知事が辞任した際、次期都知事について「政治に対する信頼をしっかりと回復できる人がいい」などと述べていた。

しかし、今回発覚した稲田氏の不正疑惑は、政治と金の問題で血祭りにあげられ、辞職した舛添氏よりもよほど深刻だろう。舛添前都知事は税金を湯水のように使って贅沢暮らしをし、その公私混同ぶりが問題視されたものの、さすがに私文書偽造なんて話は出てこなかった。

一方、今回赤旗がスクープした稲田氏の“白紙領収書疑惑”は、前述のとおり政治資金の横領や裏金作りを誘発するような問題だ。実際に文書偽造及び詐欺罪、横領罪などに該当する行為があれば法的に一発アウトだし、稲田氏側は赤旗に対して「間違った金額を書いているわけではない」と強弁しているが、しかし、こうした白紙領収書を受け取り、非課税の政治資金で不透明なカネの流れをつくること自体、国民への裏切り行為だ。辞任に値するだろう。

もともと稲田氏は、新人時代からBMWを乗り回していたという逸話があるほど、かなりの“金満政治家”だ。都内を中心に約10件の不動産を持っており、たとえば「FLASH」(光文社)15年3月31日号によれば、東京都港区高輪に3億7800万円の土地をはじめとして、夫で弁護士の龍示氏と共同で巨額の土地や分譲マンションを所有している(13年資産公開当時)。2人の所有不動産評価額を合わせるとゆうに8億円を超える額だ。さらには株にも手を出しており、資産運用に余念がないようである。

また、身につけているバッグや洋服は数十万円もするブランド品。また、稲田氏といえば網タイツ姿がトレードマークになっているが、愛用するタイツは、イッセイミヤケ出身のデザイナーが手がける「ソマルタ」というブランドのもの。タイツ一足につき7000円から1万円超という高級品である。

そんな贅沢三昧の稲田氏だが、“白紙領収書”がそうであるように、いざ政治資金というお金になると、かなりセコイ挙動を見せる。

日刊ゲンダイが報じた「ともみ組」の“少額領収書”には、缶ビールやカップ麺、アイス、菓子パンなどの代金を「事務所費」として経費計上されていた。完全に公私混同だが、そのケチくささには舛添氏もビックリだろう。しかも、政治資金を巡っては、稲田氏が地元献金企業などに「ともみの酒」と銘打った日本酒を贈呈するという“買収疑惑”も報じられたことがある。

しかも、この疑惑を報道した「週刊新潮」(新潮社)に対し、夫・龍示氏が記事掲載阻止のために訴訟をちらつかせて恫喝し、さらに記事が公開されるとスラップ裁判まで起こした(4月の地裁判決では稲田氏側の全面敗訴)。

そして今回の大量“白紙領収書”発覚である。繰り返すが、これは国民の目を欺く悪質な詐欺的行為だ。政治資金規正法には、その目的としてこうある。

〈この法律は(中略)政治活動の公明と公正を確保し、民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする〉
〈政治団体は、その責任を自覚し、その政治資金の収受に当たっては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない〉

ようするに稲田氏は、自分は巨額の資産をたんまり抱え込んでいるくせに、政治資金という国民のためのお金を無駄遣いして、メディアによるチェックまで封殺しにかかり、さらに政治資金規正法の理念である〈民主主義の健全な発達〉のための資金収受の透明性までガン無視しているのだ。これを“民主主義の敵”と呼ばずしてなんと言えばよいのか。

ちなみに、今回の赤旗報道では、白紙領収書を受け取った稲田氏だけでなく、発行した自民党政治家の名前も報じられている。その中には、加藤勝信一億総活躍担当相、丸川珠代五輪担当相、そして高市早苗総務相など、発足した安倍内閣の閣僚が10人も含まれていた。ようするに、自民党は組織ぐるみで白紙領収書を発行、国民の目を欺き続けてきたのだ

これらの政治家とともに、稲田氏の疑惑を徹底追及していくべきだろう。

しかし、問題はこの赤旗報道に、はたしてマスコミが続くか、である。ずっと指摘してきたことだが、辞任に追い込まれた舛添知事と同じような「政治と金」の疑惑が発覚しても、安倍政権中枢の政治家については一切報道しない、という状況が続いてきた。この重大疑惑がもし同じように無視されたとしたら、もはやこの国は民主主義国家ではない。

 


*1

こちら赤旗日曜版@nitiyoutwitt

稲田朋美防衛相に政治資金の重大疑惑。自民議員らのパーティーで白紙領収書受け取る。3年で約260枚520万円分。赤旗日曜版の取材に稲田事務所は「金額はこちらで記入」と説明。白紙領収書発行の疑いがある安倍政権閣僚は10人【8/14号】

 
 
 
 
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世界仰天 日本の防衛相はネット右翼のアイドルだった(安倍にスカウトされた網タイツの女、稲田朋美

世界仰天 日本の防衛相はネット右翼のアイドルだった(安倍にスカウトされた網タイツの女、稲田朋美)

2016-08-05 | Weblog

第三次安倍改造内閣で防衛相に任命された稲田朋美。国内マスコミとは対照的に世界のメディアはその危険性を盛んに報道している。

英タイムズ紙は3日付電子版で、「戦中日本の残虐行為否定論者が防衛トップに」との見出しで、冒頭から稲田氏について「第二次世界大戦中の日本が数々の残虐行為を犯したという認識に異議を唱え、日本の核武装をも検討すべきとする女性」と紹介した。

また英ロイター通信も3日付の「日本の首相は経済回復を誓いながらも、新たな内閣にタカ派防衛相を迎える」という記事で、稲田氏の写真を冒頭に掲載し、大きく取り上げている。

「新たに防衛相に就任する稲田朋美(前・自民党政調会長)は、日本の戦後や平和憲法、日本の保守派が第二次世界大戦の屈辱的な敗戦の象徴として捉えている平和憲法や戦後を改めるという安倍首相の目標をかねてより共有している」

さらに米AP通信は3日付で「日本が戦争の過去を軽視する防衛トップを据える」という記事を配信し、ワシントンポスト紙などがこれを報じている。記事のなかでは稲田氏を「戦中日本の行いを軽視し、極右思想で知られる女性」「国防についての経験はほとんどないが、安倍首相のお気に入りの一人」と紹介。そして「慰安婦問題など戦中日本の残虐行為の数々を擁護し、連合国による軍事裁判を見直す党の委員会を牽引してきた」と書いたうえで、在特会などヘイト勢力との“蜜月”についてもこのように伝える。

「稲田氏の悪名高い反韓団体とのつながりについて、今年、裁判所は稲田氏の主張を退けて事実と認めた。また2014年には、稲田氏が2011年にネオナチ団体トップとのツーショット写真を納めていたと見られることも表沙汰となった」

加えて、今回の内閣改造が安倍政権の改憲への助走であることにも触れ、なかでも稲田氏は日本の平和憲法を強く敵視してきたことをコンパクトにまとめている。

 

ゴスロリのコスプレを披露してオタク層にアピールするネトウヨのアイドル稲田姫

 

稲田防衛相、侵略戦争だったかどうか明言せず 歴史認識問われ

稲田朋美防衛相は4日、就任後初めて防衛省で会見した。過去の日本の戦争に対する認識を問われた稲田防衛相は、「侵略か侵略でないかは評価の問題であって一概には言えない」などと述べ、明確な答えを避けた。

稲田防衛相は、日中戦争から第2次世界大戦にかけての日本の戦争が侵略戦争だったか、自衛戦争だったか、アジア解放戦争だったかと問われ、「この場で私の個人的な見解を述べる立場にない。私は、昨年総理が出した戦後70年談話が政府の見解だと思っている」と語った。

その後も、侵略戦争との認識かと繰り返し問われたが、「それは事実ではなく、評価の問題。それぞれの人が、それぞれの認識を持つだろう」と述べた。その上で「歴史認識で最も重要なのは客観的事実であって、この場で私の個人的な見解を述べる立場にない」と語った。

これまで歴史問題で強硬な発言を繰り返してきた同氏の防衛相就任に対し、中国や韓国からは警戒する見方が出ている。

稲田防衛相は「東アジアと太平洋地域の安定ためには、中国、韓国との関係を築いていくことが重要。いつでも交流、話し合いの場を自分から設けていきたい。議論することで、私に対する誤解も払しょくされていくと思う」と語った。

靖国神社に参拝するかどうかについては「心の問題であり、行くとか行かないとか、行くべきとか行かないべきとか、言うべきではないと思っている」と、従来の見解を繰り返した。稲田氏は、行政改革担当相時代を含めて毎年参拝している。


稲田朋美とは


 稲田氏は1981年に早稲田大学を卒業後、司法試験に合格し1985年に弁護士登録。

「党内きっての保守系議員」である稲田氏は、「私は産経新聞がなかったらたぶん政治家になっていなかった」と2015年11月に産経新聞主催の講演会で話している*1。 

  *1 http://www.sankei.com/premium/news/151127/prm1511270006-n2.html

南京事件で戦犯として処罰された少尉の遺族が、朝日新聞や毎日新聞などを相手取って損害賠償などを求めた名誉毀損訴訟「百人斬り裁判」(原告敗訴)で原告側代理人として参加したことが政界入りのきっかけになったという。

初当選は2005年の「郵政選挙」。郵政民営化法案に反対した松宮勲衆議院議員への「刺客」候補として福井1区に転居して自民党公認で立候補した。解散直前に自民党議員に対して行った講演がきっかけで安倍晋三首相がスカウトしたという。当時、「私は落下傘ではありません、福井のおっかさんです」と街頭で「地元」アピールする姿が頻繁にテレビで取り上げられた。現在4期目。

2012年の第2次安倍晋三内閣発足とともに行政改革担当相に就任、2014年から自民党政調会長を務めている。

稲田氏の資金管理団体に「在日特権を許さない市民の会」(在特会)幹部とともに活動する8人が寄付したことについて「在特会との蜜月」と週刊誌が指摘。慰謝料などを求めて週刊誌を相手に提訴したが、判決では、この内容は真実で公益性もあると認定された。朝日新聞デジタル*2などが報じている。

  *2 http://www.asahi.com/articles/ASJ2Y4FDHJ2YPTIL00P.html

著書「私は日本を守りたい: 家族、ふるさと、わが祖国」で、選択的夫婦別姓に対しては「家族崩壊を招く」として反対している。


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