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戦後最低の記録, 約四割が棄権したという事実

2012-12-19 | Weblog
 
 
 
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「やっぱり、という感じ。争点も政党もたくさんあって投票先に迷った人が多かったのでは。3・11後の選挙で、自分の意思を示さないのはもったいない気もする」 (愛知県豊川市、アルバイト松下智治さん、65歳)

 十六日投開票の衆院選では、各党の獲得議席のほかに、もう一つの数字が注目された。「3・11」後の国づくりに向けて、有権者の意思を示す投票率。フタを開けると、戦後最低の記録となった。約四割が棄権したという事実を政治の側はどう受け止めるのか。 

 「なかなか自分にぴったりくる政党がなくてまだ、ぐらぐらしている」と、投票日前に「有権者発」に声を寄せてくれた松下さんは、迷った末に投票したという。十七日に電話取材したところ、こう答えてくれた。

 今回の衆院選の投票率は59・32%。民主党が政権交代を果たした二〇〇九年(69・28%)の前回選挙から10ポイント近く落ち込んだばかりか、戦後最低だった一九九六年の59・65%を下回った。

 松下さんと同じ思いで投票日を迎えた有権者は多いことだろう。棄権の是非論はあるにせよ、各党が民意の十分な受け皿になりえなかったことは確かだ。

 低投票率に関し、政党乱立が大きな理由だったとする党は多い。

 自民党の安倍晋三総裁は記者会見で「投票率は大変残念だった。多くの党が出る中で、議論は深まらない」と指摘。落選した民主党の藤村修官房長官も「関心が決して薄いというのとは違い、たくさんの政党がいたということも、要因にあったかもしれない」とした。

 衆院に返り咲いた公明党の上田勇氏は「有権者が何が何だかよく分からず、しらけていたのを選挙戦を通じて感じた」と語った。

 政治不信も理由に挙げるのは、社民党の福島瑞穂党首。「投票先が分からないということと、投票しても政治は良くならないという政治不信の両方があった」と強調する。

 国民新党の浜田和幸代表代行は「原因は単純。これはという候補者が、自分たちの選挙区に見当たらなかったということだ」と断言。共産党広報部は「政治に対する不信感で投票に行かなかったのではないと思う。支持を広げようと頑張ったが、まだまだ道半ばの結果ではないか」と回答した。

 みんなの党の渡辺喜美代表は「民主党の崩壊から政党の多党化、離合集散が始まり、ここに国民の愛想が尽きた」と批判。「投票率が高くなければ政治は変わらない」と述べた。

 戦後最低の投票率が政治に突きつけた意味は重い。この現実にどの党が真正面から向き合い、真の受け皿になろうとするのか。見過ごしにしていい問題ではない。


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