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自民党圧勝、動きだすタカ派政策

2012-12-17 | Weblog

自民党は三年前の衆院選で民主党に敗れた雪辱を果たし、政権復帰した。連立政権を組む公明党と合わせ、衆院の三分の二を占める議席を得たことで、少数与党の参院で法案を否決されても、衆院の再可決で成立させられる。ただ、安倍晋三総裁のタカ派色の強い安全保障政策には公明党が反発し、政権運営に影を落とす。 

 安倍氏は十六日深夜、自民党本部の開票センターでテレビ番組のインタビューに応じ「自民党への信頼が百パーセント戻ってきたわけではない。おごることなく、謙虚に進みたい」と勝利宣言した。十七日から公明党と連立政権に向けた政策協議を始めることを明らかにした。

 「謙虚」という言葉とは裏腹に、開票前の十六日午後には、すでに自民党の石破茂幹事長と公明党の井上義久幹事長が都内で会談し、連立政権を発足させる方針を確認。夜になって開票結果が伝えられると、早くも「麻生太郎副総理」「菅義偉官房長官」などの人事情報が飛び交った。

 浮足立つほどの「完勝」は、自民党への積極的な期待というよりはむしろ、民主党が三年前の衆院選マニフェストで掲げた重要政策を実行できなかったことに対する不信感の「受け皿」になったという消極的な側面が強い。

 それでも政権復帰によって、安倍氏が力説してきた”改憲による「国防軍」の保持”や”憲法解釈で禁じられた集団的自衛権の行使容認”のほか、”原発維持に傾くエネルギー政策”が動きだすことになる。

 自民党は公約で原発について「(全原発の)再稼働は三年以内に結論を出す。十年以内に最適な電源構成を確立する」と判断を先送りする方針を示した。だが、安倍氏は選挙中、他党の「脱原発」「卒原発」政策を「無責任だ」と批判。「二〇三〇年代の原発稼働ゼロ」を目指すとした民主党政権の政策が後退するのは間違いない。

 再稼働の可否も専門的な判断は原子力規制委員会に委ねる方針だが、経済界の意向を考慮し再稼働が加速する可能性がある。

 一方、公明党も小選挙区の候補者全員が当選するなど議席を伸ばし、連立政権に復帰する。ただ、自民党内でも突出した安倍氏のタカ派色の強い安全保障政策には不快感を抱く。山口那津男代表は「自民党が主張する憲法九条改正に、われわれはくみしない」と繰り返し、十六日夜も記者団に「基本的な考え方は変わらない」と強調した。

 安倍氏は首相就任後、直ちに緊急経済対策に着手するなど、当面は景気対策を優先させ、公明党とは波風を立てないように配慮する考えだ。改憲や集団的自衛権行使の容認をめぐる本格的な取り組みも来年夏の参院選後となる見通しだが、両党の安保政策の違いは残る。

 また、政権の枠組みをどうするかという課題もある。自公両党で衆院の三分の二の議席を得たことで、参院で否決された法案も衆院の再可決で成立できるが、野党の反発を考えると、できれば再可決は避けたい。

 安定した政権運営のため、自民党は公明党以外の党と政策課題ごとに協力する「部分連合」を模索する方針だ。石破氏は十六日、改憲に積極的な日本維新の会について「安全保障面で話ができるのではないか」と連携に前向きな考えを示したが、維新は参院で三議席しかなく、連立しても政権の安定にはつながらない。TOKYO

 

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憲法改正規定緩和へ「維新と協力」自民・安倍総裁(ASAHI)

自民党の安倍晋三総裁は16日夜のテレビ各局のインタビューで、衆院選で公約した憲法改正について「まず96条の(衆参両院で3分の2を必要とする)改正規定から変えようと考えている。3分の1をちょっと超える国会議員が反対すれば国民が指一本触れられないのはおかしい」と語った。

 安倍氏は、この方針について、ともに改憲を唱える日本維新の会が「理解していただいているのではないか。大きな方向で当然協力していきたい」と強調。ただ、「参院では3分の2にほど遠い。勢力の構築をどうしていくかよく考えないといけない」とも述べた。

 9条改正で自衛隊を軍隊と認め国防軍とすることに関しては「海外には自衛隊は軍だと説明している。この矛盾をなくすのは当然の義務だ」と述べた

 

公明代表は改憲には慎重姿勢 (TV-ASAHI,ANN)

公明党・山口代表は「自民との連立は安倍総裁から呼びかけあれば応じる。そのうえで、具体的な協議が始まる。憲法の96条、手続き規定の改定について、どういう意味持つか国民に十分、理解されていない。

自民は9条改正を視野にしているが、及ぼす影響も考慮し、慎重な議論が必要」と語っている。


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