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[世論との乖離] 原発容認自民党敵矢の勝利、多党乱立と低投票率が招いた棚ぼた結果

2012-12-18 | Weblog

 戦後最低の投票率となった十六日の衆院選は、自民党が定数(四八〇)の六割を超える二百九十四議席を確保する圧勝で終わった。

しかし小選挙区で自民党候補の名を書いたのは全有権者の約四分の一、比例代表に至っては15・99%だった。

自民党の勝利は、必ずしも民意を反映したものではない。多党乱立と低投票率が自民党を利した結果であるということが、はっきり分かる。

 衆院選の投票率は小選挙区で59・32%。戦後最低を記録した。

 一方、自民党の得票率は小選挙区が43・01%。比例代表は27・62%。ただし、これは投票した人の中での比率だ。

 全有権者に占める比率は24・67%、比例代表は15・99%となる。選挙区でも比例代表でも自民党候補や党名を書いた有権者は「少数派」だ。

 ところが、自民党が獲得した議席は小選挙区で定数の79%にあたる二百三十七議席、比例代表は、同31・67%の五十七議席だった。

 現在の衆院選挙制度は、小選挙区制と比例代表の並立制を採用している。民意を集約して二大政党制に導く小選挙区制で自民党は、有権者全体に占める得票率の三倍以上の議席を獲得。信じられないような世論との乖離(かいり)が生じた。

 民主党は、小選挙区で自民党の約半分にあたる22・81%の得票だったが小選挙区での獲得議席は自民党の一割強の二十七にとどまった。ここで両党が明暗を分けた。

 このようなずれは、十二党が乱立した今回の衆院選で、多くの候補が票を食い合ったことが最大の要因。特に、最大の争点の一つだった原発政策で「原発ゼロ」を公約する政党が小選挙区で競合し、結果として原発を容認する自民党を利した形だ。TOKYO

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衆議院議員選挙に導入された小選挙区比例代表並立制
日本の衆議院議員選挙では、小選挙区制と比例代表制を組み合わせた小選挙区比例代表並立制を導入しています。この制度が導入されたのは、1994年からです。それまでは、中選挙区制という、現在よりもやや広い選挙区から複数の当選者が出る選挙制度をとっていました。しかし立候補者は、広い選挙区で選挙活動を行わねばならず、お金がかかりすぎる問題点がありました。
小選挙区制と比例代表制の利点を合わせた制度
選挙区の狭い小選挙区制ならば、候補者は選挙区内をくまなく遊説して、有権者に対して自分の政治主張を訴えることができま
す。選挙活動費も、比較的低く抑えることができます。また、二大政党制をうながし、政権交代が可能な制度であるとも言われます。
 
しかし、死票が多く出るという欠点があり、小政党には不利だともいわれます。
 
一方、比例代表制は、死票が比較的少なく、各党の得票率に応じて議席が配分されるため、小政党にも不利になりにくい制度です。ただ、比例代表制は政党の政策が主となり、候補者個人の政策や人柄が見えにくいという欠点があります。
 
それぞれの制度の長所をいかし、短所を補いあう制度が、小選挙区比例代表並立制なのです。
※派閥(はばつ) 大きな政党になると、微妙な政治理念の違いから、党の中にグループができることがあります。これを派閥といいます。 shizuoka pref.

 

小選挙区の宿命 自民得票4割、議席8割

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 第四十六回衆院選は十七日午前、開票作業が終了し、小選挙区(定数三〇〇)と比例代表(定数一八〇)の計四百八十議席が確定した。自民党の小選挙区全体の得票率は43%程度だったにもかかわらず、獲得議席は二百三十七と全議席の79%を占めた。また、総務省は小選挙区の確定投票率は59・32%だったと発表。衆院選の戦後最低記録で、前回二〇〇九年(69・28%)から約10ポイント下落した。

 衆院選の投票率は現行の小選挙区比例代表並立制が導入された一九九六年の59・65%が戦後最低だったが、それを下回った。東日本大震災後、初めての大型国政選挙だったにもかかわらず、乱立した十二政党が原発政策などで主張の違いを明確に示せず民意の受け皿になりきれなかった。

 戦後の投票率は60%台後半から70%台後半で推移。九六年の現行制度導入後は三回続けて60%前後だった。二〇〇五年の郵政選挙と、民主党に政権交代した〇九年は60%台後半に盛り返したが、再び低下に転じた。

 各党の獲得議席は、三年ぶりに連立政権を組むことになる自民党が二百九十四議席、公明党が三十一議席。政権から転落する民主党は五十七議席で、九八年の結党以来、最低に落ち込んだ。

 自民党の比例代表の獲得議席は惨敗に終わった〇九年の五十五議席から二議席増えただけにとどまった。民意を反映する比例代表での議席獲得が伸び悩んだことは、自民党が有権者の積極的支持を得ていないことを物語っている。

 各党の比例代表の獲得議席は自民五十七のほか、日本維新の会四十、民主三十、公明党二十二、みんなの党十四、共産党八、日本未来の党七、社民党一、新党大地一。維新は獲得議席全体では第三党だが、比例代表では第二党となった。TOKYO


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