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卑劣な安倍、ネット上で反安保学生に不安を呼び起こす陽動作戦(「デモに参加したら就職できなくなる」と)

2015-07-30 | Weblog

全国的な反安保学生デモのうねりに恐れをなした安倍は、ネトウヨを総動員して、”デモ参加は就職に影響する”と盛んにツイッター投稿させて、学生を怖気づかせ、デモから遠ざける卑劣な陽動作戦にでている。日本が戦争できる国になったら就活どころの問題ではなくなる。学徒徴兵で命をかけての戦場行きだ。

デモに参加すると就職に不利?「人生詰む」飛び交う

朝日新聞7月30日

安保法案に反対の声を上げる学生団体が注目され、若者が国会前に足を運んでいる。しかし、ネット上では「デモに行けば就職できない」という声が飛び交う。本当に就職に不利になるのだろうか。

都内に住む女子大生(19)は、衆院特別委の強行採決直後の15日夜、初めて国会前のデモに参加した。

家を出る前、母と祖母に「デモに参加して就職できなくなった人も昔はいたのよ」と言われた。「行動しないと気持ちがおさまらない」と1人で出かけたが、「就職に響くって本当かな」という心配も、頭の片隅に残った。

衆院の安保審議が大詰めを迎えた14日以降、「就職や結婚に響く可能性」などという大学生のデモ参加をめぐるツイートが次々と投稿された。「デモに行くだけで、確実に人生詰みますよ」「就職に不利益が…」。16日にツイッターに投稿されたつぶやきは約3千回もリツイートされた。

「デモに行くなどの政治的表現の自由は、憲法が保障する権利の中でも価値が高いもの」と一橋大大学院の阪口正二郎教授(憲法学)は話す。しかし、誰を採用するかは「企業活動の自由」でもある。

「三菱樹脂事件」では、学生の思想を理由に企業が採用を拒否したことが争われた。1973年の最高裁判決は「特定の思想信条を有する者を雇うことを拒んでも、当然に違法とはできない」とした。しかし、学界から「憲法で保障される思想、信条の自由を考慮していない」と批判され、三菱樹脂社も結局学生を雇った。阪口教授は「企業が思想で採用を拒む自由は、時代を追って狭くなっている」と指摘する。

職業安定法が99年に改正され、企業が求職者の個人情報を集めるのは業務に必要な範囲に限られた。厚生労働省は思想信条などに関わる情報の収集を原則禁止する指針を出している。

雇用問題に詳しい成蹊大の原昌登教授(労働法)は「労働法学界では、職務内容や能力と関連がないにもかかわらず、思想信条を理由に採用拒否するような行為は公序良俗に反し不法行為になるという考えが多数派だ」と説明する。また、思想を理由に内定を取り消された場合は、労働基準法違反で無効になる。

思想信条による企業側の採用拒否について「あるべきではないが、あり得ないともいえない」と話すのは就活事情に詳しい千葉商科大専任講師の常見陽平さんだ。「社風によっては敬遠することもあるかもしれないし、不採用の理由は明かされないから分からない」

一方、企業は近年「社会問題への感度の高さを評価する傾向にある」という。「国会前に足を運ぶのは、デモでヘイトスピーチを叫ぶのとはわけが違う。むしろ肯定的に受け取る可能性は十分ある」と感じる。

実際に採用する側はどう感じるのか。

大手化学メーカーで採用を担当する幹部は「デモが就職に不利なんて、いつの時代の話ですか。学生がデモに参加したかなんて調べるヒマもリソースもありませんよ」と一刀両断。「うちの会社には学生運動出身の役員も何人もいますし、私もキャンパスの学長室で座り込みをしていて写真を撮られました。もう30年以上も前かなあ」と笑う。 


<安保法案>若者に広がる不安 反対6割

河北新聞7月28日

          安保法案をめぐる賛成、反対、その他の主な理由

「あまりにも憲法を軽視している」「米国との同盟を強化すべきだ」。集団的自衛権行使の解禁を柱とする安全保障関連法案が15日、衆院平和安全法制特別委員会で自民、公明両党の賛成により可決された。
 
河北新報社は東北の未来を担う10~30代の100人に緊急アンケートを行い、「国の在り方」を変える可能性を秘めた安保法案をどう見ているのか意識を探った。

◎東北の10~30代100人アンケート/「賛成」は2割

アンケートは東北6県の取材網を通じ14、15の両日実施。男性53人、女性47人から回答を得た。年代別は10代23人、20代43人、30代34人だった。
 
安保法案に「反対」は回答者の約6割に上り、与党単独での強行採決に批判的な声が多かった。「賛成」は約2割で、米国との同盟重視、中国や北朝鮮の潜在的な脅威を主な理由に挙げた。男女比でみると「反対」は女性の約7割、男性は6割弱。「賛成」は女性が約1割にとどまったのに対し、男性は約3割に上り、法案に対する女性の支持が男性より低かった。

「多くの学者が『違憲』と指摘する中、解釈の変更だけでごり押ししようとしている」と語るのは、いわき市の自営業小松浩二さん(35)。法案は国の根幹を揺るがし、国民の命に関わる問題なのに政府・与党は十分に議論を尽くしていないと感じるという。
 
盛岡市の会社員遠藤美穂さん(37)は「とても大事なことをこんなに急いで決める必要があるのか」と話し、郡山市の自営業久保田彩乃さん(30)も「法案を100時間審議したからいいという問題ではない」と不満を口にした。
 
「戦争ができる国になってしまう」という不安を口にする回答者も多かった。青森市のアルバイト佐々木千夏さん(24)は「安心して生活できる世の中の方がいい」と語り、米沢市のNPO法人職員堀仁美さん(26)も「不安を抱えて暮らすような状況を次世代に残したくない」と話した。
 
一方、賛成する回答者は、中国や北朝鮮による不安定な東アジア情勢への対応力強化を理由に挙げた。由利本荘市の会社員佐藤智典さん(33)は「日本の脅威に対する自衛力の向上につながる」と話し、石巻市の自営業男性(33)は「戦争反対を唱えることに力を注ぎ、丸腰でいるより抑止力を高めるべきだ」と力を込めた。
 
栗原市のNPO法人職員高橋由香さん(34)のように「法案の中身が分からない」などの理由で、「その他」を選んだ回答者も約2割いた。

安保法案もっと声を 女子学生の訴え、ネットで大反響

「今日は私、本当に腹が立ってここに来ました」。安全保障関連法案が衆院特別委員会で可決された15日夜、学生たちがJR大阪駅近くで行った緊急行動で、関西学院大学(西宮市)4年、寺田ともかさん(21)の訴えたスピーチが反響を呼んでいる。

インターネット上で拡散し、12日間で3万7千人が自分のフェイスブックにシェア(共有)した。一人の女子学生の声が世代を超え、多くの人の心を揺さぶっている。

寺田さんは大阪府出身。小学2年生のとき、米同時多発テロがあった。飛行機がビルに突っ込むテレビの映像に「アメリカの人がかわいそう」と思った。

だが、米国はアフガニスタンを報復攻撃し、その後はイラク戦争も始めた。正義を掲げた戦争で多くの子どもが犠牲になった。「正義というものが分からなくなった」

高校生のとき、平和学習で広島を訪問。被爆者のおばあさんがこう言った。「勉強はね、真実を見抜く目を養うためにするのです。戦時中、お国の言うことは正しいと思っていたが、真実ではなかった」。重い言葉だった。「自分の頭で考え、見極めなくちゃ」と思った。

今年5月、友人に誘われ、安保法案に反対する「シールズ(自由と民主主義のための学生緊急行動)関西」の結成に加わった。仲間と学習会を開き、理解を深めた。

7月15日。大阪へ向かう電車で、スピーチを考えた。理論的なことより、どこにでもいる人間の、当たり前の言葉で伝えよう。スマートフォンを握り、あふれる思いを一気に書き上げた。

寺田さんのスピーチ動画は今もネットで拡散を続ける。「沈黙している人たちに読んでほしい」など共感のコメントが多い。

一方で「これで好戦的な相手を抑止できるのか」などの反論も寄せられている。

法案は27日、参院審議入りした。寺田さんは反響の大きさに驚きつつ「今、自分にできることに最善を尽くすだけ。審議を注視し、これからも自分の頭で考え、自分の言葉で発信していきたい」と話す。  (神戸新聞7月28日)


 <安保法案>学生も声あげて!宮城で連携組織

参院本会議で審議が始まった安全保障関連法案に反対する宮城県内の大学生が、学生ネットワーク「SEALDsTOHOKU」を結成した。

8月9日に仙台市内で学生デモパレードを企画。「今の政治の動きをおかしいと思っている学生は一緒に声を上げよう」と参加を呼び掛けている。

メンバーは東北大や東北学院大、東北福祉大などの学生約20人。国会周辺で抗議活動を続ける関東の学生グループ「SEALDs」に賛同して、ソーシャルネットワークサービス(SNS)などを通じて知り合い、18日に発足した。

宮城県庁で27日に記者発表した東北大法学部2年の久道瑛美さん(19)と安達由紀さん(19)は、法案内容や与党の審議の進め方の問題点を強調。「法案は戦争に限りなく近づく内容。改憲せず憲法解釈を変えて法案を通そうとする安倍政権のやり方は民主主義の根幹を覆しかねない」と訴えた。

周囲には政治に無関心な学生が多いという。久道さんは「友達からどう見られているか、気にしながら活動している。それでも、普通の学生が政治に問題意識を持ち、おかしいことはおかしいと言える雰囲気をつくりたい」と語った。

パレードは東北の学生なら誰でも参加できる。目標は500人。ツィッターやフェイスブックで情報発信している。  (河北新報7月28日)

 


追悼 知の巨人、反戦の原点は過酷な戦争体験だった

2015-07-30 | Weblog

追悼“知の巨人”鶴見俊輔さん 殺人犯も恐れぬ意外な理由

評論家で哲学者の鶴見俊輔さんが7月20日、肺炎のため京都市内の病院で亡くなった。93歳だった。

鶴見さんは2004年に加藤周一さん、大江健三郎さんらとともに「九条の会」をつくり、戦争をしない国を求めて活動してきた。一方で、漫画や映画にも造詣が深く、多くの文化人と交流があった。

作家・評論家の黒川創さん(54)は、鶴見さんらが創刊した雑誌「思想の科学」に編集者として参加。鶴見さんの背中を見てきた。

「編集者というと、売れっ子作家の原稿が上がるのをじっと待つイメージがありますが、それとはぜんぜん違う。(思想の科学の)企画会議でいつもアイデアを出して圧倒していたのが、鶴見さんでした」

同誌に寄稿したこともあるのが、作家でエッセイストの落合恵子さん(70)。同じ時期に朝日新聞の書評委員をしていた。初対面のエピソードをこう懐かしむ。

「憲法学者の奥平康弘さんのご著書の書評を前に、専門ではないからとためらっていたら、『違う角度の見方ができるはず』と背中を押してくださった。好奇心が旺盛で少年みたいなところがありました」

映画評論家の佐藤忠男さん(84)は「つながりを大切にする方」と評す。初めて「思想の科学」に映画の評論を送ったときのことだ。

「単に採用、不採用とかではなく、励ましの言葉を十何枚もの便箋にしたためてあった。長い時間かけて書いてくださったんです」

フリーライターの永江朗さん(57)は、京都の自宅で子ども時代の話を聞いたことがある。印象深かったのは、日米開戦後、渡米していた鶴見さんが無政府主義者の容疑で勾留されたときのこと。殺人犯と同じ房になったという。

「『怖くなかったのか』と尋ねると、鶴見さんは『怖いわけがない。人を殺すくらい純粋でいい人なんだから』と笑うんです。そんなものの見方があるのかと感心しました」(永江さん)

過酷な戦争体験が反戦の原点となり、平和を訴え続けた。惜しむ声はやまない。

「今のこの時代に必要な方。その思想と姿勢を受け継ぎたい」と落合さん。黒川さんは言う。

「60代ぐらいから持病があり、遅かれ早かれそういうことになると覚悟はしていた。でも、そのときから30年以上も現役プレーヤーとして先頭に立ってくれた。ありきたりな言葉だけれど、長生きしてくれて本当にありがとう」  

※週刊朝日 2015年8月7日号

 


略歴

鶴見俊輔氏死去 万引き・退学…小学校卒でハーバード 行動派知識人

93歳で死去した鶴見俊輔さんは15歳で渡米。ハーバード大卒という経歴の一方で、万引きをしたり、不登校になったり、破天荒な少年時代を送っていました。帰国後はベトナム戦争に反対、憲法問題にも積極的に関わり、行動する知識人として歴史に名前を残しました。

「万引きしては換金」 *1

「母親は小遣いをくれなかった。万引きしては換金し、家の門の下に土を掘って埋め、必要なときに掘り出して使っていた」

1998年2月5日のインタビュー記事で、決して優等生ではなかった少年時代を振り返っています。

小学校は当時のエリート校、旧東京高師(現筑波大)付属小でした。しかし、成績が悪くて付属中に進めません。受験して東京府立高等学校尋常科に入りますが「朝起きると学校へ行けない」という状況に。2カ月でやめ、次に入学した東京府立第五中学校も二学期までしかもちませんでした。「これでぼくの日本での学歴は終わった」

国会議事堂の南通用門前に座り込みをし、機動隊員に排除される安保拒否百人委員会のメンバーで評論家の鶴見俊輔さん=1970年6月21日、東京・霞が関

 「16歳でハーバード入学」*2

15歳の時、将来を心配した親のすすめで、アメリカに留学します。アメリカではミドルセックスというハーバード大学へ進学する者が多い予備校へ入ります。「そこでは私がだれであるかを周りの人は知りませんし、私もまじめでした」。日本とは違う環境で勉強に励み、16歳でハーバード大学に入学します。

日米開戦、留置場で卒論 *3

ハーバード大生の時に日米が開戦。日本人の鶴見さんは敵国人として逮捕され留置場に入れられます。留置場で書いた卒論が、教授会の投票で認められ卒業しました。

1998年2月3日のインタビュー記事で、鶴見さんは祖国との違いを実感した瞬間について語っています。「政府と大学が別の判断に立つことを知った。アメリカの民主主義の岩床はしっかりしていることを、この獄中の体験でつかんだ」。

日本は必ず負けると確信していたという鶴見さん。「負けるときには日本にいたい」と、1942年に捕虜交換船で日本へ帰ります。

「私は戦争の中で生きてきた」 *4

戦後は、ベトナム戦争に反対する「ベ平連(ベトナムに平和を!市民連合)」で、米軍脱走兵を支援します。近年では、憲法についても発言。憲法改正が現実味を帯びると、作家の大江健三郎さんら文化人でつくる「九条の会」を立ち上げます。

2005年10月にあった講演会では、憲法への熱い思いを語っています。

「私は戦争の中で生きてきました。戦争が自分の中に遺(のこ)したものが、私を憲法9条を守る方向へ持っていったんです。私は1億人の中の一人になっても、やりますよ。あったりまえのことだ」

記者会見するベ平連(ベトナムに平和を!市民連合)の鶴見俊輔さん(右から2人目)ら。米軍岩国基地の核貯蔵疑惑が国会で取り上げられた直後に基地所属の反戦兵士4人が本国に強制送還された問題をめぐり、「核(貯蔵)の疑惑は深まるばかり」と語った=1971年11月26日、山口県岩国市

マンガ「がきデカ」を評価 ユニークな視点 *5

鶴見さんは、山上たつひこさんのマンガ「がきデカ」を、高く評価するなど、独特のセンスで戦後の日本を論じました。

「がきデカ」の主人公は、ムキダシの欲望であばれ回る少年です。

そんな「がきデカ」について、鶴見さんは「自分の欲望に従って生きようというがきデカが増えたことがファシズムの防波堤になる、と思う。簡単に、命令一下の体制に追い込むわけにはいかないですよ」と評しました。
 

鶴見俊輔さん=2006年1月17日

日米開戦から震災まで体験 *6

日米開戦を身をもって体験し、戦時中に帰国。戦後の高度経済成長、バブル、そして東日本大震災による原発事故まで、その視野の広さと深い思想は、知識人だけではない、多くの人に影響を与えました。

震災後の2011年6月21日にあった講演で「日露戦争以来、大国になったつもりで文明の進歩をひたすら信じ続けてきた日本人は、敗戦後も目をそらしてきた根本問題に(震災と原発事故で)直面している」と語っていた鶴見さん。

「受け身の力をここで超えること。九条は、何らかの行動、態度の表明で裏付ける方がいい。不服従の行動の用意があるとさらにいい」と訴えていました。

出典:

*1

出典: 1998年2月5日:祖父と父 けんか、私の負けだった(鶴見俊輔の世界:4 語る):朝日新聞紙面から

*2

出典: 1997年10月5日:期待と回想 上・下 鶴見俊輔著(書評) 評者・関川夏央(作家):朝日新聞紙面から 

*3

アメリカではミドルセックスというハーバード大学へ進学する者が多い予備校へ入った。そこでは私がだれであるかを周りの人は知りませんし、私もまじめでした。

出典: 1998年2月5日:祖父と父 けんか、私の負けだった(鶴見俊輔の世界:4 語る):朝日新聞紙面から

敵国人として逮捕され留置場の中だった。しかし、外での食事より良くて結核も回復した。卒業は、留置場で書いた論文をもとに教授会の投票で決まった。政府と大学が別の判断に立つことを知った。アメリカの民主主義の岩床はしっかりしていることを、この獄中の体験でつかんだ。

出典: 1998年2月3日:アメリカ 民主主義の闘い、力の源(鶴見俊輔の世界:2 語る)

日米開戦後、鶴見さんは米国で無政府主義者の容疑で逮捕され、留置場生活を経験する。日本は必ず負けると確信していたが、「負けるときには日本にいたい」と、42年に捕虜交換船で日本へ帰る。戦争中は海軍の軍属として南方へ派遣された。「大東亜の解放」を唱えながら、現地の住民を酷使し、捕虜を虐殺する日本軍の姿を見た。国家への不信が深く肌身に刻み込まれる。

出典: 2005年11月24日:(戦後60年を生きる)鶴見俊輔の心:上 国家不信 原爆のウソ、胸に刻み

*4

「私は戦争の中で生きてきました。戦争が自分の中に遺(のこ)したものが、私を憲法9条を守る方向へ持っていったんです。私は1億人の中の一人になっても、やりますよ。あったりまえのことだ」10月中旬、京都市山科区での講演会。詰めかけた約100人の聴衆に向かって、鶴見さんは熱く護憲を訴えかけた。主催したのは、鶴見さんや作家の大江健三郎さんら文化人でつくる「九条の会」の護憲アピールに賛同した地元市民のグループだ。

出典: 2005年11月25日:(戦後60年を生きる)鶴見俊輔の心:下 戦争体験 一人になっても、護憲:朝日新聞紙面から

*5

鶴見氏は、ムキダシの欲望であばれ回る少年を主人公にした、山上たつひこの漫画「がきデカ」を、「私が現代に希望を託する最大のもの」と高く評価している。つまり「自分の欲望に従って生きようというがきデカが増えたことがファシズムの防波堤になる、と思う。簡単に、命令一下の体制に追い込むわけにはいかないですよ」というわけだ。

出典: 1995年8月14日:鶴見俊輔 「私」が共生する社会へ(「個」と戦後:9):朝日新聞紙面から

*6

鶴見は米国の日本への原爆投下から説き起こした。「科学を悪用してはならないというヒポクラテス以来の伝統が断ち切られ、科学は新しい段階に入った」。原爆と原発の連続性を示唆しながら「国家予算によるビッグサイエンスは、自国、他国の数百万という人々の上に覆いかぶさることになる」と話した。さらに「日露戦争以来、大国になったつもりで文明の進歩をひたすら信じ続けてきた日本人は、敗戦後も目をそらしてきた根本問題に(震災と原発事故で)直面している」と指摘。「受け身の力をここで超えること。九条は、何らかの行動、態度の表明で裏付ける方がいい。不服従の行動の用意があるとさらにいい」と結んだ。

出典: 2011年6月21日:「目をそらしてきた問題に直面」 鶴見俊輔、講演で東日本大震災と原発事故を語る:朝日新聞紙面から


現役ヤクザ100人の生激論 ”安倍はヤクザ以下 カタギに迷惑かけるチンピラ”

2015-07-22 | Weblog

現役のヤクザ100人に安保法制について聞いてみたら意外な結果が…「安倍は人を殺すってことを分かってない」の声も

国民世論を無視した安保法案強行に、ここのところさまざまなメディアが法案についての特集を組んでいるが、そんななか、異彩を放ったのが「週刊実話」(日本ジャーナル出版)だ。7月30日号の巻頭特集に、こんなオドロキの記事を持ってきた。

現役100人に聞きました 「安保法制」ヤクザが朝まで生激論!!

「週刊実話」といえば、最近は上戸彩や長澤まさみの“爆乳ネタ”など、オッサン向けの下世話な実話誌の印象が強くなっているが、もともと暴力団情報にもっとも詳しい専門誌として知られていた存在。好奇心を煽られてさっそくページをめくってみた。

まず、「実話」が実施したアンケート結果を見てみると、「賛成」が31%、「反対」が23%、そして「総論賛成・各論反対」が46%。暴力団は右翼団体を傘下にもっているところも多く、組員もほとんどは右というか、保守的な思想の持ち主。そのことを考えると、賛成が意外に少ないのだ。

しかも、その意見を詳細に見てみると、「賛成」といっても「戦争になったらカタギはだらしないけぇ、ワシらがカチコミするしかないんじゃ!」という啖呵を切っているだけで、むしろ安保法制の内容や安倍政権のやり方については、強烈なダメだしをしていることがわかる。

たとえば、ある関西系組織幹部(50代)はこんな言葉を寄せている。

「今の閣僚を集めて、ドツキ合いをさせたらええ。殴ったら痛いし、血が出る。引き際も考えなあかん。そういうのがまったくできひんくせに、いきなり『戦争』って、冗談も大概にしとけと思う。日本がなくなってしまうど」

つまり、ヤクザから見ても、安保法制は“亡国の法案”なのだろう。このように、血で血を洗う組織間の抗争を知るヤクザ稼業ならではの“戦争観”が垣間見られる回答は多く、注目に値する。

「戦争とは、えげつないモンです。ヤクザの抗争や個人のケンカの比やない。核兵器も使えば、細菌兵器も使う。長引けば“手打ち”も簡単にはいかない。安倍のようなお坊ちゃんで、ケンカもしたことないようなヤツに戦争なんか任せられないし、付き合えない。もし戦争をやるなら、自分たちだけでやりますよ」(九州系組織幹部・50代)

「国会で議論している皆さんは、戦争や抗争で殺されたヤツの死体を見たことあるんかいの? 政治家も庶民も“人を殺す”ってことがどういうことなのか、分かってないヤツが多すぎる。殺す方だって、イヤなもんだから。殺し合うのに集団も個人もないし、戦争に卑怯もクソもない。親分や組織のためなら仕方ないが、安倍のために人殺しになるのはイヤだから、絶対反対」(中国地方系組織幹部・50代)

つまり、もともと右翼思想と親和性の高い極道稼業ですら、安保法制は安倍晋三という政治家の個人的願望であり、そんな戦争に参加する義理はないというのである。

しかも、ヤクザが言うのは感情論や道徳論だけではない。以下のように日米関係を見極めた現実的な意見も際立つ。

「今の安保同盟では、いざという時にアメリカは守ってくれない。賛成派はそこを分かっていない。今回の法案は、アメリカの戦争に日本が協力するだけだから。アメリカは戦争をして儲けている国だから、軍需産業系のカブを買っている人は頭がいいね。オレはパス」(関東系組織中堅・30代)

「戦後70年って騒いどるが、結局ずっと『アメリカ様』に従ってきたということ。アメリカが“ヤクザはいかん”言うから排除するんよ。(中略)暴排の次は戦争、という怖い話よ」(中国地方系組織幹部・50代)

「安保法制は、早い話がアメリカの機嫌をとるか、とらんかの話やわな。戦後からずっと、日本はアメリカにみかじめ料(=思いやり予算)を払って面倒を見てもろてる状況やろ。(中略)アメリカはみかじめ料を取ってもいいのに、ワシらはパクられる。国民がみかじめ料くれるんやったら戦うたるで」(関西系組織幹部・50代)

思いやり予算を「アメリカへのみかじめ料」とするのは言い得て妙だが、近年、国際経済を股にかけるインテリヤクザの台頭が目立ってきており、「安保法案はコスパにあわない」「結局アメリカだけを利する」という冷徹な意見は意外と、的を射ているのかもしれない。

このように、興味が尽きないヤクザの安保法制への批判。その全貌は発売中の同誌を確認してもらいたいが、それにしても、ヤクザ稼業の方々からも痛烈に批判される戦争法案って……。つまるところ“戦闘のプロ”である彼らからすると、安倍首相のアイデアは“アマチュア”もいいとこ、「ほんまもんの戦争を分かっとらんのに無茶苦茶なことすなや!」ということだろう。

そう考えると、安倍晋三というのは極道を生きるヤクザ以下、言ってしまえば表社会でエラそうな顔をしてカタギに迷惑をかけまくっているチンピラのようなものなのかもしれない。

しかし、だからこそ、われわれは諦めず廃案のために世論を盛り上げていくしかない。『仁義なき戦い』の菅原文太ばりに、こう言っておこう。

安倍さん、タマはまだ残っとるがよう──。

 


お悔み 自ら首を吊った安倍 不支持52%に(戦争法案 衆院可決強行)

2015-07-18 | Weblog

国民からの理解を得られないまま強行された与党単独採決。その裏には、「3連休に入ると忘れるだろう」という国民をナメきった作戦が潜んでいたという。その一方で小心者安倍は更なる支持下落を恐れて、国民の関心を戦争法案から逸らすために、新国立競技場建設計画の白紙撤回表明といったパフォーマンス工作にでている。管理人

安倍内閣支持急落37% 不支持過半数で逆転 

共同通信社が17、18両日に実施した全国電話世論調査によると、内閣支持率は37・7%で、前回6月の47・4%から9・7ポイント急落した。

不支持率は51・6%(前回43・0%)と過半数に達し、2012年12月発足の第2次安倍政権以降で初めて支持と不支持が逆転した。

与党が16日の衆院本会議で、多くの野党が退席や欠席する中、安全保障関連法案を採決し、可決したことに「よくなかった」との回答が73・3%を占めた。「よかった」は21・4%だった。

安保法案の今国会成立に反対が68・2%で前回から5・1ポイント増えた。賛成は24・6%だった。

2015/07/18  共同通信
 

 
「俺たちは怒っている」 SEALDs主催 夜の国会前に5万人 
  
安全保障関連法案の衆院通過から一日明けた十七日夜も、国会周辺に大勢の市民が押し寄せ、「戦争法案、絶対廃案!」「俺たちは怒っている」と政権に抗議の声を上げ続けた。

主催した「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」と大学生らのグループ「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」によると、午後十一時時点で五万人が集まった。

賛同学者が一万人を超えた「安全保障関連法案に反対する学者の会」を代表し、国会正門前に立った渡辺治・一橋大名誉教授(政治学)は「『戦争する国』になるのを阻めるかの正念場。運動を広げ、私たちの怒りの熱気で熱い夏にしよう」と呼び掛けた。

 

 
 

舛添知事ツイッター 新国立問題で首相を批判

新国立競技場の建設計画見直しをめぐり、東京都の舛添要一知事は17日夜、自身の公式ツイッターで、政府が6月末に工費を2520億円と決定しながら、数週間後に安倍晋三首相が計画を「白紙撤回」したことに、「主張の整合性よりも内閣支持率が優先か」などと批判した。

舛添知事の公式ツイッターは、1回につき1~2文をつぶやくことが多いが、17日夜は計5文を発信。内容はすべて新競技場についてで、「安倍総理は、1カ月前から見直しを検討したと言うが、それなら6月29日になぜ政府案を決定したのか」と急な方針転換をいぶかしんだ。その上で「この大失策に至った経過を検証し、責任者を処分することが不可欠だ」と強調した。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015071802000252.html


 

安倍の強行採決 強気の裏に 帝国憲法を企てる極右派の存在

2015-07-12 | Weblog

日本最大の右派団体「日本会議」と安倍政権のただならぬ関係 みんな、そこでつながっている

安倍政権の"黒幕“!?

ちょっと前の話になるが、6月15日、日本外国特派員協会での記者会見で面白いやりとりがあった。質問者はエコノミスト誌のマクニール記者。答えたのは慶応大名誉教授の小林節さん(憲法学)である。

小林さんは例の憲法審査会で安保法制を「違憲」と言い切った3学者の1人だ。もともとは憲法学会で改憲派を代表する存在だったが、今回の安倍政権の解釈改憲については、立憲主義の根幹を揺るがすものだとして真っ向から反対している。

マクニール記者「集団的自衛権行使を合憲としている憲法学者が3人いて、彼らはみんな、日本会議に属している。それは何を意味しているのか?」

日本会議は安倍政権の”黒幕”とも噂される日本最大規模の右派団体だ。そしてマクニール記者の言う3人とは、菅官房長官が安保法制を支持する憲法学者として名を挙げた西修・駒沢大名誉教授ら3氏を指す。

つまりマクニール記者はこう訊いたのである。日本の憲法学会に数えるほどしかいない”合憲派”の顔ぶれを見ると、そろいもそろって日本会議の関係者だ。これはどういうことか。単なる偶然とは思えない、と。

小林名誉教授「私は日本会議にはたくさん知人がいる。彼らに共通する思いは、第二次大戦での敗戦を受け入れがたい、だからその前の日本に戻したいということ。日本が明治憲法下で軍事5大国だったときのように、米国とともに世界に進軍したいという思いの人が集まっている。よく見ると、明治憲法下でエスタブリッシュメントだった人の子孫が多い。そう考えるとメイク・センス(理解できる)でしょ」

これは、なかなか意味深な答えである。いやそれどころか安倍首相と、彼の仲間の心情を的確に捉えた言葉だと私は思う。

国会議員の4割、閣僚ポストの8割を占める

そう言っても、日本会議と安倍政権のただならぬ関係をご存じない読者には、すんなり了解してもらえないだろうから補足説明させていただきたい。

日本会議には国会議員懇談会という超党派の集まりがある。現在そこに属する国会議員は自民党を中心に約280人。衆参両院をあわせた定数は717人だから4割ほどが日本会議の構成メンバーという計算になる。

驚くべきは日本会議の構成員が閣僚に占める割合である。第一次安倍内閣では首相をはじめ12人、麻生内閣では9人だった。それが改造前の第二次安倍内閣で13人になり、現内閣では19人中15人に増えた。公明党枠の1人を除く閣僚ポストの8割強を日本会議に関係する議員が占めている。

もし小林名誉教授が言うように、日本会議に属する人たちの「共通する思い」が、70年前の敗戦を受け入れがたく、明治憲法下の「日本に戻したい」ということだとするなら、現閣僚の大半が戦前の大日本帝国の再来を望んでいることになる。

まさか、そこまで非常識な政治家はいないはず。と思われる読者も多いだろうから、日本会議とはそもそもどんな団体かということについて語りたい。

日本会議が目指すものは何か

日本会議の特色は何と言っても、そのネットワークの全国的広がりと構成メンバーの多彩さにある。会員は全国に約3万5000人。日本会議の地方議員連盟に属する議員は約1700人と言われる。

HPの役員名簿を見ると、石井公一郎・ブリヂストンサイクル元社長、小田村四郎・元拓殖大総長、三好達・元最高裁長官、作家の石原慎太郎氏、外交評論家の田久保忠衛氏ら各方面の著名人がずらりと並んでいる。

加えてさまざまな宗教団体のトップたちが名を連ねる。神社本庁、靖国神社、崇教真光、霊友会、天台宗など数え上げるときりがない。新宗教から伝統仏教・神道まで多種多様な宗教の結集軸になっている団体、それが日本会議と言ってもいい。

では、その日本会議が目指すものは何か。HPには〈私たちは、美しい日本の再建と誇りある国づくりのために、政策提言と国民運動を推進する民間団体です〉と記されている。

〈美しい日本の再建〉という言葉に注目してほしい。再建と言うからには〈美しい日本〉が過去にあったということだ。それがいつの時代を指すか、明記はされてないが察しはつく。戦前の天皇主権下の日本だろう。

それを裏付けるようにHPにこう書かれている。

〈125代という悠久の歴史を重ねられる連綿とした皇室のご存在は、世界に類例をみないわが国の誇るべき宝〉であり〈皇室を中心に、同じ歴史、文化、伝統を共有しているという歴史認識こそが、(中略)国の力を大きくする原動力になると信じています〉

言っちゃ悪いが、これはアナクロニズム(時代錯誤)だ。国民の大多数は戦前の天皇制の復活なんか望んでいない。にもかかわらず、日本会議が国会議員の4割弱と閣僚の8割を占める勢力になったのは、なぜか。

ここが思案のしどころだ。私の考えをまず言わせてもらいたい。こんな異様な現象は一朝一夕には起こらない。相当な時間と労力と金をかけた、何らかの仕掛けがなくてはならない。

ちなみに私が日本会議に注目しだしたのは10年ほど前のことだ。従軍慰安婦、国旗・国歌法、教科書検定、外国人地方参政権、教育基本法や憲法の改正などの問題を取材すると、必ずと言っていいほど、背後に日本会議の勢力が蠢いていた。

どうやら日本の右傾化を演出しているのは日本会議らしい。誰がどんな経緯でこの組織を作ったのか。それを調べていくと奇妙な事実に突き当たった。

日本会議を仕切る事務総長や関連団体の責任者、安倍首相の側近議員、学者などの経歴に意外な共通点があった。

彼らは青年時代、ある教団の信者だった。その教団の創始者は熱烈な天皇主義者で「敗戦した日本などない」と唱えた。敗れたのは「偽の日本」で、天皇中心の真の日本ではない。我々の使命は明治憲法を復元することだ。その言葉が青年らの心を捉えた。日本会議の歴史はそこから始まる。

現代ビジネス7/12


安倍内閣を牛耳る「日本会議」とは? 閣僚の約8割が名を連ね憲法改正を画策!

憲法学者から「違憲」と指摘され、国会審議が難航する安全保障関連法案(以下、安保法制)。しかし、安倍政権は今月16日の衆議院本会議通過を目指して「強行採決」も辞さない構えだという。

そんな与党の背後で蠢(うごめ)くのが、日本最大規模ともいわれる右翼団体「日本会議」の影だ。

国政から地方政治まで、日本全土に幅広いネットワークを形成し、政界、宗教界、経済界を結びつけて日本の政治に大きな影響を与えるその正体とは?

安保法制を合憲としている3人の憲法学者は皆、『日本会議』に属している。その意味や日本会議の影響力をどのように見ているか?」

6月15日、安保法制を違憲と断じた小林節(せつ)慶應義塾大学名誉教授と長谷部恭男(やすお)早稲田大学大学院教授による外国人記者クラブでの記者会見の席上で、イギリスの経済紙『エコノミスト』の記者からこんな質問が飛び出した。

ちなみに、安保法制を合憲としている3人の憲法学者とは、長尾一紘(かずひろ)中央大学名誉教授、百地章(ももち・あきら)日本大学教授、西修駒澤大学名誉教授のこと

この質問に「日本会議にたくさんの知り合いがいるので私が答えます」と応じたのは小林氏。

「日本会議の人々に共通する思いは、第2次大戦で負けたことを受け入れ難い、だから、その前の日本に戻したいと。彼らの憲法改正案も明治憲法と同じですし、今回もそうですが、日本が明治憲法下で軍事5大国だった時のようにアメリカとともに世界に進軍したいという、そういう思いを共有する人々が集まっていて、かつそれは自民党の中に広く根を張っているように見える」

かつては、自民党のブレーンを務める改憲派の憲法学者として知られ、日本会議のメンバーとも縁浅からぬ小林氏はこう語った。

そして、海外メディアも注視する、安倍政権の急激な右傾化と日本会議との関係…。一体、日本会議とは、どんな組織なのか?

今年2月からウェブメディアの『ハーバー・ビジネス・オンライン』で日本会議についての連載「草の根保守の蠢動(しゅんどう)」を執筆する、菅野完(たもつ)氏に聞いた。

「第3次安倍内閣の主要閣僚19人のうち15人、実に8割近くが『日本会議国会議員懇談会』という日本会議の議員連盟のメンバーです。

また、安保法制を『合憲』とした憲法学者の長尾氏と西氏は、日本会議のフロント団体『美しい日本の憲法をつくる国民の会』の代表発起人で、百地氏は幹事長を務めています。

他にも教育問題に関する安倍内閣の諮問機関『教育再生実行会議』や政府の様々な審議会にも日本会議の関係者が多くいます。安倍政権は事実上、日本会議に乗っ取られていると言っても過言ではありません」

さらに、菅野氏が続ける。

「日本会議が設立されたのは1997年。母体となったのは、70年代中頃、右派の宗教団体を中心につくられた『日本を守る会』と81年に結成された保守系文化人の組織『日本を守る国民会議』です。

日本会議の事務局を中心となって動かしているのは、『日本青年協議会』という右翼団体。この組織のルーツは70年安保の時代に民族派学生運動で活躍した『全国学協(全国学生自治体連絡協議会)』及びその母体である『生長の家学生会全国総連合』のメンバーです。

70年安保で“学園正常化”の名の下に、左翼の学生運動に対抗して大きな成果を挙げた彼らは、右翼・保守陣営の“大人たち”からも一目置かれる存在になった。

そして、左翼から学んだ市民運動の手法を生かして、地方議会に法制化を求める働きかけを行なうなどして79年の元号法制化でも大きな力を発揮し、成功を収めるのです。こうした運動手法は今の日本会議にも共通しています」(菅野氏)

「生長の家」とは戦前、谷口雅春によって創始された新興宗教。谷口は敗戦後も「大東亜戦争(太平洋戦争)に敗れたのは『偽の日本』であって、本当の『天皇國日本』は敗れたのではない」、「日本国憲法はGHQが日本を弱体化させるために日本に押しつけた無効の憲法であるので、日本国憲法を即時に破棄して大日本帝国憲法(明治憲法)に復元しなければならない」などと主張して、積極的な政治活動を展開してきた。

近年、生長の家は3代目の谷口雅宣(まさのぶ)総裁の下、左傾化といわれるほどの方向転換を行ない、政治からも距離を置いている。そのため現在、生長の家は日本会議の構成団体ではない。

しかし、菅野氏が「生長の家・原理主義者たち」と呼ぶメンバーが日本会義の事務局の中枢を占めており、日本会議の主張には創始者・谷口雅春の考え方が色濃く反映されているという。

「日本会議の主張を簡単に要約すると、『皇室中心』『改憲』『靖国参拝』『愛国教育』『自衛隊海外派遣』といったもので、それ自体はよく目にする『街宣右翼』の主張とそれほど大きな違いはありません。

ただし、安倍内閣における日本会議の存在感からもわかるように、その影響力は一般の人たちが想像するよりもはるかに大きい。しかも非常に組織的かつ大規模な『市民運動』の形をとっているのです。

衆参両院で実に280人近い議員を擁する『日本会議国会議員懇談会』を始めとして、県議会、市町村議会でも着々と勢力を伸ばし、『新しい歴史教科書をつくる会』および『教育再生機能』の教科書採択や憲法改正運動を草の根から進める『日本会議地方議員連盟』、憲法改正に向け1千万人の改憲賛成署名を集めることを活動目標に掲げる『美しい日本の憲法を作る国民の会』など、本体である日本会議以外にも数多くの関連団体、フロント組織を立ち上げて、国政と地方の両面から大きな影響力を発揮している。

安倍政権がこれまで実現してきた数々の政策を支えたのは、日本会議の持つ強力な動員力ともいえるのです」(菅野氏)

気がつけば、その日本会議が自民党最大の支持母体になっていた…。そして来年夏には衆参同時選挙で改憲をゴリ押し、叶わなければクーデターもありうるという。

週プレNEWS 7/9


参考:日本会議 役員名簿

http://www.nipponkaigi.org/about/yakuin


現政権の末期状態 支持下落に 政権擁護の週刊誌も 続々と「反安倍」にシフト

2015-07-09 | Weblog

 

 


 例えば


週刊文春

<自民党は死んだ >マスコミは恫喝するくせに安倍首相が怖くて総裁選もできず「安保法制」では異論を封じ込め

▼「広告で圧力をかけろ」3バカ議員のオツムの中身
「俺に弓を引くのか」反対派勉強会に激怒した安倍
▼田原総一朗が暴露 朝生ドタキャン事件 卑怯な首謀者
石破 野田聖子 河野太郎…誰も立てない9月総裁選 ほか

「言論の自由こそが民主主義の根幹であり、当然尊重されるべきものだ」――。安倍首相が国会で述べた言葉はブラックジョークにしか聞こえない。首相への異論を封じられた自民党議員の面々は揃って“物言えば唇寒し”。議論を忘れた自民党はもはや死んだも同然だ。

  
世間の関心事について、是々非々で開かれた議論が交わされることが大切なのは言うまでもありません。今週はあからさまにそれに逆行している自民党について特集しました。
 
タイトルはストレートに『自民党は死んだ』。
 
「マスコミは恫喝するくせに安倍首相が怖くて総裁選もできず『安保法制』では異論を封じ込め」とのサブタイトルを読んでいただければ、本誌が伝えたいことはご理解いただけると思います。
 
東大名誉教授の御厨貴氏は自民党の現状をこう解説してくれました。
 
「安倍政権のナショナリズム的考え方に対し、もっとリベラルなものが出てきてもよさそうなのですが、いまの自民党にそうした対立軸はありません。(かつては)派閥間で議論を繰り返し行い、総裁選を行うことで多様性を生み出し、結果として自民党は幅広い保守層を取り込んできたのです。現在の安倍政権の特徴は、圧倒的に強い官邸組織。それに比べて自民党はもはや機能停止状態です。派閥機能を失って人材の払底している自民党にポスト安倍は見当たらない。だから安倍政権をみんなで維持しようとして、視野狭窄になっているのです」
 
まさに国論を二分する安保法制や沖縄問題について、今こそ談論風発、国民に見える形で議論を深めていくべきなのに、この体たらくは何なのでしょう。
 
これだけ明確な争点があるにもかかわらず、総裁選も無投票再選の流れが強まっています。言論弾圧を公言する議員を抑えるために党内の言論を弾圧するというブラックジョークのような惨状に、思わず強烈なタイトルをつけてしまいました。
 
(以下略)
 
「週刊文春」編集長 新谷 学
 


 
 
 

小沢の一言 「恐ろしい世の中になるよ」(安倍の戦争法案)

2015-07-09 | Weblog

小沢一郎から見た安倍政権

権力、政局、そして日米関係の奥座敷を見てきた永田町最後の古老小沢一郎。安倍晋三政権をどう斬るか、聞いた。 (サンデー毎日)

まずは、安保法制の現状だ。

「背景も理念も進めようとしていることの論理構成も無茶苦茶だね。最終的には国家の存立、国民の生命財産が危機に瀕することが政府判断になるのはその通り。その通りだが、集団的自衛権を憲法の理念に反しながら推し進めようとするに当たっての論理としてはあまりにも粗雑で幼稚で抽象的だ」

なぜ、その幼稚な論理に対し自民、公明内で反対が起きないのか?

「今の日本社会、どこもそうでしょう? 誰も異論を言わなくなった。メディアも太鼓をたたくほう。テレビも脅されると静かになる」

特に、自民党内が静かすぎる。

「それだけの人がいなくなったんだろうね。(選挙制度のせい?)いやそうじゃない。英米も小選挙区制だもの。政治家の資質と見識の問題だな。(戦争体験者がいなくなったから?)いやあ、違うね。日本全体が1人の情緒的な思いの方に引きずられている」

誰が、その小沢さんの言う情緒的な人物、つまり安倍首相を支えているのか?

「政治的に大きいのは野党の受け皿がないこと。国民は集団的自衛権も原発も反対だ。なのに安倍支持というのは、しょうがない、それしかないんだからと。決して積極的支持ではない」

「彼は核武装論だから。(原発にこだわるのは)そのへんがある」

安倍首相は中東での海自の機雷掃海にこだわっている。

「もっとやっちゃうんじゃないか。戦前回帰という心情と大国主義を持っている。国連安保理常任理事国(米露中英仏)の連中に負けてない、伍(ご)していける、という気持ちが心の中にあるのではないかな。機雷はとってつけたようなもので」

機雷掃海といえば、1990年の湾岸危機では、当時自民党幹事長の小沢さんも執着した。

「あれは国連の決定に基づいたものだからやるべきだと言った。その後のものは全部国連(が正式に機関決定したもの)ではない。僕は国連中心主義。世界を治めるのはそれ以外ない、と思っている。日本国憲法もたまたま国連と同じ理念を共有している。安倍流の自国だけで何とかしようというのは、国威発揚か何か知らんけど、一番の危険な方法だね」

90年当時は内閣法制局の壁も厚かった。

「法制局は戦後何度も見解を変えてきてはいる。ただ(集団的自衛権は行使できないという)一線は超えなかったんだ」

後方支援も武器弾薬の補給など拡大の流れだ。

「(実戦と)同じだ。兵たん線が戦争の一番の要、戦争そのもの。だから、(実戦と一体化する可能性のある後方支援を忌避する)一体化論があった」

「戦前の昭和史と似てきた。経済格差が増え、軍需産業で不況を乗り切ろうとしている」

「彼は核武装論だから。武装独立論、石原慎太郎と同じ。(原発にこだわるのは)そのへんがある。核技術を温存したいんだろう」

米政権は安倍政権をどう見ている? 

「困っていると思う。民主党はダメだ、小沢はダメだということだったが、今は少しずつ、あれ違ってきたな、と思っているんじゃないか。(安倍首相の何が米にとってダメなのか?)だって基本的に反米だもの。最後のところは戦後体制の否定だ。大日本帝国時代の国務大臣(商工相)だったおじいちゃん(祖父の岸信介元首相)の言葉の端々が孫に入っていったのではないか。このままだと恐ろしい世の中になる」

では、台頭する中国とどう向き合う? 

「核武装して中国とやろうとしても無理。もちろん通常の抑止力は必要だが、トータルな抑止力は米に頼む以外にない」

「日中の本当の信頼関係を構築するしかない。言うことを言い、認めることは認める。ライバル心を燃やしつつも友好関係をもつようにしないとね」

その意味では70年談話は重い。

「重いし、大きいさ。欧米の安倍政権への不信論の象徴がメルケル(独首相)来日だ。公式訪問してあんなこと(日本の歴史認識について注文)は普通は言わない」

靖国参拝は? 

「戦争で死んだ人を祀(まつ)る所であって、政治的な責任者を祀る所ではない。戦争責任を問われて死刑になった人を厚生省と生き残り軍人が無理やり合祀(ごうし)した。そんなものはやめて元に戻し自由に参拝できる所にすべきだ」

 


現政権の末期症状 若者の批判すら恐れ 活動制限の御布令(安倍の戦争法案)

2015-07-07 | Weblog

裸の首相 裸だと指摘する者はメディアでも子供でも黙らす

週刊ポスト2015/7/24日号

アンデルセンの童話『裸の王様』の最後の場面では、小さな子供の「王様は裸だ」という言葉をきっかけに人々が笑い出す中、王様が最後まで裸のまま従者たちとパレードを続ける。しかし、この国の“裸の首相”は、自分を裸だという者は議員であろうとメディアであろうと、たとえ子供であろうと容赦なく黙らせる。

自民党勉強会での「マスコミを懲らしめろ」発言問題だけではない。今国会で公職選挙法改正案が成立し、来夏の参院選から高校生を含む18歳以上に選挙権が与えられる。

海外では選挙の際に選挙権を持たない生徒たちに学校で争点を議論させ、実際の候補者への模擬投票をさせて有権者としての自覚を育てる「主権者教育」を行なっている国が少なくない。

ところが、自民党は逆に18歳選挙権実施にあたって高校生の政治議論や活動を制限する方針を打ち出した。さる6月25日、同党文科部会は「学校が政治闘争の場になることを避けなければならない」「高校生の政治活動について、学校の内外で抑制的であるべきだという指導を高校が行なえるよう、政府として見解を示すべきだ」とする提言案をまとめ、教育公務員特例法の改正などを求めたのだ。

背景にあるのは大学生、高校生が安保法案反対を掲げて今年5月に結成した「SEALDs」(自由と民主主義のための学生緊急行動)の動きだ。SEALDsは国会前で抗議活動を行なっており、6月27日にはネットで渋谷ハチ公前でのデモを呼びかけて数千人を集める影響力を見せた。これに安倍首相は神経を尖らせているという。

官邸の安倍側近筋が語る。
「総理がSEALDsを非常に気にしている。これまでネットの意見で若い世代に憲法改正を望む声が強いことから、総理は自分の路線が若者に支持されていると考えていた。選挙権の年齢引き下げも自民党に有利に働くとの読みがあった。

しかし、渋谷のデモに多くの若者が参加するなど、予想に反する動きが広がっている。このままでは70年安保の新宿フォークゲリラ、神田カルチェ・ラタン(*)のように、今後は渋谷が若者の反対運動拠点になりかねないと心配している」

「安倍支持」だと考えたから18歳以上に選挙権を与えたが、若者の批判が政権に向かうや、“俺のやることに反対は許さん”と、一転して高校生を“政治弾圧”しようというのである。

(*)神田カルチェ・ラタ=1960年代後半、ベトナム戦争やアメリカ寄りの安保政策に反対し、学生が様々な政治闘争を行なった。東京・新宿には警察の集会禁止に対抗してゲリラ的に反戦平和のフォークソングを歌う若者が集まったり(1969年6月)、大学が多い神田駿河台では新左翼の学生らがバリケードを築き機動隊と衝突する(1968年6月)などの事件が起きた。後者は教育機関が数多く集まるパリのカルチェ・ラタン(地域名)にちなみ神田カルチェ・ラタン闘争と呼ばれる

「反対するのは、ムカついているから」 学生グループが「安保法案」に怒りの訴え

 2015/6/24 弁護士ドットコムニュース
 
記者会見したSEALDs(シールズ・自由と民主主義のための学生緊急行動)のメンバー

安倍首相が成立を目指す「安保関連法案」に反対する学生グループが6月24日夕、東京・永田町の参議院議員会館で記者会見を開き、「憲法にのっとった政治をするか、それとも憲法をガン無視した独裁を許すかという問題だ」と訴えた。

この団体は、「SEALDs(シールズ・自由と民主主義のための学生緊急行動)」。

10代、20代の学生を中心としたグループで、集団的自衛権を容認する安保関連法案を「戦争法案だ」と反対している。

毎週金曜夜には国会議事堂前に多くの若者を集めて、ヒップホップなどの音楽や、英語のコールなどに合わせたデモ活動をおこなっている。

●「ヘラヘラしてるんじゃねえぞ、この野郎」

この日の会見で、シールズの創設メンバーの一人で、明治学院大学4年の奥田愛基さん(23)は、安保関連法案に反対する理由として、次のような3つポイントをあげた。

(1)集団的自衛権を行使できるようになり、戦争に参加する可能性が高まる

(2)「後方支援」という名目の参戦により、自衛隊と国民のリスクが高まる

(3)そもそも「憲法違反」で、議論の仕方さえもメチャクチャ

奥田さんは、このなかで特に(3)が問題だと指摘したうえで、「法治国家として許されないことが起きている」と述べた。加えて、「憲法を守れというのは、単純に護憲という意味ではない。この国の根幹である法治国家として、危機感を持たないといけない」と話した。

会見には、シールズの創設メンバーで、音楽サークルでラッパーをしているという明治学院大学4年の牛田悦正さん(22)も出席。牛田さんは「なんで戦争法案に反対してるかというと、ムカついているから。政治は、人間の生き死にが関わる。特に今回の法案は。そんなときにみんな他人事。『ヘラヘラしてるんじゃねえぞ、この野郎』と思う」と怒りを口にしていた。


 参考:SEALDs(シールズ)

SEALDs(Students Emergency Action for Liberal Democracy - s)は、自由で民主的な日本を守るための、学生による緊急アクションです。担い手は10代から20代前半の若い世代です。私たちは思考し、そして行動します。

私たちは、戦後70年でつくりあげられてきた、この国の自由と民主主義の伝統を尊重します。そして、その基盤である日本国憲法のもつ価値を守りたいと考えています。この国の平和憲法の理念は、いまだ達成されていない未完のプロジェクトです。現在、危機に瀕している日本国憲法を守るために、私たちは立憲主義・生活保障・安全保障の3分野で、明確なヴィジョンを表明します。

日本の政治状況は悪化し続けています。2014年には特定秘密保護法や集団的自衛権の行使容認などが強行され、憲法の理念が空洞化しつつあります。貧困や少子高齢化の問題も深刻で、新たな生活保障の枠組みが求められています。緊張を強める東アジアの安定化も大きな課題です。今年7月には集団的自衛権等の安保法整備がされ、来年の参議院選挙以降自民党は改憲を現実のものとしようとしています。私たちは、この1年がこの国の行方を左右する非常に重要な期間であると認識しています。

いまこそ、若い世代こそが政治の問題を真剣に考え、現実的なヴィジョンを打ち出さなければなりません。私たちは、日本の自由民主主義の伝統を守るために、従来の政治的枠組みを越えたリベラル勢力の結集を求めます。そして何より、この社会に生きるすべての人が、この問題提起を真剣に受け止め、思考し、行動することを願います。私たち一人ひとりの行動こそが、日本の自由と民主主義を守る盾となるはずです。

 http://www.sealds.com/#2

 

 

 

 

 


人生に遅いということはなし 思った時が人生 何度でも。。できるまで

2015-07-07 | Weblog

23回挑戦、61歳で弁護士になった神山昌子さんーー法律家としての「10年」を語る

2015/7/6
 
23回挑戦、61歳で弁護士になった神山昌子さんーー法律家としての「10年」を語る神山昌子弁護士

挑戦すること23回、ついに司法試験に合格し、2005年に61歳で弁護士になった神山昌子さん(第二東京弁護士会)。苦労の日々を乗り越えたあとの10年間、弁護士として活躍してきた。なぜそこまでして、弁護士になりたかったのか。弁護士になってから、どんな思いで、仕事に臨んできたのだろうか。

●34歳で手にとった「法律の入門書」がきっかけ

神山弁護士は「今まで担当件数がもっとも多いのは、離婚の案件です」と説明する。

自身も離婚経験がある。長男が生まれて間もなくのことだ。生計を支えるために就職先を探したが、バツイチで子持ちという立場もあってか、正社員としてはなかなか採用されない。やむなく、パートやアルバイトを転々とする日々を過ごす。

34歳のある日、パートが始まる前に立ち寄った書店でたまたま手に取った法律の入門書が、司法試験に挑戦するきっかけとなった。「勉強すれば、私も弁護士や裁判官になれるのではないか、と思ったのです」

育児と仕事に追われる日常の中、どうにか勉強時間を生み出すものの、それでも司法試験の壁は厚い。10回目の司法試験に落ちたとき、断念しようと考えたが、当時小学生だった長男から、「続けたら? お母さんの夢なんでしょ」と励まされ、翻意した。

それ以降も毎回落ち続けた。ただ、不合格の直後こそ落ち込むものの、すぐに次の試験に向けた課題の検討やスケジュールの立案などに没頭し、前を向くのが常だった。物事をあまり悲観的に考えない性格がプラスに働いた。家族もチャレンジを支えた。

そして、受け始めてから23回目でついに合格。法務省に張り出された自分の受験番号を見つけたとき、「ちゃんと合格できる試験なんだと思いました」。無論、喜びは計り知れない。ようやくスタートラインに立つことができたのだった。

●北海道で取り組んだDV被害者の支援

弁護士になってから約1年後、法テラスの1期生として北海道旭川市に赴任する。さまざまな事件を担当したが、比較的多かったのが、DV(ドメスティックバイオレンス)がらみの離婚案件だった。DV被害に関する保護団体と連携し、旭川のDVシェルターに逃げてきた人の相談を受け、離婚調停などの手助けをした。

法テラスには、稚内や紋別など、シェルターが存在しない遠方の人も逃げてきた。しかし、調停や裁判は、居住地を管轄する裁判所に行かねばならない。もし電車を使ってDV被害者を連れていこうとした場合、本数が少ないために到着時間をDV加害者に読まれて、押し掛けられてしまう可能性がある。このため、自動車で数時間かけて連れていったこともあった。

「事務所にやってきたDV加害者に、『殺すぞ』とすごまれたこともありました」

ほかにも、裁判の進め方や依頼者との接し方など、旭川での3年間は多くのことを学ばせてくれた。貴重な経験を積み重ねたあと、2011年に東京に戻った。

持ち味は、何といっても豊富な人生経験だ。会社でのトラブルやSNSでの誹謗中傷、浮気、金銭問題など、日々訪れる人々の相談の中身は、人間関係に関するものが多い。

「皆さんの気持ちが良くわかるんですね。昔、お金がなくなったときに思考が止まってしまうことも経験しましたし、だまされた人が人間を信じたいと思った気持ちもよく理解できます。自分とかけ離れた感じがしないので、話もスムーズに聞けるんです」。豊かな人生経験が、さまざまな人の心に寄り添える「共感力」の源になっている。

●長男に引退勧告するように依頼した

その共感力は、ときに諸刃の剣となることもある。ある殺人事件の裁判では、追いつめられた被告人の心境に共感し過ぎて、精神的に深く疲れてしまった。東日本大震災の被災者から相談を受けたときも、困窮極まる人々の心痛を強く感じてしまい、しばらく何も手につかなくなった。

人々の心に敏感に反応しすぎて疲れることもあるが、この仕事は天職だと確信している。

「人間に興味があり、世話をするのも好き。本が好きで勉強が苦にならない。弁護士を目指したときから、この仕事に向いていると思っていましたが、それは間違いではありませんでした」

最初、相談に来たときは元気をなくしていた依頼者が、最後に元気を取り戻す姿を見るとうれしくなる。裁判や調停を通じて依頼者の役に立つことに喜びを感じる。できれば、90歳まで現役弁護士として働きたいと思っている。

もっとも、周囲から「辞めたほうが良い」と言われてまで続ける気はない。そのときは、長男に引退勧告をするよう、すでに依頼しておいた。「もしそのときが来れば、ちゃんと言ってくれると思います」

弁護士になって今年で10年。90歳まで現役なら、司法試験に挑戦し続けたあの長い歳月を超えることができる。


安倍の戦争法案 まず廃案こそが筋 修正協議は単なる談合(維新の独自案提出)

2015-07-05 | Weblog

維新「安保」対案 「違憲」立法に手貸すな

維新の党の安全保障法制の独自案は政府案との隔たりが大きく、与党側が法案の実質的修正を受け入れるか否か不透明だ。「違憲」と指摘される政府案の採決に手を貸すだけにならないか、心配だ。

維新の党はきのう、政府が提出した安全保障法制関連法案の対案となる独自案を自民、公明、民主三党に示し、安倍晋三首相は衆院特別委員会で「党と党でしっかりと議論されることを期待したい」と、与党と維新との修正協議入りへの期待感を表明した。

維新の独自案は理解できる部分もある。例えば、政府案で「存立危機事態」での行使を認めている集団的自衛権である。

維新案はこれを認めず、日本有事以外で自衛権の行使ができるのは、日本防衛のために活動する外国軍が攻撃され、日本も攻撃される明白な危険がある「武力攻撃危機事態」に限るとしている。

憲法で認められた個別的自衛権が行使できる範囲を見直すことで対応しようとしたのだろう。

個別的自衛権の安易な拡大には反対だが、実際に攻撃される明白な危険を武力行使の要件とすることは、日本の存立が脅かされるとか、国民の生命、自由、権利が根底から覆されるといった政府案の曖昧な要件よりはましである。

また、外国軍に対する後方支援でも「周辺」という地理的限定や「後方地域」「非戦闘地域」という概念を維持するのも妥当だ。

政府案を「憲法違反」と指摘した小林節慶応大名誉教授らが「個別的自衛権の範囲内に収まっている」と、維新案を「合憲」と評価していることも首肯できる。

政府、維新両案の隔たりは大きく、与党側が実質的な法案修正に応じるのは難しいだろう。にもかかわらず、維新との協議に前向きなのは政府案の早期成立に向け、維新から協力を得る狙いがある。

維新が審議拒否や採決を欠席しなければ、政府案への賛成が得られなくても、与党単独の強行採決という批判は避けられるからだ。

維新は今国会で、野党が「一生派遣の人が増える」として反対している労働者派遣法改正案の採決に応じ、結果的に、衆院通過に協力した経緯がある。

憲法学者の多くや、世論調査では国民の過半数が「憲法違反」と断じる政府の安保法案である。

集団的自衛権の行使や戦闘現場近傍での後方支援という「違憲」部分の修正を勝ち取ることなく、政府案の採決に手を貸すだけであってはならない。(7/4 東京新聞社説) 



問題児・維新、安保法案対案提出の本音は、国民のためか、政権スリ寄りか

維新の党が3日、安保法案の対案を与野党に提示した。柿沢未途幹事長は自民党の高正彦副総裁、公明党の北側一雄副代表を個別に訪ね、協議入りを要請。
 
これに対し、高村副総裁は「できるだけ早く国会に出してほしい」と応じ、北側副代表も「独自の案を作ったことを評価する」と好意的だったが、この「維新案」は本当に国民のためになるのか。
 
7日の党執行役員会を経て、国会に提出される見通しの「維新案」。柱は、政府が集団的自衛権行使の要件としている「存立事態危機」に替わり、「武力攻撃危機事態」を新設したことだ。日本を守る外国軍が攻撃され、日本への攻撃が発生する明白な危険がある場合に限り、「自衛隊による武力行使を可能」とした。経済的理由のみで中東・ホルムズ海峡の機雷掃海に自衛隊を派遣しないことや、周辺事態で地理的制約を撤廃しないことも盛り込んでいる。
 
3日の衆院特別委で質問に立った柿沢幹事長は早速、政府案と維新案を対比しつつ、憲法学者たちが「(維新案は)合憲とコメントしてくださっている」と強調。同じ維新の下地幹郎議員も「素晴らしい案じゃないですか」と自画自賛し、中谷防衛相に同意を求めた。安保法案の特別委はいつもはピリピリムードだが、維新議員の質疑ではユル~イ空気が流れ、安倍首相も「(対案提出に)敬意を表したい」とニンマリ顔。テレビ中継を見ていた国民は「憲法違反」と指摘されている法案をめぐる審議とは到底、思えなかっただろう。
 
維新の橋下徹最高顧問は6月に安倍首相と都内のホテルで会談した際、安保法案の成立に協力を求められたという。事実なら、維新の「対案」も単なる“出来レース”なのか。国際NGOピースボートの共同代表を務める川崎哲・集団的自衛権問題研究会代表はこう言う。

「維新案は一言で言うと『奇異』ですね。対案を素直に読むと『集団的自衛権の行使は認めない』『武力行使はあくまで自国防衛のための個別的自衛権のみ』という内容です。つまり、政府案の根幹を真っ向から否定しているわけで、審議するとなれば、単なる修正協議で済む話ではありません。この対案通りの考えなら、本来は政府案の廃案を求めるのが筋なのに、対案を国会に出して話し合おうと言っている。対案の中身と行動がチグハグです。うがった見方をするなら、対決姿勢を国民に示しつつも、単独の強行採決を避けたい与党に最後は擦り寄るのではないかと勘繰りたくなります」

維新は、改正労働者派遣法案をめぐって土壇場で与党に擦り寄った“前科”があり、安保法案でも“再犯”を犯す可能性は十分、考えられる。

与党は安保法案を15日にも衆院特別委で採決し、16日の衆院本会議で可決させたい考えだが、維新は最後の最後でどう動くのか。“本性”が見えるのはその時だ。

 
2015年7月3日 日刊ゲンダイ

安倍の戦争法案、 歴代政権下での徴兵制違憲 現政権で解釈変更の危うさ(西日本新聞社説)

2015-07-03 | Weblog

社説:憲法と徴兵制 やはり解釈変更は危うい

7/3 安全保障関連法案に関する国会の審議が、徴兵制をめぐる議論にまで発展している。

衆院平和安全法制特別委員会で野党が同法案に関連し「将来的に徴兵制が導入されることにはならないか」とただした。政府側は「ありえない」と否定している。

だが、よく考えれば、野党の懸念には十分な理由がある。

簡単に説明しよう。

憲法は「徴兵制を禁止する」とは明記していない。

その上で、これまで政府は「意に反する苦役に服させられない」と規定した憲法18条などを論拠に、本人の意思に反して兵役を強制するのは憲法上許されない、と判断してきた。

「徴兵制は違憲」という結論は、こうした「憲法解釈」に基づいている。

この憲法解釈は、歴代政権が引き継いできた。

憲法には明記されていないが確定的な解釈で禁じられてきた-という点は、集団的自衛権の行使と同じだ。

しかし、安倍晋三内閣は1年前の閣議決定で「集団的自衛権は行使できる」と憲法解釈を変更した。

これが許されるのなら、そのうち政府が徴兵制についても解釈を変え、「合憲」と言い出すのではないか-。そんな疑念である。

憲法解釈を安易に変更する最大の問題点はここにある。

憲法には何から何まで書いてあるわけではない。

そこで、長年の解釈の積み重ねで「できること」と「できないこと」を確定してきた。それが全て揺らいでしまうのは危うい。

徴兵制をめぐっては、自民党の石破茂地方創生担当相が、過去に国会で「意に反した奴隷的な苦役だとは思わない」と発言し、憲法18条を根拠とする徴兵制の禁止に疑問を呈したことがある。

現代の軍事行動は専門性が高く、徴兵制は適さないとの指摘がある。

一方で、少子化が進み、自衛隊の任務に危険が増して入隊者が減れば、徴兵制が必要になるという観測も現実味が増している。

国民に直接関わる徴兵制というテーマを通して、今回の憲法解釈変更と安保法案の持つ意味を、もう一度深く考えてみたい。



更新:2015/7/5 日刊ゲンダイ

誰が望んだか不明…「18歳選挙権」は徴兵制導入の地ならしか

政治評論家の有馬晴海氏が言う。

「20歳以下に選挙権を与えている国の多くは、その年齢から兵役を義務付けています。世界のスタンダードは選挙権が18歳からというところではなく、兵役とセットだということ。投票行動で政治に意見する権利を持つ者は、国を守る義務も負うわけです。もちろん、選挙法改正が徴兵制導入に直結するとは考えにくい。ただ、高校を卒業したばかりの18歳の若者を戦地に送る際の障壁のひとつがなくなることは確かでしょう」

近い将来、自衛隊員が足りなくなり、徴兵制を導入せざるを得なくなった時でも、法改正をしておけば、「選挙権も持たない若者をなぜ」と批判されることはない。ダブルスタンダードの解消を理由に、18歳以上を成人とする民法改正が成立すれば、ハードルはさらに下がるだろう。

安保政策通を自任する石破地方創生相は「徴兵制は苦役ではないから憲法違反にならない」と公言している。

軍靴の足音が近づいているようだ。

 


安倍の戦争法案、15日に採決 数の力で押し切る与党(信濃毎日新聞社説) 

2015-07-01 | Weblog

社説:安保をただす 法案の採決 日程ありきの与党方針

7/3 審議を尽くすことなく、押し切ろうというのか。安全保障関連法案について、15日の委員会採決、16日の衆院通過を目指す方針を与党が固めた。日程ありきの姿勢が鮮明だ。

自民、公明両党の幹事長が会談し、確認した。

特別委員会での審議は週内に80時間を超えるとみられる。

与党はこれを採決の目安としてきた。

問われるのは時間でなく、審議の中身だ。

かみ合わないやりとりを重ねても採決を正当化する根拠にはならない。

衆院憲法審査会で参考人の学者がそろって法案を「違憲」としたのをきっかけに、審議の焦点は憲法との整合性に立ち戻った。ここにきて自民党勉強会での「マスコミを懲らしめる」といった発言をめぐっても紛糾している。

関連法案は2本、うち1本は10の改正法案をひとくくりにしている。

集団的自衛権の行使、地球規模での他国軍支援、国際紛争後の治安維持活動など内容は多岐にわたる。

一つ一つ問題点を掘り下げる必要があるのに、精緻な議論ができる状況ではない。

審議入りから1カ月余り、いまだに分からないことだらけだ。

法案にある「存立危機事態」や「重要影響事態」とは、どんな場合を指すのか。

政府の説明は「全ての情報を総合し、客観的、合理的に判断する」などと、つかみどころのないものに終始している。

後方支援には「兵たんなしに戦闘はできない」「戦争の一環」といった批判が続く。

中谷元・防衛相は、空中給油機による米軍戦闘機への給油が可能になるとの認識も示している。

「他国の武力行使との一体化」を禁じる憲法解釈とつじつまが合うのか。

武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」への対処、国連平和維持活動(PKO)などの国際貢献の在り方を含め、議論を尽くすべき点はほかにも多い。

世論調査では、法案そのものについても、今国会での成立についても、「反対」との回答が多数を占める。

撤回や廃案、慎重審議を求める意見書の可決も地方議会で広がっている。

国民の理解は得られていない。

与党は、採決の前提となる中央公聴会を13日までに開きたい考えだ。

衆院通過の環境づくりを慌ただしく進めようとしている。

意見を聴いたという体裁を整え、数の力でごり押しするなら、政治不信をさらに深める。


社説:安保をただす 閣議決定1年 出発点の無理が鮮明に

7/1 新たな憲法解釈の閣議決定から、ちょうど1年になる。

「集団的自衛権が現行憲法の下で認められるのか、そうした抽象的、観念的な議論ではない。国民の命と平和な暮らしを守るため現行憲法の下で何をなすべきかの議論だ」

安倍晋三首相は昨年7月の記者会見で強調していた。

今、その正当性があらためて問われている。集団的自衛権の行使容認を「憲法違反」とする指摘が絶えない。出発点に無理があったことを示す展開だ。

閣議決定以来、政府は「憲法解釈の基本的な考え方は何ら変わらない」と繰り返してきた。これに対して、憲法学者ら多くの専門家が「従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつかない」などと異を唱えている。

どんな場合に集団的自衛権を行使するかは依然、曖昧だ。

首相は「海外派兵は一般に許されない」とした上で、中東での機雷掃海を例外に挙げる。唯一の事例かとの問いには「安全保障において『これが全て』と言うことは差し控えたい」と、将来の拡大に含みを残している。

政府の判断で武力行使を制約なく広げられるなら、憲法は無いも同然になる。

1年前、首相は「今後とも丁寧に説明を行いながら、国民の理解を得る努力を続けていく」としていた。言葉とは裏腹に論点をすり替えるような発言が目立つ。

自衛隊員のリスクが高まるとの指摘に「木を見て森を見ない議論が多い」とした。「戦争に巻き込まれるとレッテル貼りのような議論が行われるのは大変残念だ」とも述べている。海外活動を拡大する法案への当然の懸念なのに、正面から答えようとしない。

これで国民の理解を得られるはずがない。世論調査では「十分に説明しているとは思わない」との回答が8割を超えている。

中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発をはじめ、日本を取り巻く環境が変化しているのは確かだ。国際社会もテロや紛争などさまざまな難題を抱える。

防衛上どんな課題があり、どう対処すべきなのか。国際社会の平和や安定にどう貢献したらいいのか。本来なら国民的な議論を深めるべきなのに、国会で堂々巡りが続く。論理的に説明できない法案がまっとうな論議の妨げになっていることを政府は認めるべきだ。


安倍の戦争法案、国民に説明を尽くすこと それができないなら法案の撤回を(京都新聞社説)

2015-07-01 | Weblog

社説:集団的自衛権  根本の議論が足りない

7/1 安倍政権が集団的自衛権の行使を認める閣議決定をしてから、きょうで1年になる。

本来、必要なはずの憲法改正の手続きを経ずに解釈を変更し、国会審議もほとんどないままの決定だった。今国会で審議中の安全保障関連法案は憲法違反だとする声が憲法学者や内閣法制局の元長官から噴出しているが、問題の始まりが昨年7月1日の強引な閣議決定にあったことをあらためて確認したい。

安倍晋三首相は「国際情勢に目をつぶって従来の解釈に固執するのは、政治家として責任放棄だ」とし、「決めるときには決めることになる」と今国会での成立へ強気の構えをみせている。

だが政府は安保法案を「合憲」とする説得力のある説明ができていない。むしろ違憲の疑念は深まる一方だ。共同通信などの世論調査でも過半数が違憲とみている。

ごり押しで成立を図れば、国民の憲法への信頼は崩れ、法治国家の土台を揺るがすことになりかねない。政府がなすべきことは、異論に耳を傾け、国民が納得のいくよう説明を尽くすことだ。それができないなら、閣議決定以前に立ち返って、法案を撤回した方がいい。

そもそも、閣議決定に向けた進め方自体が乱暴だった。首相は人事権を使い、それまで行使容認ができないとしてきた内閣法制局の方向を変え、長年続いた憲法解釈を変えた。

解釈変更の根拠とした1972年の政府見解にしても、必要最小限度の「自衛の措置」は認めても集団的自衛権の行使は否定している。なのに「安全保障環境の根本的な変容」を理由に同じ論理を使用し、真逆の結論を導きだした。環境で憲法解釈を大きく変えられるなら法治国家は人治国家に近づいていく。

日本が攻撃を受けて発動する個別的自衛権に限った従来の専守防衛の解釈も広げ、武力行使の新3要件を満たせば、中東・ホルムズ海峡の機雷掃海のような集団的自衛権行使まで専守防衛にあたるとした。これなどは言葉の概念自体を変えるような解釈変更だろう。

集団的自衛権の行使は、現実問題として本当に必要なのかという疑問も消えていない。政府が典型的な事例として持ち出す日本近海の米艦防護なども、従来の個別的自衛権で対応できるとの見解は根強くある。

集団的自衛権の行使をめぐっては、根本的な議論がまだまだ足りない。