令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(二)(26)捕りて懐(なつ)けな

2011年05月24日 | 家待・越中編(二)歌心湧出
【掲載日:平成23年7月22日】

霍公鳥ほととぎす 聞けどもかず
         あみ取りに りてなつけな れず鳴くがね




 四月四日】聞きに聞いても まだ聞きたいで
春過ぎて 夏むかへば あしひきの 山呼びとよめ さ夜中に 鳴く霍公鳥ほととぎす 初声はつこゑを 聞けばなつかし  
《春過ぎて 夏が来たなら 声立てて 夜中よなか鳴く鳥 ほととぎす 初声はつね聞いたら ゆかしいて》
菖蒲草あやめぐさ 花たちばなを まじへ かづらくまでに 里とよめ 鳴き渡れども なほしのはゆ
菖蒲あやめの草と たちばなを ぜて通して かずらする 日まで里じゅう 響かせて 鳴き飛びするん うきうき聞くよ 
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一八〇)

さ夜けて あかとき月に かげ見えて 鳴く霍公鳥ほととぎす 聞けばなつかし
《夜がけて 夜明けの月に 影うつし 鳴くほととぎす 心引かれる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一八一)
霍公鳥ほととぎす 聞けどもかず あみ取りに りてなつけな れず鳴くがね
《ほととぎす 聞いてもきん 網張って 捕りらそかな ずっと鳴くに》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一八二)
霍公鳥ほととぎす とほせらば 今年て 来向きむかふ夏は まづ鳴きなむを
《ほととぎす い続けたら 年して また夏来たら っ先鳴くで》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一八三)

【四月九日】二上ふたがみ山で 鳴く声ゆか
桃の花 くれなゐ色に にほひたる おものうちに 青柳あおやぎの 細き眉根まよねを み曲がり 朝影見つつ 娘子をとめらが 手に取り持てる 
くれないに 輝く様な ももはなに 似た面差おもざしの 娘子おとめが 柳の様な 眉あげて 笑顔作って のぞき見る》
真澄まそかがみ 二上山ふたがみやまに くれの しげ谷辺たにへを 呼びとよめ 朝飛び渡り ゆふ月夜づくよ かそけき野辺のへに はろばろに 鳴く霍公鳥ほととぎす 
《その手鏡てかがみの 二上ふたがみの 山の繁みの 谷間から 朝に飛び立ち 鳴きさわぎ 月の光の 差す野辺で はるか聞き鳴く ほととぎす》
立ちくと 羽触はぶりに散らす 藤波ふぢなみの 花なつかしみ 引きぢて 袖に扱入こきれつ まばむとも
もぐり飛んでは 散らす花 その藤波が うるわして 手に取り袖に き入れた 色がみても かまへんで》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一九二)

霍公鳥ほととぎす 鳴く羽触はぶりにも 散りにけり さかり過ぐらし 藤波の花
《ほととぎす 鳴く羽ばたきで 散って仕舞た さかり過ぎたか 藤の花房》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一九三)





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