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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

人麻呂編(7)野の上のうはぎ

2009年08月10日 | 人麻呂編
【掲載日:平成21年8月13日】

妻もあらば みてたげまし 佐美さみの山
         野ののうはぎ 過ぎにけらずや


【沙弥島ナカンダの浜】


人麻呂を乗せた 赴任の船  
穏やかな 内海うちうみを行く

玉藻たまもよし 讃岐の国は 
国柄くにからか 見れどかぬ 神柄かむからか ここだたふと
 
《讃岐の国は ええ国や 見飽けへんほど ええ国や》 
天地あめつち 日月とともに りゆかむ かみ御面みおも 
《日に日にうなる 別嬪べっぴんさん》
ぎ来たる なか水門みなとゆ 船けて わが漕ぎれば 時つ風 雲居に吹くに 
《そこの湊を 出た船は 突如吹き出す 風に会い》 
沖見れば とゐ浪立ち 見れば 白浪さわく いさな取り 海をかしこ 
《沖は大波 岸も白波なみ 怖い恐ろし 荒れる海》
行く船の かじ引き折りて をちこちの 島は多けど 名くはし 狭岑さみねの島の 荒磯面ありそもに いほりて見れば
《船梶止めて さみねじま なんけ船を 寄せたなら》
浪のの 繁き浜辺を 敷栲しきたへの 枕になして 荒床あらとこに 自伏ころふす君が 
《波音高い 浜の陰 一人の人が 死んでいる》 
家知らば 行きても告げむ 妻知らば も問はましを 玉桙たまほこの 道だに知らず 
《知らしたいけど 家分からん どこの誰やら 知らん人》 
おほほしく 待ちか恋ふらむ しき妻らは
《奥さんさぞかし 待ってるやろに》 
                         ―柿本人麻呂―(巻二・二二〇)

妻もあらば みてたげまし 佐美さみの山 野ののうはぎ 過ぎにけらずや
よめると んでそなえて やったやろ えてるヨメナ とう立ってもた》 
                         ―柿本人麻呂―(巻二・二二一)
沖つ波 よる荒磯ありそ 敷栲しきたへの まくらきて せる君かも
《波寄せる さみしい磯に 横なって 死んでる人は どこの誰やろ》
                         ―柿本人麻呂―(巻二・二二二)

船旅ふなたびでの遭難
供えの花は 
死人しびとへの 手向けか
明日は 我が身への 祈りなのか 




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