【掲載日:平成21年8月11日】
潮気立つ 荒磯にはあれど 行く水の
過ぎにし妹が 形見とそ来し
【みなべの浦より鹿島を望む】
紀伊国への行幸
太陽 輝き
黒潮 おどる
温暖の地 紀伊
人麻呂の心は 躍らない
(この磯 軽郎女との磯遊び 郎女の笑い声・・・)
玉津島 磯の浦廻の 真砂にも にほひて行かな 妹が触ふれけむ
《玉津島 海辺の磯の 砂きれえ 昔にお前 触ったからか》
―柿本人麻呂―(巻九・一七九九)
(藤白坂の峠道 眼の下に 黒牛潟 玉津島山も見える)
古に 妹とわが見し ぬばたまの 黒牛潟を 見ればさぶしも
《前のとき お前と見たな 黒牛潟 独り見るんは 淋しいこっちゃ》
―柿本人麻呂―(巻九・一七九八)
(由良の崎 郎女の裳裾に 入江の波が・・・)
黄葉の 過ぎにし子等と 携はり 遊びし磯を 見れば悲しも
《手ぇ繋ぎ お前と一緒に 来た磯や 見たら悲して どうにもならん》
―柿本人麻呂―(巻九・一七九六)
(大海原 浦々崎々の磯波 松のそよぎ
ここ 岩代で 有間皇子さん偲んだなぁ)
後見むと 君が結べる 磐代の 子松がうれを また見けむかも
《有間皇子さん あんた結んだ 松の枝 帰りの道で また見たやろか》
―柿本人麻呂―(巻二・一四六)
(あれは 鹿島や 二つ並んで・・・
南部の浜 岩 ごろごろと そのままや)
潮気立つ 荒磯にはあれど 行く水の 過ぎにし妹が 形見とそ来し
《寂し磯 思うたけども お前との 思い出場所と 思うて来たで》
―柿本人麻呂―(巻九・一七九七)
歌の お呼びがない 行幸であった
(わしの 気持ち汲まれての「ご用なし」であったのか
わし そのものが「ご用なし」と なったのか)
<黒牛潟>へ
<結び松の碑>へ
<みなべ・鹿島>へ
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