令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

人麻呂編(5)形見とそ来し

2009年08月13日 | 人麻呂編
【掲載日:平成21年8月11日】

潮気しほけ立つ 荒磯ありそにはあれど 行く水の
          過ぎにしいもが 形見かたみとそ

【みなべの浦より鹿島を望む】


紀伊国きのくにへの行幸みゆき
太陽 輝き 
黒潮 おどる  
温暖の地 紀伊 
人麻呂の心は おどらない

(この磯 軽郎女かるのいらつめとの磯遊び 郎女いらつめの笑い声・・・)
玉津島たまつしま いそ浦廻うらみの 真砂まさごにも にほひて行かな いもふれけむ
《玉津島 海辺の磯の 砂きれえ 昔にお前 さわったからか》
                         ―柿本人麻呂―(巻九・一七九九)
(藤白坂の峠道 眼の下に 黒牛潟くろうしかた 玉津島山も見える)
いにしへに いもとわが見し ぬばたまの 黒牛潟くろうしかたを 見ればさぶしも
《前のとき お前と見たな 黒牛潟くろうしかた 独り見るんは 淋しいこっちゃ》
                         ―柿本人麻呂―(巻九・一七九八)
由良ゆらの崎 郎女いらつめ裳裾もすそに 入江の波が・・・)
黄葉もみちばの 過ぎにし子等こらと たづさはり 遊びしいそを 見れば悲しも
《手ぇつなぎ お前と一緒に 来た磯や 見たら悲して どうにもならん》
                         ―柿本人麻呂―(巻九・一七九六)
(大海原 浦々崎々さきざきの磯波 松のそよぎ
 ここ 岩代いわしろで 有間皇子ありまのみこさん偲んだなぁ)
のち見むと 君が結べる 磐代いはしろの 子松こまつがうれを また見けむかも
有間皇子おおじさん あんた結んだ 松の枝 帰りの道で また見たやろか》 
                         ―柿本人麻呂―(巻二・一四六)
(あれは 鹿島かしまや 二つ並んで・・・
 南部みなべの浜 岩 ごろごろと そのままや)
潮気しほけ立つ 荒磯ありそにはあれど 行く水の 過ぎにしいもが 形見かたみとそ
さみし磯 思うたけども お前との 思い出場所と おもうて来たで》
                         ―柿本人麻呂―(巻九・一七九七)

歌の お呼びがない 行幸みゆきであった

(わしの 気持ちまれての「ご用なし」であったのか
わし そのものが「ご用なし」と なったのか) 



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