【掲載日:平成25年6月14日】
人の見て 言とがめせぬ 夢に我れ 今夜至らむ 宿閉すなゆめ
せめて夢中 出て来て欲しい
他人の咎めん 夢中ずっと
逢えた嬉しと 抱きしめしたが
空しに泳ぐ 空抱き腕
現には 言も絶えたり 夢にだに 継ぎて見えこそ 直に逢ふまでに
《言伝ても 出来ん様なった 夢にでも ずっと出て来い 直逢うまでは》
―作者未詳―(巻十二・二九五九)
人の見て 言とがめせぬ 夢にだに やまず見えこそ 我が恋やまむ
《他人見ても 咎め立てせん 夢の中 ずっと出て来い 焦がれ癒しに》
―作者未詳―(巻十二・二九五八)
人目多み 直には逢はず 夢にだに やまず見えこそ 我が恋やまむ
《人目多て 直逢えんので 夢の中 ずっと出て来い 焦がれ癒しに》
―作者未詳―(巻十二・二九五八 或る本)
白栲の 袖折り返し 恋ふればか 妹が姿の 夢にし見ゆる
《袖折って 恋し思いで 寝たからか あの児の姿 夢出て来たで》
―作者未詳―(巻十二・二九三七)
(袖折り返し=夢で逢える呪い)
愛しと 思ふ我妹を 夢に見て 起きて探るに なきが寂しさ
《可愛らしと 思てるお前 夢に見て 手探りしたが 空しで空や》
―作者未詳―(巻十二・二九一四)
人の見て 言とがめせぬ 夢に我れ 今夜至らむ 宿閉すなゆめ
《他人見ても 咎め立てせん 夢中へ 今晩行くで 戸ぉ開けといて》
―作者未詳―(巻十二・二九一二)
確かなる 使を無みと 心をぞ 使に遣りし 夢に見えきや
《頼りなる 使い居らんで 魂の 使い遣ったが 夢出たやろか》
―作者未詳―(巻十二・二八七四)
ぬばたまの 夜を長みかも 我が背子が 夢に夢にし 見えかへるらむ
《夜の内 長いからかな あの人が 夢出て消えて また出て来んは》
―作者未詳―(巻十二・二八九〇)
あらたまの 年月かねて ぬばたまの 夢に見えけり 君が姿は
《もう長い 年月間 夢でうち 見続けとんや あんたの姿》
―作者未詳―(巻十二・二九五六)
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