犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(051)ただ一夜

2011年10月01日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【六月六日】放映分

ただ一夜ひとよ へだてしからに あらたまの 月かぬると 心まとひぬ

一晩ひとばんを 逢わんだけやに ひとつきも った思うで 恋焦こがれがひどて》
                         ―湯原王ゆはらのおおきみ―(巻四・六三八)



【万葉歌みじかものがたり】けてらむと》

 あれでご機嫌 直したやろか
 ここで一押し 恋焦こがれの文を)
ただ一夜ひとよ へだてしからに あらたまの 月かぬると 心まとひぬ
一晩ひとばんを 逢わんだけやに ひとつきも った思うで 恋焦こがれがひどて》
                         ―湯原王ゆはらのおおきみ―(巻四・六三八)

 ひょっとあの人 本気やろうか
 こんな夢出て うち口説くどくんは)
我が背子が かく恋ふれこそ ぬばたまの いめに見えつつ ねらえずけれ
《こんなにも あんた思うて くれてんや 夢現われて 寝付ねつけんなんだ》
                         ―娘子おとめ―(巻四・六三九)

 やっと信じて くれたかあの児
 ここが先途せんどや 追い打ち文を)
はしけやし ちかき里を くもにや 恋ひつつらむ 月もなくに
るに がれはるかに もってる うてひとつき まだたへんに》
                         ―湯原王ゆはらのおおきみ―(巻四・六四〇)

ここしばらくの り取りかまけ
妻への甘言じょうず ついおろそかに
露見足止め かよえぬおう
わずらとこと 娘子おとめに送る

(感娘子おとめ それかと悟り
 甲斐性かいしょなしと 縁切り歌を)
絶ゆと言はば びしみせむと やき大刀たちの へつかふことは さきくやが君
《おしまいや たら可哀想かわいそ おもてから つくろいしてて うれしかあんた》
                         ―娘子おとめ―(巻四・六四一)

(手にした玉を こぼしたおう
 自己おのれ弁解いいわけ さみしに探す)
我妹子に 恋ひて乱れば 反転くるべきに けてらむと が恋ひそめし
うすごころ 乱れて仕舞たら なおす おもて始めた 恋やったんや》
                         ―湯原王ゆはらのおおきみ―(巻四・六四二)
                                      (反転くるべき=糸車)


湯原ゆはらおおおきみ 皇子みこ息子
天智 天皇 孫なる血筋
壬申じんしん乱の のちの世生きる
皇子みこの 処世を見たか
除位じょい任官にんかんは 史書には見えず
万葉集 に 十九の歌が
繊細せんさい優美ゆうび 佳作を残す
当意即妙とういそくみょう 宴席歌も
ここに挙げたる 娘子おとめの歌は
世の中渡る 韜晦とうかい恋か
自作 自演の お芝居歌か
                 (韜晦=本心などを包み隠すこと)

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