京都の店が来た

2018-12-06 18:39:51 | 美食
かぐらヒルズとかいう恥ずかしい名前の複合建築には

パンのPAULやらペットショップやら入っている

その一つに魚料理を売り物にした店があったが

なんと京都の鶏料理・八起庵に看板が変わっている

来週10日からの営業だそうだ

神楽坂に京都の店はこれまで一つも出店していなかった

(あ、いや工場菓子の鼓月はあった)

いよいよそんな街になったか

京都の店の中でも八起庵には特別な思いがある

多分拙著「京都が好き」にも書いたと思うが

最初に行ったのはカメラマンに連れられてのこと

カメラマンと二人で湯豆腐の店について喋っていたら

カウンターの隣にいた男性が

「その奥丹の主人です」と名乗ったので仰天

京都がせまいことを思い知った

そして五年後にこれらの人間関係が動き出す

私がカフェの開店に金融公庫の融資を申込みに行くと

市内の飲食組合にはいっていないといけないと言われた

それで組合の門を叩くと、入会には組合員からの紹介が要ると言われた

(京都やなあ)

どーしよーと思ったとき八起庵のご主人と奥丹のご主人の顔が浮かんだ

それでまず八起庵に行って左京組合長の奥丹さんに話をつないでもらい

奥丹に挨拶に行って私は左京区の飲食組合に入れてもらった

私の店は中京なのに…

入れててもらったからにはおつきあいもせんといかんので

私としたことが、ちゃんと宴会にも出ましたえ

瓢亭はじめ錚々たる店のご主人がきてはった

八起庵のご主人は、末席の私をなんとおもて見てはったやろなあ

八起庵の料理はいわゆる料亭の料理とも違うけれどちゃんとしていて寛げるので

沢山の人を連れていった

恩師も、九州の温泉旅館の主人も

温泉旅館の主人を連れていったのは

私が松茸ツアーをしたときだった

ほかに東京から初対面の女性も参加していた

八起庵の二階のお座敷の窓をあけると鴨川に鷺が見え

誰かが“白鷺は~”という歌があったと言ったので

私が高田浩吉の歌で歌詞はこんなだと教えたら

初対面の女性が朗々と歌った

さらにだれかが高田浩吉には伊豆の佐太郎といううたがあったと言い出したので

また私がそれは“故郷見たさに戻ってくれば~”とうたって教えた

八起庵で忘れられない場面の一つになった

それからカフェを開いてからは時間もお金もなくて

八起庵に行くことはなくなった

最後にご主人にお会いしたのは

私がもうすぐカフェを閉じるという春まだ浅い時期に四条通りでパッタリ出会った

ご主人は立派なキャメルのコートを羽織って暖かそうに見えた

私はなぜかカフェの閉店を言いそびれた

神楽坂の開店日

お会いできるやろか