はぎわら_m の部屋
社会・時事批評、オピニオン、初等物理の気まぐれ考究、物理教育放談

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以下は、07-03-27 浮力の説明の謎 の続きである。
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前回掲げた、浮力を説明するためにしばしば使われるは、いろいろな側面の問題を提起している。一番根本にある問題は、力の概念の理解が曖昧なままに、力(または圧力)を使って現象を説明しようとすることの無理にあると言える。

また、力のベクトルを表す矢印が、意味が不明確なままに多用される(状況によって使い方が移ろい、学習者の誤った直観を誘発する)悪しき習慣にも問題がある。

さらに、深いところに横たわっているのは、浮力を考える場合の力学要素である媒質流体(水)、その容器、浮力を受ける物体などに対して、(質点系の力学における)剛体、弾性体、圧縮性流体、非圧縮性流体 などの考え方をどのように使い分けて適用すればいいのか、、という大問題なのである。そして、このようなことを整然と説明している記述は、まず見かけることはない。

しかし、ここでは、以上のような力概念や質点系の扱い方の根本にまつわる理屈っぽい解説から入ることを避けよう思う(話が退屈になる恐れがあるので、、)。数学や力学体系の詳しい知識無しで考察が進められるような、ありありとしたイメージを使って話を進めようと思う。

力概念や質点系の扱いなどとは関係なく、学習者が、この図を納得できないように感じるのは、(絹ごし)豆腐や、ゼリーや、寒天や、プリン、など、崩れやすい物体を水中に入れたときの状況を思い浮かべたときなのだ(あるいは、潰れることのない海中のクラゲ、深海魚、スキンダイバーも好例だ)。絹ごし豆腐は、水中では、浮力のために比較的安定に形を保つが、水から出して、まな板にのせると自重で大きく変形してしまう。ここで下手に手で押したりすれば容易に崩れてしまうことを、我々は日常の経験として良く知っている。豆腐の表面が、水圧を受けて押し込まれていて、その上下方向の力の差が浮力の起源になるというのは本当なのだろうか?? この疑問は科学的に真っ当であり、このことを回避して、説明(あるいは理解)したつもりになることは、科学的精神の欠如にもなりかねないことをはっきり認識しよう。

この豆腐の疑問に対して、「手で押す場合などは場所場所で不均一な力がかかって壊れるが、水圧は各場所に連続的にかかるから壊れない.」という答えを用意する人がいるかも知れない。この解釈表現は、一面は正しいのだが、水中の豆腐の疑問に答えるための本質には全くなっていない。

そこで、この「豆腐の疑問」をもう少し明快な形にした上で、考察を進めようと思う。
<続く>

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