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最悪を想定した最善の対策とは-福島第一原発事故
社会・時事批評
/
2011-05-15 05:21:06
今頃になって次第に判明してくる福島第一原発の事故の分析結果は、唖然とするほどに紛れのない「全炉心熔融」が起きていた事を示すものである。プルトニウムを含む核燃料物質のどれだけの分がどこに溜まり、どれだけが環境中に出てしまったのか、、今や大まかな把握さえ難しい状況と思われる。そして、ある意味で典型的なこの原発事故の様態は、冷却システムの復旧が見込めないうちに爆発を起こしてしまった2ヶ月前には当然、リアリティをもって想定されるべきものだった。そこで本ブログでも、
3月29日の稿
で『(最悪の中で)最善の封じ込め建造物を考案・設計すべき段階だと考える。』と記した。
しかし、これまで実際に為された対策は、ちまちまと小出しにするようなことばかりで、この最悪のコースには全く対応ができず、プルトニウムの漏出を指をくわえて眺めるだけのタイムロスばかりが積っている。
単刀直入に言う。もはや細かい細工は無効であるし危険である。ダム建設の土木技術を使って、原子炉関連の構造物が存在する(土中の)最低部から最高部までの高さをダム壁で覆うような大きな建造を為すべきである。そしてその中に水を導き入れ、巨大プールとして、冠水させ、かつ物質の流出を止めるしかないのではないか。できればその上には蓋をかぶせ、蒸発分の
還流
装置を設けると同時に、逃げ出す元素分析を行う設備を乗せるのだ。1号機から4号機までをまとめて、直方体形のダムプールにすることが考えられる。そして、然るべき段階で、中の水を浄化処理してコンクリートに置き換え、炉内の核燃料片はその中に永久埋没するしかない。
ダム壁の工期はそれなりにかかってしまうので、これまでの注水や暫定的なカバーの工事などは継続する必要があるだろう。ただし、そうしたちまちました細工をいくら繰り返しても、到底、
“
プルサーマル
の全炉心熔融”
という重大事態に立ち向かうことにはならない、、と、覚悟を決めてほしい。発想のベースを『最悪を制する』ことに置くことが絶対に必要なのだ。
〔追記〕
今日になって、さらに、1号機の炉心溶融が地震発生当日の夜から起きていたとする見解が発表された(当日の官房長官のコメントなど、ピエロのトークもいいところだったことになる)。『11日午後6時ごろには燃料の頂部まで水位が低下。午後7時半ごろには燃料がすべて水面から露出し、損傷が始まった。午後9時ごろには、炉心の最高温度が燃料が溶ける2800度に達し、12日午前6時50分ごろには燃料の大部分が落下した。』のだそうだ。これを聞いて、私がどうしても気になるのは、燃料がすべて露出した7時半から、融点に達した9時までの時間の短さだ。原子炉工学の専門家はこれを標準だと認識しているのだろうか。そうであれば、つねずね「水が無くなれば炉心は1時間半でメルトダウンして手がつけられなくなります.」とアナウンスして、その上で、原発推進の国民了解をとるべきであった。もちろん、これに対しては、「そんな危ないものは願い下げです。メルトダウンを自動的に回避する構造にしてから出直して下さい。」と答えるのが正常な反応となる。
MOX燃料
を使っていた3号機の詳しい状況分析が、一層重要である。プルトニウムの流出量を見積もることが絶対必要であるにもかかわらず、このことが報道に全然出てこない。何故だ。報道関係者も原発の専門家も、皆、何故平然とそのことから目をそむけていられるのだ。こちらの精神がおかしくなりそうだ。
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