はぎわら_m の部屋
社会・時事批評、オピニオン、初等物理の気まぐれ考究、物理教育放談

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私の個人的な経緯なのだが、この数年、親の死去、定年退職など、いろいろな事があった関係で、給与以外の納税申告に関わることを余儀なくされた。そのおかげで、日本の税制に対する理解がかなり深まった(この歳にして知ったことも多い、、笑われるかも知れないが、、)。
また、本年には、折しも始まった新NISAに触発されて、株式運用にも足を踏み入れた(この夏の急落劇には驚いたが、CFDなどを使い、初心者としてはうまく乗り越えたつもりだ)。

そして、折しも、自民総裁候選挙の争点が話題になり、金融所得課税の話題がネットを賑わしている。

そこで今回は、(給与以外の)納税に関する実感を多々抱くことになった私が考え巡った、金融所得課税に関する意見を記すことにする。
だたし、私の税制に関する知識は初歩段階であるから、理解の整理のための自己用メモのようなころから書き始めることをお断りしておく(経済や税務に詳しい人から見れば稚拙な内容になるだろう)。

はじめに考察の方針を述べる。社会的な制度を論じるときに、「目的」とか「良し悪し」の観点をはじめから持ち込むのは厳禁だ。それをやると、思い込んだことから離れられなくなって、それに対して自ら懐疑の目を向けフィードバックをかける考察ができなくなる。’推進派と抵抗勢力の争い’のような下らない図式に陥りがちだ。正しい手続きは、登場する概念・言葉を十分一般化した上で、整合性を貫き得るルールを探ることだ(これは私の信念だ)。

そこで、金融所得にかかる税金の意味を考えるところからスタートする。そのためには、「税」における「所得」の位置づけを調べるのがいいだろう。
日本で課税される税目は、以下に上がっている47種類(も)ある。
このうちの所得税目を問題にするわけだが、先ず、「所得」の意味が何かを考える。総生産の別側面だ(経済学的発想)とか、収入から経費等を控除した残りだ(経理的発想)とかそういうことではない。富の獲得の中でどのような条件をもつものを所得という括りにしているかを、あくまで税問題として問うている。一応の答えは、「何らかの対価として得た現金もしくは現金同等物」となるだろう。現金同等物とは、確定した現金に換金することが絶対的に保証された正式な契約情報、つまり、預貯金だ。例えば、品物を譲り受けるとか、物々交換の商いで何かを得ても、それは所得扱いにならない。売却して金額の値が定まった時点ではじめて所得となる。つまり所得とは、貨幣経済を絶対前提とする概念なのだ。
(手形・小切手が現金同等であるか否かは、微妙だが、期限切れや不渡りになる可能性を残している時点で所得扱いにならないはずだ、、たぶん)

そして、その所得は、税制上、以下のように13種類ほどに区分されている。
こうした所得は、年度ごとに、原則その現金あるいは現金同等物を得た人が、集計し、種別毎の算出法にしたがって税額を算出し、確定申告しなければならない。
この算出法の中身が、本議論の核心の話題になっていく。

所得に対する課税は、累進税率方式に基づくことが原則になる。累進方式の根拠におく考え方は、いろいろあるが、ここでは触れない。ただし、世界各国で採用されていて、その最高税率が、1980年くらいからどんどん引き下げられて現在に至っている事実は再認識しておこう。
主要国における所得税率の推移の⽐較/財務省

現在の日本の現在の所得税率は以下のとおり。
このサイトにある以下の文面にも注意を払おう。
「所得税の税率は、分離課税に対するものなどを除くと、5パーセントから45パーセントの7段階に区分されています。」

ここに「分離課税」の言葉が登場する。分離課税の本質的意味は、それが適用される所得は、累進税率を算定するベースから外すということだ。そして、上の文中で「~を除くと」の表現が使われていることから、所得税は、原則的に総計した上で累進税率を課すものなのだが、(何らかの事情のため)一部に例外規定としての「分離課税」の扱いが用意されているのだと解することができる。

その例外的分離課税方式が、どの税目に適用されるのかは、以下の文書などから知ることができる。

ここに以下の記述がある。
「所得税は、各種の所得金額を合計し総所得金額を求め、これについて税額を計算して確定申告によりその税金を納める総合課税が原則です。しかし、一定の所得については、<云々>」
累進税率の算定から外れる分離課税の扱いが例外であることが、ここでも確認できる。
ただし、分離課税が設けられている根拠に関する記述はなかなか見つからない。国税庁のサイトをあちこち見渡しても、その辺りがぼやかされているように感じられる。
如何なる考え方に基づくことで分離課税の特例扱いが正当化されるのか。その考えの筋を通すとすれれば、分離課税扱いにすべき所得、すべきでない所得を、どのように判断することになるか。何としてもこれを論じておかなければならない。ここに、やっと本稿の主題に至ったわけだ。
長くなったので、続きは別稿に記すことにする。

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(おまけ:批判的な目を養う参考になる)
ごく簡単にまとめた日本の税制の説明



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 私は、長らくある国立大学法人の物理学関係の助教授・教授の職などを務めておりましたが、2023年春に定年退職し、目下、(京大他)いくつかの大学で非常勤教員をしている者です。子供のころより、何事についても習い覚えることはあまり得意でありませんでしたが、多くの人が当たり前として通過して行くことに対して、疑問を抱かずにはいられない性格だったように思います。このことは、人生の損得という観点では、大学に所属していた間、損なことの方が多かったというのが実感ですが、良くも悪くも私のキャラクターなのだと、この歳になった今なお再認識しているところです。退職後は、もっと全面的にこの個性を打ち出した生き方をしてみたいものです、が、、年齢による活力の低下も無視できないので、どうなることやら。それでも、多くの人が意識を向けない事にかなり膨大な時間を充ててきた私としては、少しでも何かを書き残したい、、これが、このBlogを継続する意思の源です。 コンテンツは、左メニューの、Recent Entry や Category から入れば分類された形で見ることができます。つまみ食い適で結構ですから、どうぞご覧いただき、コメントなどいただければ大変うれしく思います。 なお、私はブログもHTMLも、初心者です。設定のおかしなところ、改善のアイディア、うまい方法など、アドバイスをもらえればなお幸いです。


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